今月の音遊人
今月の音遊人:五条院凌さん「言葉で表現するのが苦手な私でも、ピアノなら自分の感情を、音を通して表現できる」
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今月の音遊人:ジェイク・シマブクロさん「音のかけらを組み合わせてどんな音楽を生み出せるのか、冒険して探っていくのは楽しい」
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2016.4.1
tagged: ウクレレ, インタビュー, ジェイク・シマブクロ, 今月の音遊人
うーん、とても難しい。よく聴いている曲はいっぱいあるし……。その質問は、人生の最期に食べる寿司のネタを考えるのと同じくらい難しいんじゃないかな(笑)。
いろんな角度から答えられると思いますが、ウクレレを最初に習った曲で言えば『きらきら星』ですね。僕のファーストソング。もう一曲は、子どもの頃、ママが寝る前によく歌ってくれたヘレン・レディの『ユー・アンド・ミー・アゲインスト・ザ・ワールド』。今でもこの曲を聴くと眠くなっちゃう。
個人的に好きでよく聴いている曲は、サミュエル・バーバーが作曲した『弦楽のためのアダージョ』。この曲をかけていると、瞑想しているような静かな気持ちになれるんです。非常にパワフルで緊張感あふれるオーケストラの楽曲で、聴く度にそのときの自分に刺激を与えてくれる。パフォーマンスするとき、特にゆったりとしたエモーショナルな曲を弾くときには、この曲から影響を受けていることを感じますね。レナード・バーンスタインが指揮するニューヨークフィルの演奏をはじめ、どのバージョンを聴いてもいつも美しい。僕自身「いつかこんな曲が書けたらな」と思う一曲です。
音や音楽は、自分が感じていることや思っていることを伝えるひとつの表現ですよね。どんな音でも自分の動きにつながっていて、その瞬間に感じていることが音として出てくるんです。
例えば、部屋に入ってきていきなり机をバンと叩いたら、「怒り」や「興奮」という感情を表しているのだと思うでしょう。それは最も原始的な感情の表現ですよね。
だから、複雑な感情を深く理解することによって、いろいろな音を表現できるのだと思います。それは、ピアノ、ドラム、ウクレレ、どんな楽器でも一緒。
そういう意味で、音や音楽は「世界の言語」なのかもしれません。赤ちゃんが自然とパパやママの言葉を覚えるように、音楽は生まれたときから身に付いているものなんじゃないかな。赤ちゃんはおなかが空くと泣く。その泣くという行為自体が「赤ちゃんの音楽」なんですよね。
「音で遊ぶ人」はミュージシャンじゃないかな。自分の理に適っているなと思います。音と遊んで音楽を作るのですから。ただ、音作りをするといっても、あらゆる音と音楽はすでに存在しているもの。それらを僕はたぐり寄せてひとつの作品にしているんです。
パズルの断片を組み合わせてひとつの絵を作っていくように、音のかけらを組み合わせてどんな音楽を生み出せるのか、冒険して探っていくのは楽しい。
あらゆるコンビネーションが存在するけれど、自分の好きなように自由に重ね合わせて、自分が楽しむために、そして誰かに聴いてもらうために、音楽をやっている。
ミュージシャンはまさに「音で遊ぶ人」ですよね。
ジェイク・シマブクロ
ウクレレ奏者/作曲家。1976年ハワイ州ホノルル生まれ。4歳からウクレレを始め、高校卒業後、1998年「PURE HEART(ピュア・ハート)」のメンバーとしてデビュー。同年、デビューアルバムをリリース。翌年、ハワイのグラミー賞と称されるナ・ホク・ハノハノ・アワードで新人賞、最優秀アルバム賞などを受賞。ロックやジャズ、ブルース、クラシックなど、多ジャンルの音楽を取り入れた演奏で、ウクレレのイメージを一新し、ハワイアン・ミュージックシーンに大きな影響を与えた。2002年にソロデビュー。2006年に映画『フラガール』のテーマ曲を手がけ大きな話題を呼んだ。2016年、日本デビュー15周年を迎える。
ジェイク・シマブクロ オフィシャルサイト(日本語)http://jakeshimabukuro.jp/
Jake Shimabukuro Official Site(英語)http://jakeshimabukuro.com/
文/ 佐藤雅子
photo/ 阿部雄介
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