今月の音遊人
今月の音遊人:ROLLYさん「曲の素晴らしさや洋楽との出会いなど、大切なことはすべてフィンガー5から学びました」
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トルコ出身のピアニスト兼作曲家、ファジル・サイの特別公演
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2014.8.19
ウィーンのフォルクステアターで行われた、ファジル・サイの特別公演に行ってきました。サイはトルコ出身のピアニスト兼作曲家ですが、このところの活躍は目覚しく、今年だけでも、すでに3回もウィーンで演奏をしています。また、ウィーンのコンサートホール、「コンツェルトハウス」がサイを今年の「コンポーザー・イン・レジデンツ」に選んだように、作曲家としての評価も非常に高く、他の幾つかのコンサートホールからも作曲家として招待されています。
今回の特別公演は、トルコ政府に目をつけられ、法廷に呼び出されたことのあるサイが、現実に起きているトルコの首相の独裁化に反対するインテリ層や若者たちのデモの描写を、ピアノ曲およびピアノ協奏曲に書き上げたものです。当然イスタンブールでは演奏はできません。やはりウィーンで大人気のトルコ出身の双子のピアノデュオ、エンダー姉妹が音頭をとり、ドイツからのオーケストラ、パーカッションのマーティン・グルービンガー、声楽家たちが一堂に会してサイの作品を演奏し、ソリダリティ(連帯)を表示したのがこの特別公演です。デモで負傷した人たちのためのチャリティーコンサートにもなりました。
サイの作品のほとんどは、周辺に起こったことの印象や衝撃からインスピレーションを得ていて、音を使ってそれらを絵画的に描写し、物語を朗読するように表現します。こういう類の現代作曲家はめずらしく、ピアノの腕前も、演奏技術はもとより即興演奏が出来るなど、その才能は素晴らしいものです。
サイはこれまでに何度か来日公演を行っており、日本をよく知っています。「2015年には日本の東京フィルハーモニー交響楽団から作曲家として作品を依頼されていて、すでにいろいろなインスピレーションやアイディアがわいています」と、うれしそうに言っていました。
文/ 祐子グルダ
photo/ Mustafa Toygun Özdemir, Mustafa Ertuğral
tagged: ピアノ, ファジル・サイ, エンダー姉妹, トルコ, ウィーン, マーティン・グルービンガー
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