今月の音遊人
今月の音遊人:上原彩子さん「家族ができてから、忙しいけれど気分的に余裕をもって音楽と向き合えるようになりました」
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今月の音遊人:AIさん「本当につらいときも、最終的に救ってくれるのはいつも音楽でした」
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2020.8.3
天性のアルトボイスとゴスペルクワイアで鍛えた歌唱力で、日本のポップ・シーンに「本物の歌」を届けてきたAI(あい)さん。ロサンゼルスで生まれ、鹿児島で育った彼女にとって、歌は国境を超え、世界の人たちをつなぐ大きな愛のメッセージ。デビュー20周年を迎えたいま、あらためて音楽への想いを語っていただきました。
『ウィ・アー・ザ・ワールド』ですね(筆者注:1985年、アメリカの著名アーティストが集まり、アフリカの飢餓救済を目的として結成した“U.S.A. For Africa”名義でリリースされたチャリティーソング)。小さいときに、母が買ったビデオで観ていました。マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、ティナ・ターナーなどを両親の影響で聴いていましたから、最初は「スターたちがみんな出てる!」と興奮して。それぞれがカッコよくて、夢中になって物真似するようになりました。レコーディング風景やドキュメンタリー、それから寄付を届ける先の国の映像なども記憶に残っていますね。子どもながらに、「すごく良いことなんだな」と思っていました。
当時はテレビでユニセフのCMがよく流れていて、父がそれを見ながら「ほら、世界には、安全な水や家のあることが当たり前じゃない人もたくさんいるんだよ」と言っていました。母はチャリティ活動に積極的で、恵まれない人や助けが必要な人がいたら何でも協力していました。そういった両親の姿を見て育ったので、自分も何かしなくてはという思いが強いです。良いことをしたら、良い気持ちになりますよね。今は気がつくと自分の子どもに、父と同じようなことを言っています。
自分を助けてきてくれたもの。これまで、いろいろな曲に救われてきました。「ああ疲れたなあ」「なんかイヤだなあ」と気分がダウンしているときも、音楽があれば息抜きできるし、本当につらいときも、最終的に救ってくれるのはいつも音楽でした。泣かないように我慢していても、音楽が鳴った途端に涙が出てきてしまったりとか。
今は「STAY HOME」で少し時間ができたので、ゴスペルとか、90年代に好きだったR&Bとかを聴いています。あとは、ライブに向けてセットリストを考えるので、自分の昔の曲とかも。10年ぶりに聴いた曲もあって、とても懐かしいです。
やっぱり、楽器を演奏するミュージシャンかな。私は自分で楽器を弾けないから、彼らがいないと音楽が作れない。私にとってミュージシャンはすごく大事な存在です。
じつは昔、ピアノを習っていたことがあったんです。私の場合、性格がとにかくやんちゃで、学校から側転しながら帰ってくるような子どもだったので、ピアノを習うというのはとにかく大変なことでした(笑)。ピアノの先生のお宅に行って、まず「足!足!」と座り方から注意されて。楽譜を見ると弾けなくなるので、先生が何回も弾いてくださるのを見て、一緒に弾いて覚えるという方法で習っていました。『アラベスク』や『エリーゼのために』、リチャード・クレイダーマンの『渚のアデリーヌ』とか、大好きでしたね。
ですから今も、ピアノやバイオリン、ギターなど、自分の音楽にはない感じの曲を聴くのも好きです。素晴らしい楽器の音に、心が洗われるというか。とくに鍵盤楽器を弾いている人の、あの感じには惹かれるんですよね。あと、マイナーコードのクラシックが好きです。ああ、自分で弾けたら!と。 育児が終わったら、また習いはじめてみようかと思っています。
AI〔あい〕
ロサンゼルスで生まれ、鹿児島で育つ。高校生のときにふたたびロサンゼルスに渡り、名門アートスクールでダンスを学ぶかたわら、ゴスペルクワイアで本格的な歌唱力を身につける。2000年に日本に帰国し、デビュー。以来、安室奈美恵やEXILE ATSUSHIなど国内トップアーティストはもとより、クリス・ブラウンやスヌープ・ドッグ、ザ・ジャクソンズ、チャカ・カーンなど国境を超えた数々のレジェンド・アーティストとのコラボレーションを重ねてきた。これまで3度のNHK紅白歌合戦出場、第59回日本レコード大賞・優秀作品賞の受賞を果たす。
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