今月の音遊人
今月の音遊人:NOKKOさん「私の歌詞の原点は、ユーミンさんと別冊マーガレット」
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300年という長い眠りから覚めた愛器の声を聴く/千住真理子インタビュー
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2016.6.10
tagged: 千住真理子, バイオリニスト, ストラディヴァリウス, デュランティ, MARIKO plays MOZART, モーツァルト, バイオリン
バイオリニスト千住真理子さんの愛器、ストラディヴァリウス「デュランティ」。1716年に作られ、ローマ法王クレメント14世からフランスのデュランティ伯爵家へと渡り、表舞台に出ることなく「幻のストラディヴァリウス」と言われた。その後もスイスでひっそりと保管され、誕生から300年近くプロ奏者に弾かれることはなかった。そのデュランティが、千住さんの元に思いがけず持ち込まれたのが2002年。一音弾いて、生き物に触れたような感覚に身震いし、楽器のオーラを感じて手離すことができなかったという。
今年300歳を迎えるデュランティを祝福するアルバムのリリースとリサイタルについてお話をうかがった。
デュランティ300歳を記念してリリースされたアルバム『MARIKO plays MOZART』は、デュランティと同年代の音楽家、モーツァルトの作品集だ。
「デュランティと相性のいい曲は何かと考えたとき、この上なく美しいモーツァルトの世界をプレゼントしたいと思いました。この楽器を手にしたときからモーツァルトを弾いてみたいと思っていましたが、当時はまだ楽器が練れていませんでした。4年、5年と弾き込むうちに、まるで冷凍から解けて息を吹き返すかのように楽器がなじんできました。今や私の身体の一部のような存在です」
長い眠りから覚めたデュランティの「嬉しい声」を聴かせたいと千住さんが収録曲に選んだのは、輝く喜びに満ちた『アレルヤ』に始まり、祈りの気持ちを込めた『アヴェ・ベルム・コルプス』に終わる全14曲。ほかに、ピアノ・ソナタや歌劇『フィガロの結婚』のアリア、『バイオリン・ソナタ第28番』など、デュランティの多彩な音色や豊かな表現力をいきいきと伝えるラインナップだ。
「ピアノやオーケストラの曲、歌劇など、バイオリン作品以外の曲もたくさん聴いて、そのときの自分の感性にピンときた曲をピックアップした後、スコアリーディングをしながら長い時間をかけて選びました」
自身の厳選による珠玉のモーツァルトが、デュランティによって新たな魅力を放つ。
共演は、ピアニストで作曲家としても活躍する山洞智氏。今回、ピアノとバイオリンのための編曲も手がけた。「ここからは1オクターブ上で」「ここはフラジオレットで」といった千住さんのアイデアも盛り込まれている。原曲を活かした編曲、ソナタの楽章や大曲からの巧みな抜粋など、どの曲も独立した小品として楽しめるのが特徴だ。
そしてもうひとつの300歳の記念は、2016年7月に開催されるプレミアムな『千住真理子ヴァイオリン・リサイタル』。ピアノに山洞氏、チェロに長谷川陽子氏を迎え、息の合ったアンサンブルを聴かせる。
前半は『MARIKO plays MOZART』収録曲を中心に『子守歌』や『トルコ行進曲』などを、後半に『愛のあいさつ』や『赤とんぼ』、『ツィゴイネルワイゼン』ほかという楽しみなプログラムだ。
「作品の力を借りてデュランティの魅力が引き出されていく瞬間を体感いただきながら、ともに300歳を祝ってくださればと思います。モーツァルトは私たち人間にとって心の癒しにもなります。そんなモーツァルト効果も、デュランティの素晴らしい生の音で楽しんでください」
軽快なメロディに秘められた悲しみや、聴く人の心を映し出すような不思議な魅力にあふれるデュランティ。300年を生きた「わが子」のようなデュランティと一体となり奏でられる渾身の調べは、ホール空間にどんなミラクルを起こすのだろうか。まさに一期一会の貴重なひとときとなりそうだ。
『MARIKO plays MOZART』
発売元:ユニバーサルミュージック
発売日:2016年4月27日
価格:3,240円(税込)
日時:2016年7月16日(土)13:30開演
会場:東京オペラシティコンサートホール
料金:5,400円(税込)
文/ 芹澤一美
photo/ 阿部雄介
tagged: 千住真理子, バイオリニスト, ストラディヴァリウス, デュランティ, MARIKO plays MOZART, モーツァルト, バイオリン
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