今月の音遊人:五嶋みどりさん「私にとって音楽とは、常に真摯に向き合うものです」

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五嶋みどり
今月の音遊人:五嶋みどりさん「私にとって音楽とは、常に真摯に向き合うものです」

世界を舞台に、真摯に音楽を奏で続けるバイオリニストの五嶋みどりさん。その一方で意欲的な社会貢献活動も行っている五嶋さんに、音楽への思いについて伺いました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

ご質問への回答にはなっていないと思いますが、バッハの『無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ』は、すべてのバイオリニストが特別な存在であると認める、唯一無二の作品です。私も小学生の頃から取り組んできて、コンサートホールだけではなく、祝典や礼拝の場、避難民のキャンプや病院の集中治療室など、さまざまな場所で演奏してきました。練習や演奏を重ねるたびに新しい発見があり、技術的にも多くのことをこの作品から学びました。数多いバイオリンのレパートリーの中でも頂点に立つ作品だと思いますし、力強く情熱的なところもあります。演奏家にとっては技術だけではなく、音楽的にも完璧を求められるバイブルのような作品だといえるでしょう。一生かかってもマスターするのは難しいといわれる偉大な曲です。

Q2.五嶋さんにとって「音」や「音楽」とは?

特にこれといって意識をすることはありません。2002年に「ミュージック・シェアリング」というNPOを設立し(母体となった団体は1992年に設立)、さまざまな活動を行っています。その中で、若手の音楽家と共に、日本の特別支援学校の子どもたちに楽器演奏の指導を行う活動があります。私はアメリカに住んでいるので、なかなか直接指導に足を運べる機会が少ないのですが、ときどき練習を見に行ったり、スタッフが撮影してくれたビデオなどで子どもたちの成長や上達を見るのが楽しみなのです。彼らが奏でる音を聴くと、音楽の原点に触れることができたような気持ちになり、あらためて「音楽」について考えさせられることがあります。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人をイメージしますか?

私にとって「音楽」とは「常に真摯に向き合うもの」なので、「音」で「遊ぶ」という感覚はありませんね。

五嶋みどり〔ごとう・みどり〕
11歳のとき、ニューヨーク・フィルハーモニックとの共演で鮮烈なデビューを果たす。数多くのコンサート、CD録音などで名演を聴かせ、現在も年間で100回ほどのコンサートに出演。その一方で自ら設置した「認定NPO法人ミュージック・シェアリング」をはじめとする団体・プログラムに携わり、音楽家による社会貢献活動のモデルとして約25年間も活動を続けている。2007年からは「国連ピース・メッセンジャー」としても活躍。
五嶋みどりオフィシャルサイト http://www.gotomidori.com/

文/ オヤマダアツシ
photo/ 後藤泰宏