Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:中川晃教さん「『音遊人』のイメージは、雲を突き抜けて、限りなくキレイな空の中、音で遊んでいる人」

2001年にシンガーソングライターとしてデビューして以来、歌手としてはもちろん、ミュージカルや演劇、ドラマなど多彩なジャンルで活躍してきた中川晃教さん。マルチな才能で私たちを楽しませてくれる中川さんは、好きな音楽も洋楽から歌謡曲、クラシックまで、バラエティ豊か。音楽に対するひたむきな思いも語ってくださいました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

僕の聴いていた音楽は母の影響が大きかったと思います。母はソウルやディスコ系が好きだったので、ホイットニー・ヒューストンやレイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、ロバータ・フラックなどの曲を、教えてもらっていました。日本のポップス、歌謡曲も好きで、布施明さんや井上陽水さん、美空ひばりさん、玉置浩二さん、弘田三枝子さんなども聴いていました。どれも10代の僕が聴くには渋すぎるラインアップだったので、取材で話すと驚かれたりしたこともありましたね(笑)。
中でもよく聴いていたのがホイットニー・ヒューストン。彼女がヒロインを演じた映画のサントラでもある『ボディーガード』がきっかけだったこともあり、それに収録されていた大ヒット曲『オールウェイズ・ラヴ・ユー』をよく聴いていましたし、カバーもしたことがあります。
影響を受けたということで言えば、布施明さんの『愛は不死鳥』。ホイットニーほどたくさん聴いたわけではないのですが、あの感情を込めた布施さんの歌声は衝撃的でした。
最近はクラシックも聴くようになりました。幼稚園からピアノを習っていたので、一応クラシックの道は通っていますが、正直苦手意識もあったんです。でもレナード・バーンスタインが音楽を手がけたミュージカル『キャンディード』に出演させていただいた時、その音楽に触れて、クラシックには全ての音楽の元があるんだなと気づかされたんです。それ以来、クラシックにも耳を傾けるようになりましたね。

Q2.中川さんにとって「音」や「音楽」とは?

ライブのリハーサルの時に、サウンドチェックをするんですけれども、自分のコンサートであれば自分の求める音を作ることに集中します。ただ、ミュージカルのようにほかの出演者と共演する場では「それぞれどんな理想の音を持っているんだろう?」「その音を求めるのはどういう理由があるんだろう?」といったことを考えるのが好きなんですよ。
ミュージシャンのコンディションや、会場の作り、空気感によって、もちろん生まれる音は変わってきます。だから求める音の正解は、昨日と今日では違う「答え」になって当然なんですよね。それくらい音というものは繊細なものだと思っています。
自分が聴こえているものだけじゃなく、自分にも聴こえてない音もあると思うし、それは耳の問題というよりは、聴いた人が感じたものが、その人の音になっていくからなんですよね。
そういう意味では、音というのは自由で、正しい答えはないのでしょうね。だから僕は「音」で表現する「音楽」をやり続けていくのだと思います。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人を想像しますか?

「音遊人」という文字をパッと見た時に「人」という字に意識がいき、そして「自分だな」と思いました。例えばフラストレーションがたまってイライラして「ワア~ッ!」って怒鳴りたくなったりしても、「ワアァァァァ~♪」って音楽のように表現できれば、なんか芸術家みたいじゃないですか。そんなことができたら楽しいだろうなって……そう思えるということは、きっと僕が「音遊人」だからなのではないでしょうか。
そういえば大ヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観たとき、あんなに自分の命をかけて音楽に生きようとするフレディ・マーキュリーの姿を見て刺激を受けたんです。同じ音楽に携わっている者として、自分自身にさまざまなことを問いかけ、今の日本の音楽シーンで自分の人生をかけて音楽をやっている人って何人いるだろうなって思ったりしました。やはり、せっかく音楽の仕事に就いたのだから、聴いてもらう人の心に何かを感じてもらうこと、それにひたむきになるべきじゃないかなって……。
あの映画を振り返ると、フレディの周りは金やドラック、いろんなものが渦巻いているじゃないですか(苦笑)。そういう渦巻いているものが雲だとしたら、その雲を突き抜けて、限りなくキレイな空の中にいて音で遊んでいる人……そんなイメージですね、僕の思う「音遊人」は。

中川晃教〔なかがわ・あきのり〕
シンガーソングライター、俳優。2001年、自身の作詞作曲による『I Will Get Your Kiss』でデビュー。同曲にて第34回日本有線大賞新人賞を受賞。2002年、ミュージカル『モーツァルト!』の主演に抜擢され、初舞台で第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞をはじめ、数々の賞を受賞。舞台、ドラマ、コンサートなど、さまざまなエンタテインメント分野で活躍を続けている。
中川晃教オフィシャルサイト http://www.akinori.info/

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:小山田圭吾さん「唯一の趣味が音楽だった」

16214views

音楽ライターの眼

そのピアニシズムは、人生に光を与える/ジャン=マルク・ルイサダ ピアノ・リサイタル

2255views

楽器探訪 - ステージア「ELC-02」

楽器探訪 Anothertake

持ち運び可能なエレクトーン「ELC-02」、自由な発想でカジュアルに遊ぶ

19988views

ヤマハリコーダー

楽器のあれこれQ&A

ドの音が出ない!?リコーダーを上手に吹くためのアドバイスとお手入れ方法

82473views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

3132views

弦楽器の調整や修理をする職人インタビュー(前編)

オトノ仕事人

見えないところこそ気を付けて心を配る/弦楽器の調整や修理をする職人(後編)

5415views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

3107views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

2442views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

13108views

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

われら音遊人

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

5345views

山口正介さん

パイドパイパー・ダイアリー

「自転車を漕ぐように」。これが長時間の演奏に耐える秘訣らしい

2737views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

15999views

コハーン・イシュトヴァーンさん Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ハンガリー出身のクラリネット奏者コハーン・イシュトヴァーンがバイオリンを体験レッスン!

5312views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

15478views

音楽ライターの眼

弛まぬ進化を続ける、3人のAKIRAによるスーパーサウンド/AKIRA’S Special Live Vol.5

339views

弦楽器の調整や修理をする職人インタビュー(前編)

オトノ仕事人

弦楽器の“健康診断”から“治療”、健康アドバイスまで/弦楽器の調整や修理をする職人(前編)

10437views

スイング・ビーズ・ジャズ・オーケストラのメンバー

われら音遊人

われら音遊人:震災の年に結成したビッグバンド、ボランティア演奏もおまかせあれ!

1866views

P-515

楽器探訪 Anothertake

ポータブルタイプの電子ピアノ「Pシリーズ」に、リアルなタッチ感が得られる木製鍵盤を搭載したモデルが登場!

14447views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

3107views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

すべては、あの日の「無料体験レッスン」から始まった

2737views

楽器のあれこれQ&A

初心者必見!バイオリンの購入ポイントと練習のコツ

546views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

2442views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

4375views