Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:Crystal Kayさん「音楽がなかったら世界は滅びてしまうというくらい、本当に欠かせない存在です」

ブロードウェイミュージカル『ピピン』のリーディングプレイヤー役をはじめ、多彩な表現力を持つシンガーとしてマルチなフィールドで活躍するCrystal Kayさん。音楽に対する真摯な想いを伺いました。

Q1.これまでの人生の中で一番多く聴いた曲は何ですか?

難しいですね……。もしかするとボン・ジョヴィかもしれない。ママが超好きで、カー・オーディオの中に『Livin’ On a Prayer』などの曲が入っていて、車に乗るたびに聴いていました。だから、回数で言えばボン・ジョヴィだと思います。彼は私が最初にちゃんと聴いたロックアーティストですし、“イントロダクション・トゥ・ワーク(仕事への入口)”だったのかもしれません。特別に意識してというわけではありませんが、今でもよくかけますね。
意識的に聴く曲ということなら、マイケル・ジャクソンの『Human Nature』かな。子どもの頃から親しんできましたけど、時代を経ても色褪せない、大人になった今でも大好きな曲です。

Q2.Crystal Kayさんにとって「音」や「音楽」とは?

とても単純だけれど、私生きていく上で欠かせないものです。良くも悪くも気分を左右してくれるし、感情を浄化してくれる力もあると思います。その時その時の気持ちを整えたり発散させたりもしてくれるし、人生のBGMにもなってくれる。大切な表現手段でもあるし、音楽がなかったら世界は滅びてしまうというくらい、なくてはならない存在です。
20代後半の2013年から2年くらい、ニューヨークで一人暮らしをしたんですが、そのことで“歌に対する想い”は変わりました。日本という守られた場所から出て、いきなりニューヨークに住んでみたら、それまでは“出る杭は打たれる”という感じだったのが、ここではみんなが出る杭。だから「あなたは何がスペシャルなのかをもっと出して」と言われる。そんな場所に飛び込んだことで、人生の最初の壁というか、どうしたらいいかわからない、ちょっとしたクライシス(危機)にぶつかって、孤独や葛藤も感じました。でも、そのおかげで自分を見つめ直すこともできたんです。自分の弱さも強さも見えましたし、私が感じた孤独や葛藤は、歌を聴いてくれるみんなも感じていることじゃないか、と考えるようになって。こういう部分でリスナーとつながりたい、みんなが感じている辛さや想いを代弁して歌おう、と思いました。
それまでは、歌うことは自分のためと考えていたんですけど、ニューヨークで暮らしたことで「人のために歌うんだ」と気付き、プラス少しだけ自信を付けて帰って来ることができた。“私はどうして歌うのか”ということに関する意識が、そこで変わったんです。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人を想像しますか?

パッとイメージするのはジェイコブ・コリアーというイギリスのミュージシャンです。ピアノをはじめどんな楽器も弾けて、一人で、多重録音で作品を作ってしまう、いい意味でちょっと変態みたいな人。まだ若いけれど何度もグラミー賞を受賞している、まさに天才です。
ジェイコブ・コリアーのことは、友達から「知り合いがライブをやっているから行こう」と誘われて行ったブルーノート東京で初めて知りました。その時はまだそれほど有名ではなかったけれど、パフォーマンスを観て「なんだ、この人は?」と思ったのを覚えています。この時すでに素晴らしいアーティストでしたが、その後にもっと凄い人になっていきました。
彼は、見た目は幼いイメージだけど、声がすごく大人っぽい。すべて一人で演奏するという人間離れした印象なのに、すごくハッピーにパフォーマンスするから、本当に好きなことをして遊んでいる感じがするんです。天性の“音遊人”なんでしょうね。

Crystal Kay〔くりすたる・けい〕
1986年生まれ。神奈川県横浜市出身。1999年『Eternal Memories』でデビュー。『Boyfriend -partⅡ-』『恋におちたら』などのヒット曲で大ブレイク。2015年にCrystal Kay feat. 安室奈美恵『REVOLUTION』『何度でも』を含むロングヒットアルバム『Shine』のリリース後も、ライブなど精力的な活動を続ける。2022年7月6日にDaichi Yamamotoと共作した話題の新曲『Gimme Some』を配信リリース。 2019年、トニー賞4部門受賞のブロードウェイミュージカル『ピピン』日本版に出演し、読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。2022年8月『ピピン』が東京・大阪で再演される。
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photo/ 阿部吉泰
スタイリスト/NARUMI OKAMURA
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