今月の音遊人
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ピアノから生まれる瞬間の美を紡ぎ、彼の地に誘う/アルベルト・ピッツォインタビュー
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2016.5.30
tagged: ピアノ, イタリア, CFX, Memories, アルベルト・ピッツォ
アルバム「Memories」をプレイヤーのトレイにセットしてプレイボタンを押すと、ふんわりとしたストリングスのサウンドに包まれた、実にソフトでピュアなピアノの音が流れてくる。イタリアのナポリで生まれたアルベルト・ピッツォは、子供の頃から親しんできたクラシック音楽をベースに、ジャズや映画音楽などから得た多彩なハーモニーを加え、彼ならではの美しい音楽を聴かせてくれるピアニスト兼コンポーザーだ。
「自分のバックグラウンドは子供の頃から親しんできたクラシックですが、5年ほど前にニューヨークを訪れた際、あらためてジャズに感銘を受けたのです。クラシックにはなかったハーモニーを取り入れるなどしてオリジナル曲を増やしたことで、自分がやりたかった音楽に近づきました。もともとキース・ジャレットやチック・コリアのような、クラシックの素養もあるジャズ・ミュージシャンのピアノ演奏には憧れていましたので、自然に吸収できたのでしょう。ビートルズやスティング、エンニオ・モリコーネ、それから久石譲の音楽にも惹かれますし、今回は、素晴らしい映画音楽などを作曲しているルイス・バカロフと共に『Memories』というアルバムが作れたのは幸福でした」
コンサートでは冒頭に、同じナポリ生まれで「イタリア人である自分にとっては大切な作曲家」だという、D・スカルラッティの曲を演奏することが多い。どういったジャンルの音楽であれ自分の中から出てくるものですし、偏見をもたずに演奏しながら自分のスタイルと音を模索しています。日常の中にも音楽を生み出すヒントはたくさんありますね。たとえば京都や奈良といった風情のある街が大好きなのですが、以前に京都を訪れたとき、雨に降られてしまったことがありました。その静かで美しい雰囲気に感銘を受け、『MIYABI』という曲が生まれたのです。旅をするといろいろな風景や人との出会いがあり、その印象から曲が生まれる場合もたくさんありますから、音楽で思い出や光景などを聴衆と共有できれば素晴らしいと思います。温泉も大好きですよ。日本人である妻の故郷が松山ですから。有名な道後温泉にも入りましたが、自分にはちょっとお湯が熱すぎるかな(笑)」
さまざまなタイプの音楽を吸収して自らの世界を構築するピッツォだが、多様で繊細な音を伝えてくれるピアノの響きには敏感。そんな彼が「Memories」で選んだピアノはヤマハのコンサートグランドピアノCFXだ。「音のバランスが本当に素晴らしく、特に力強い低音部の響きは印象的です。中音域は鋭さも兼ね備えており、それでいて全体の響きはまろやか。この幅広い表現力があるからこそ、どのようなタイプの音楽でも安心して弾けますね」
風景が見えてくるような彼の音楽は、私たちをつかの間の旅へと誘ってくれるのだ。
『Memories』
発売元:ソニーミュージック
発売日:2016年3月18日
価格:1,795円(税込)※輸入盤のため販売店により価格が異なります。
文/ オヤマダアツシ
photo/ 後藤泰宏
tagged: ピアノ, イタリア, CFX, Memories, アルベルト・ピッツォ
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