Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:H ZETT Mさん

今月の音遊人:H ZETT Mさん「音楽は目に見えないですが、その存在感たるやすごいなと思います」

色彩豊かなサウンドと、パワフルかつ繊細な演奏テクニックが持ち味のH ZETT M(エイチ・ゼット・エム)。ソロピアニストとして、コンポーザーとして、そしてピアノトリオ H ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)のメンバーとして、ジャンルを超えて多くの聴衆を魅了する彼の音楽の原点に迫りました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

音楽は生活に密着しているものだと思うのですが、そう考えると、学校のチャイムですかね。あの誰もが知っている「キーンコーンカーンコーン~」というチャイムの曲は、人生で一番聴いているんじゃないかと。学校によって曲は異なると思いますが、チャイムは身近にある音楽ですよね。それから毎年聴くという意味では、いわゆるシーズンソングですかね。クリスマスソングやお正月の歌、夏でいうと『海』とか。童謡や唱歌も日本人の生活に密着した音楽だと思います。
僕は4歳のときにピアノを始めて、当初はクラシックばかり弾いていました。でも生活していると、テレビをつければ歌謡曲やCMの音楽、ラジオをつければジャズやテクノなんかが耳に飛び込んできて、いろんな音楽が自分の中でミックスされていきました。今は聴こえてくる音楽を強く意識すると疲れてしまうので、あえて気にしないようにしていますが、ときどき耳にフタをしたいと思うときもあります(笑)。

Q2. H ZETT Mさんにとって「音」や「音楽」とは?

音楽は目に見えないですが、その存在感たるやすごいなと思います。ライブや音楽フェスに大勢の人が集まってくるのを見るたび、「人は音楽を求めているんだな」と実感します。ライブや音楽フェスに来る目的は、盛り上がりたいとか、癒されたいとか人それぞれだと思いますが、音楽が鳴っている場に人が集まる光景は素敵ですよね。
といっても、僕自身は幼いころから人前で演奏することがそんなに好きな方ではなく、学生時代も目立つタイプではなかったし、裏方で曲を作っているほうが楽しいという気持ちが今でもあります。ピアノ独演会(ソロコンサート)もしていまして、楽しいですが、ひとりだと逃げ場もないし大変ですね。ただ、僕もだいぶ成長したんでしょうか。観客の皆さんが僕の音楽を聴いて喜んでくださるならば、と、人前で演奏することに少しずつ前向きになってきたかもしれません。

今月の音遊人:H ZETT Mさん

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人をイメージしますか?

僕はサッカーが好きで、スタープレイヤーがウォーミングアップする動画をよく見るんですが、ボールを巧みに操る技術の高さにいつも感動します。つまり音で遊ぶ人とは、音を操る技術の高い人。音をいろんな表情で見せたり、扱えたりすることのできる人だと思います。これは曲作りにおいても同じで、曲の流れが予定調和ではなく、聴き手を引きつけるような創意工夫が感じられると「この人ひらめいているな、音で遊んでいるな」と思います。
音で遊べるようになるには、黙々と技術を磨くしかないと思います。僕はピアノと同時期に作曲も始めて、自分なりにいろんな実験をしつつ曲作りをしていましたが、音大の付属高校に行くために受けた夏期講習で、先生に「君は和音のことが全然わかっていないね」と言われて愕然として、そこから音楽理論を必死に勉強し始めました。今はSNSで「教えてください」と質問するのも簡単で、最短距離で答えに行き着ける時代ですが、自分で調べて、考えて、行動して、一度は失敗しないと本当の意味で技術は身につかないし、壁を超えたときの大きな喜びが薄れてしまうと思うんです。やっぱり大きな喜びは大きな努力のあとにやってくるもので、大切なものは簡単に手に入らない、ということなんだと思います。

H ZETT M(エイチ・ゼット・エム)
ピアニスト/エンターテイナー/音楽家。その超絶技巧に加え、”無重力奏法”と形容される超人的パフォーマンスは実験音楽と高度な芸術性が融合している。2007年、1stアルバム『5+2=11』(ゴッタニ)を携えデビュー。2011年、初となる台湾ホールワンマンライブを成功させ話題となる。2012〜13年、グランドピアノ1台と彼の体だけでの全26曲レコーディングを収録した『未来の音楽』を発表、続いて新たな可能性への一歩となった『魔法使いのおんがく』を発表。これらの作品を機に始まったピアノ1台だけでの“独演会スタイルライブ”は全編2時間以上ながらも、音楽とともに彼の一挙手一投足にまで満員の観客を釘付けにすることから、各方面から好評を得ている。
H ZETT M オフィシャルサイト http://www.worldapart.co.jp/hzettm/

 

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:小曽根真さん「音楽は世界共通語。生きる喜びを人とシェアできるのが音楽の素晴らしさ」

19392views

音楽ライターの眼

ドヴォルジャークの真の魅力に出合う一冊

4182views

CLP-600シリーズ

楽器探訪 Anothertake

強弱も連打も思いのままに、グランドピアノに迫る弾き心地の電子ピアノ クラビノーバ「CLP-600シリーズ」

41633views

楽器のあれこれQ&A

ドラムの初心者におすすめの練習方法や手が疲れないコツ

8994views

大人の楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

9430views

誰でも自由に叩けて、皆と一緒に楽しめるのがドラムサークルの良さ/ドラムサークルファシリテーターの仕事(後編)

オトノ仕事人

リズムに乗せ人々を笑顔に導く/ドラムサークルファシリテーターの仕事(後編)

5764views

東広島芸術文化ホール くらら - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

繊細なピアニシモも隅々まで響く至福の音響空間/東広島芸術文化ホール くらら

11142views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

5966views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

18948views

われら音遊人:バンド経験ゼロの主婦が集合 家庭を守り、ステージではじける!

われら音遊人

われら音遊人:バンド経験ゼロの主婦が集合 家庭を守り、ステージではじける!

7117views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.3

パイドパイパー・ダイアリー

人生の最大の謎について、わたしも教室で考えた

4413views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

26206views

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ギタリスト木村大とピアニスト榊原大がトランペットに挑戦!

5933views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

11435views

音楽ライターの眼

ブルースの名門レーベル“アリゲイター・レコーズ”が創立50周年

1373views

楽器博物館の学芸員の仕事 Web音遊人

オトノ仕事人

楽器のデモンストレーション、解説、管理までをこなすマルチプレイヤー/楽器博物館の学芸員の仕事(前編)

9456views

われら音遊人

われら音遊人:アンサンブルを大切に奏でる皆が歌って踊れるハードロック!

3867views

楽器探訪 Anothertake

ピアニストの声となり歌い奏でる、コンサートグランドピアノ「CFX」の新モデル

2910views

紀尾井ホール

ホール自慢を聞きましょう

専属の室内オーケストラをもつ日本屈指の音楽ホール/紀尾井ホール

11230views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

いまやサクソフォンは趣味となったが、最初は映画音楽だった

5567views

楽器のあれこれQ&A

サクソフォン講師がアドバイス!ステップアップのコツ

1486views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

5966views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

26206views