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今月の音遊人:下野竜也さん「自分を楽しく表現できれば、誰でも『音で遊ぶ人』になれると思います」
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兄弟それぞれのピアノへの想い/『レ・フレール』斎藤守也&斎藤圭土インタビュー
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2017.6.2
tagged: ピアノ, レ・フレール, Les Freres, 斎藤守也, ピアノデュオ, KEITO&VASKO“Viano”, ヴァスコ・ヴァッシレフ, 斎藤圭土
1台のピアノの鍵盤を4本の手で華麗に繰る独特のプレイスタイルと、独自の楽曲で注目される兄弟デュオ「レ・フレール」。鮮烈のデビューから2016年で10年が経ち、兄・斎藤守也、弟・斎藤圭土ともにソロとしても活躍中だ。
2017年3月には、守也が初のピアノソロアルバムを、圭土が2タイトルを同時にリリース。コンポーザー、そしてピアニストとしての活動に目が離せないおふたりそれぞれにお話をうかがった。
まさに“満を持して”という表現がふさわしい。2017年3月1日、斎藤守也の待望のピアノソロアルバム『MONOLOGUE』がリリースされた。「レ・フレールとしての活動を10年間集中してやってきた今だからこそ、できたアルバム。結果的にはこのタイミングで良かったと思っています」と彼は語る。
幼少期から音楽が好きで、家にあったキーボードで作曲していた。12歳でピアノを始めたが、その頃ピアノは作曲をするための手段だった。そして、すばらしい先生と巡り会いピアノの楽しさや気持ちよさを教わり、レ・フレールとしてデビュー。そして、今、心からピアノが好きだと思う気持ちがピークに達している。
「レ・フレールとしてやっているからみなさんが認めてくださっているという思いがあり、ピアニストとして自分はどうなんだろうという不安はずっとありました。これだけやっているのに、いまだにピアニストと呼ばれるのは恥ずかしい(笑)。でも、ピアニストとしての自覚をしなければと腹を決めてリリースしました」
「ソロだからこそできること」に心を砕いて自分の世界にどっぷり浸かり、かなり“素”を出した。独白を意味する『MONOLOGUE』というアルバムタイトルにも、その思いはにじむ。コンセプトは「アルバム1枚の中の多面性」。独特な世界観を築いてきた彼だが、今回はそれをさまざまな角度、時間軸、深度から表現する。情熱と静寂。清らかさと猛々しさ……。歌を奏でているような音色が心に響く。
自身にとって、今年は新たな幕開けの年でもあるという。「今までやってきたことを伝えていきたいという気分になっているので、今後は子どもたちのワークショップなども開きたいですね。2年ほど前から老人ホームや病院などの施設で演奏をしているのですが、観客に来てもらうライブではなく、こちらから行くという活動を展開していきたい。コラボレーションなど自分にできることならどんどんやっていきたいと思っています」
ますます広がっていく守也のフィールド。今後、いかなる世界を拓き、どんな音で魅せてくれるのだろう。
レ・フレールとして、ブギ・ウギピアニストとして、そしてヴァスコ・ヴァッシレフとのユニットとして。多くの顔を持ち、多彩な輝きを放つ斎藤圭土。2017年3月15日にソロシングル『夜明け』とユニットとしてのセカンドアルバム『Viano Universe(ヴィアーノ・ユニバース)』を同時リリースし、また新たな魅力を見せた。
『夜明け』は、昇りゆく太陽が真新しい世界を照らし出す、そんな壮大な情景を鮮やかに描き出したメロディが心に迫る。同時収録されている『琉球頌歌』は、沖縄の旋律を取り入れ、その歴史、文化を音楽で表現した。この2曲に共通するモチーフは太陽、そして日本。『夜明け』は日本を象徴する太陽から、『琉球頌歌』は琉球に伝わる神話の太陽神から着想を得た。
「レ・フレールとして活動を始める前、僕はブギ・ウギピアニストとして海外での活動が多かったんです。自分の強みはなんだろうと考えたとき、根本的なこととして『日本人であること』なんじゃないかなと思って」
日本というテーマを独自の感覚で昇華させ、表現した楽曲は、メロディアスで物語性があり、そして美しい。
一方の『Viano Universe』では、また違った音世界を創造し、聴き手を魅了する。英国ロイヤルオペラハウスの第一ソロコンサートマスターに史上最年少で就任した、ブルガリア出身のバイオリニスト、ヴァスコ・ヴァッシレフとのユニット「KEITO&VASKO“Viano” (ケイトアンドヴァスコ ヴィアーノ)」は、2014年のメジャーデビュー以来、国内外で高い注目を集めている。「バイオリンとピアノの美しき融合」を見事に表現してきた彼らだが、今回のセカンドアルバムではさらに大きな広がりを見せる。
「ブルガリアン・ヴォイス、スペインのウインドオーケストラなどいろいろな国のアーティストが参加してくれています。『富士山ブギ』を海外のアーティストが演奏してくれるなど、楽しくてインターナショナルなアルバムに仕上がっていると思います」
「昨日より今日の方がうまい。それくらいの思いでやっていかないと上達しない」と語る圭土は、最近、ようやくピアノと一体になった感覚を得られるようになったという。「ピアノを始めてから30年以上経って、ようやくです。それでもほんの一瞬ですが」
常に進化を続ける彼の、今後の一層の活躍が楽しみだ。
斎藤守也『MONOLOGUE』
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売日:2017年3月1日
価格:3,240円(税込)
斎藤圭土『夜明け』
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売日:2017年3月15日
価格:1,000円(税込)
KEITO&VASKO“Viano”『Viano Universe』
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売日:2017年3月15日
価格:2,800円(税込)
文/ 福田素子
photo/ 福知彰子
tagged: ピアノ, レ・フレール, Les Freres, 斎藤守也, ピアノデュオ, KEITO&VASKO“Viano”, ヴァスコ・ヴァッシレフ, 斎藤圭土
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