今月の音遊人:世良公則さん「僕にとって音楽は、ロックに魅了された中学生時代から“引き続けている1本の線”なんです」

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今月の音遊人「世良公則」さん
今月の音遊人:世良公則さん「僕にとって音楽は、ロックに魅了された中学生時代から“引き続けている1本の線”なんです」

60歳のアニバーサリーイヤーとなる今年、次々とプロジェクトを発表している世良公則さん。日本人が日本語でロックをやることが当たり前の時代が来る。そう確信し、日本のロック界を牽引してきました。「大人なんだしロックはもう卒業という人がいるけれど、音楽は卒業するものじゃない」と話す世良さんの根底にあるものとは?

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

ザ・ローリング・ストーンズ『It’s Only Rock’n Roll』かな。音楽を聴く時間がたくさんあった大学2年生ぐらいのころ、月並みな表現ですけれど、まさにレコードの溝が擦り切れるぐらい聴いていましたね。
僕は3歳からバイオリンを始めて、おかげで小中学校の音楽の授業ではどんな楽器も初見で演奏できたんです。でも、バイオリンは音楽じゃなくて、トレーニングとか習い事という意識でやっていましたね。
後に「この音楽が好きだ!」と夢中になったのはロックミュージック。初めて接したのはギターを始めた中学生のときです。当時、僕の周りは放課後、女子生徒に囲まれてビートルズを弾いていたのですが、自分にはなんだか馴染まない。そんなとき、毛布をかぶってこっそり深夜ラジオを聴いていたら、ストーンズの曲が流れてきた。そのエネルギーにびっくりしましたね。バイオリンは、楽譜どおりに誰が一番うまく弾けるか、というところもあると思うんです。違うところに行きたくても行っちゃいけない世界なのかな、と。でも、ロックミュージックは単に上手い、下手だけじゃない。「なんだ、この無軌道な感じは!」と興奮しました。
『It’s Only Rock’n Roll』は今も聴きますし、おそらく生涯聴くでしょうね。音楽の魅力のひとつに、つくり手の思惑を飛び越えて、聴き手のそのときの状況に重きが置かれるということがあると思うんです。僕の場合も『It’s Only Rock’n Roll』は、音楽に対するあのころの憧れみたいなものと直結します。

今月の音遊人「世良公則」さん

Q2.世良さんにとって「音」や「音楽」とは?

僕はプロフェッショナルである前に、いち音楽ファンだと思っているんです。いち音楽ファンの延長線上にプロの自分がいる。音楽は僕にとって、ロックに魅了された中学生時代から“引き続けている1本の線”だと思うんです。
中高生のころは、今引いているこの線はどこかでいっぱいになると思っていました。でも、大学生になったらもっと引ける!そして、その線を引き続けていくことで、自分自身がイメージしていたキャンバスがどんどん大きくなっていったんです。
僕は、デビュー前から、日本人が日本語でロックをやることが当たり前の時代が来るという意識を持っていました。デビューしたときは、「テレビに出るようなロックは本物じゃない」とか「ミーハーだ」とか批判もされましたけどね。でも、1本の線を引き続けることで、我々を見てバンドを始める子たちが必ず出てくる。20代のときに夢を尋ねられたら、「ともかく音楽を続けること」と答えていました。
止まることなく引き続けている線そのものが僕にとっての人生だし、それを引き終わるときが僕の人生が終わるときかな。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人をイメージしますか?

一番音で遊んでいるのは、幼児だと思うんです。プラスチックのバケツがぶつかる音でも、旋律になっていない木琴の音でも、やたらと興奮して何度もその音を出そうとしますよね。そういう衝動のようなものが、一番音を楽しんでいることだと思うんです。僕も、何でもぶつけて喜んでいる子だったらしいですけど(笑)。
大人になると、何らかの理由をつけて批評したり批判したり、定義付けをしたくなります。でも、もっと単純に小さい頃のような衝動を持ち続けるべきだと思うんです。
“もう大人なんだから”というエクスキューズを取り払って、自分が本当に好きな音楽や楽しいことをやってみる。昔、自分が夢中になったものをリタイアしてからもう一度始めるというケースはよくありますよね。それをリタイア前から始めてもいいんじゃないかと思います。

世良 公則〔せら・まさのり〕
1977年『あんたのバラード/世良公則&ツイスト』でデビュー。『銃爪(ひきがね)』『燃えろいい女』などヒット曲を連発し、1978年のデビューアルバム『世良公則&ツイスト』で日本のロックをメジャー化する。現在はソロのほか「音屋吉右衛門」、「GUILD9」などさまざまなユニットで音楽活動を展開。アニバーサリーイヤーとなる2015年、野村義男とのアコースティック・ユニット「音屋吉右衛門」のライブアルバム『オトコノウタ』、つるの剛士との初のデュオ曲『いつものうた』、世良自身が監修した初のオフィシャルベストアルバム『Premium BEST Songs & Live~いつものうた〜』をリリース。
世良公則オフィシャルサイト http://seraproject.com

 

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文/ 福田素子
photo/ 武藤章