Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:AIさん「本当につらいときも、最終的に救ってくれるのはいつも音楽でした」

天性のアルトボイスとゴスペルクワイアで鍛えた歌唱力で、日本のポップ・シーンに「本物の歌」を届けてきたAI(あい)さん。ロサンゼルスで生まれ、鹿児島で育った彼女にとって、歌は国境を超え、世界の人たちをつなぐ大きな愛のメッセージ。デビュー20周年を迎えたいま、あらためて音楽への想いを語っていただきました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

『ウィ・アー・ザ・ワールド』ですね(筆者注:1985年、アメリカの著名アーティストが集まり、アフリカの飢餓救済を目的として結成した“U.S.A. For Africa”名義でリリースされたチャリティーソング)。小さいときに、母が買ったビデオで観ていました。マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、ティナ・ターナーなどを両親の影響で聴いていましたから、最初は「スターたちがみんな出てる!」と興奮して。それぞれがカッコよくて、夢中になって物真似するようになりました。レコーディング風景やドキュメンタリー、それから寄付を届ける先の国の映像なども記憶に残っていますね。子どもながらに、「すごく良いことなんだな」と思っていました。
当時はテレビでユニセフのCMがよく流れていて、父がそれを見ながら「ほら、世界には、安全な水や家のあることが当たり前じゃない人もたくさんいるんだよ」と言っていました。母はチャリティ活動に積極的で、恵まれない人や助けが必要な人がいたら何でも協力していました。そういった両親の姿を見て育ったので、自分も何かしなくてはという思いが強いです。良いことをしたら、良い気持ちになりますよね。今は気がつくと自分の子どもに、父と同じようなことを言っています。

Q2.AIさんにとって「音」や「音楽」とは?

自分を助けてきてくれたもの。これまで、いろいろな曲に救われてきました。「ああ疲れたなあ」「なんかイヤだなあ」と気分がダウンしているときも、音楽があれば息抜きできるし、本当につらいときも、最終的に救ってくれるのはいつも音楽でした。泣かないように我慢していても、音楽が鳴った途端に涙が出てきてしまったりとか。
今は「STAY HOME」で少し時間ができたので、ゴスペルとか、90年代に好きだったR&Bとかを聴いています。あとは、ライブに向けてセットリストを考えるので、自分の昔の曲とかも。10年ぶりに聴いた曲もあって、とても懐かしいです。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人を想像しますか?

やっぱり、楽器を演奏するミュージシャンかな。私は自分で楽器を弾けないから、彼らがいないと音楽が作れない。私にとってミュージシャンはすごく大事な存在です。

じつは昔、ピアノを習っていたことがあったんです。私の場合、性格がとにかくやんちゃで、学校から側転しながら帰ってくるような子どもだったので、ピアノを習うというのはとにかく大変なことでした(笑)。ピアノの先生のお宅に行って、まず「足!足!」と座り方から注意されて。楽譜を見ると弾けなくなるので、先生が何回も弾いてくださるのを見て、一緒に弾いて覚えるという方法で習っていました。『アラベスク』や『エリーゼのために』、リチャード・クレイダーマンの『渚のアデリーヌ』とか、大好きでしたね。
ですから今も、ピアノやバイオリン、ギターなど、自分の音楽にはない感じの曲を聴くのも好きです。素晴らしい楽器の音に、心が洗われるというか。とくに鍵盤楽器を弾いている人の、あの感じには惹かれるんですよね。あと、マイナーコードのクラシックが好きです。ああ、自分で弾けたら!と。 育児が終わったら、また習いはじめてみようかと思っています。

AI〔あい〕
ロサンゼルスで生まれ、鹿児島で育つ。高校生のときにふたたびロサンゼルスに渡り、名門アートスクールでダンスを学ぶかたわら、ゴスペルクワイアで本格的な歌唱力を身につける。2000年に日本に帰国し、デビュー。以来、安室奈美恵やEXILE ATSUSHIなど国内トップアーティストはもとより、クリス・ブラウンやスヌープ・ドッグ、ザ・ジャクソンズ、チャカ・カーンなど国境を超えた数々のレジェンド・アーティストとのコラボレーションを重ねてきた。これまで3度のNHK紅白歌合戦出場、第59回日本レコード大賞・優秀作品賞の受賞を果たす。
オフィシャルサイトはこちら

特集

今月の音遊人「世良公則」さん

今月の音遊人

今月の音遊人:世良公則さん「僕にとって音楽は、ロックに魅了された中学生時代から“引き続けている1本の線”なんです」

17802views

なぜジャズのハードルは下がらないのか?vol.5

音楽ライターの眼

なぜジャズのハードルは下がらないのか?vol.7

5357views

楽器探訪 Anothertake

26年ぶりにラインアップを一新!「長く持っても疲れにくい」を実現し、フラッグシップモデルが加わったバリトンサクソフォン

4619views

楽器のあれこれQ&A リコーダー

楽器のあれこれQ&A

リコーダーを長く楽しむためのお手入れ方法

15238views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目の若手サクソフォン奏者 住谷美帆がバイオリンに挑戦!

10680views

オトノ仕事人 ボイストレーナー

オトノ仕事人

思い描く声が出せたときの感動を分かち合いたい/ボイストレーナーの仕事(後編)

10171views

ホール自慢を聞きましょう

歴史ある“不死鳥の街”から新時代の芸術文化を発信/フェニーチェ堺

10831views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

12463views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

27474views

ゲッゲロゾリステン

われら音遊人

われら音遊人:“ルールを作らない”ことが楽しく音楽を続ける秘訣

3215views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

贅沢な、サクソフォン初期設定講習会

6163views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

28214views

バイオリニスト石田泰尚が アルトサクソフォンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】バイオリニスト石田泰尚がアルトサクソフォンに挑戦!

14422views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

13523views

クラシック名曲 ポップにシン・発見(Phase49)ドヴォルザーク「交響曲第1番」、呼応し合う憧れと郷愁、ズロニツェの鐘と新世界

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase49)ドヴォルザーク「交響曲第1番」、呼応し合う憧れと郷愁、ズロニツェの鐘と新世界

1480views

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

オーケストラのステージの“演奏以外のすべて”を支える/オーケストラのステージマネージャーの仕事(前編)

46654views

練馬だいこんず

われら音遊人

われら音遊人:好きな音楽を通じて人のためになることをしたい

6901views

楽器探訪 Anothertake

目指したのは大編成のなかで際立つ音と響き「チャイム YCHシリーズ」

13229views

弦楽四重奏を聴くことが人生の糧となるように/第一生命ホール

ホール自慢を聞きましょう

弦楽四重奏を聴くことが人生の糧となるように/第一生命ホール

11471views

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい 山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい

6465views

楽器のあれこれQ&A

初心者必見!バイオリンの購入ポイントと練習のコツ

23695views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

12463views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

35008views