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AIがダンサーをピアニストにする!?新たな時代の扉を開く一夜限りの公演「舞・飛天遊」
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2017.11.10
tagged: CFX, ベルリンフィル・シャルーンアンサンブル, Disklavier™, AI, ダンサー, 森山開次, 舞・飛天遊, シャルーンアンサンブル
20世紀末にこの世を去ったピアノの巨匠リヒテルを蘇らせ、世界最高峰の合奏団ベルリンフィル・シャルーンアンサンブル(以下、シャルーンアンサンブル)との共演を果たしたのは2016年のこと。未来の演奏会のあり方を示唆し、人々をあっといわせたその公演を可能にしたのは、ヤマハが開発した「人工知能(AI)演奏システム」だった。
あれから約1年──。ヤマハはその技術をさらに進化させ、今度はAIがダンサーの動きをピアノ演奏で表現し、合奏団とのアンサンブルを行うという。
2017年11月22日、東京藝術大学奏楽堂で開催される『舞・飛天遊(まい・ひてんゆう)』。この日、驚異のダンサーと称され、国際的にも高い評価を得ている森山開次(もりやまかいじ)とシャルーンアンサンブルの共演が実現する。両者のコラボレーションだけでも、画期的な時空間になることは容易に想像できるだろう。しかし今回、森山はAIを通じ自らの体を使ってピアノを演奏し、観客の目と耳を刺激する芸術表現を創生。そして、その音とシャルーンアンサンブルがさらなるアンサンブルを生み出す。
なぜ、そんなことが可能なのか。ヤマハ(株)研究開発統括部の田邑元一(たむらもといち)さんによれば、手の角度や足の動きを検知する伸縮センサー、僧帽筋など特定の筋肉の緊張度合を電位で測る筋電位センサー、動きのスピードを測る加速度センサー、さらに回転も加えたジャイロセンサーの4種類のセンサーで動きを検知し、そのパターンを瞬時に解析。AIはそのパターンに関連づけられた演奏をリアルタイムで創り出し、世界最高峰の再生制度を誇るヤマハの自動演奏機能付きアコースティックピアノ「Disklavier™(ディスクラビア)※」に演奏を指示するという。
※今回のためにコンサート用グランドピアノ「CFX」の「Disklavier™」を特別に用意
演奏される曲は、松下功の代表作『飛天遊』の舞バージョンである『舞・飛天遊』で、もちろんこれが初演となる。世界的に高い人気を誇るこの和太鼓協奏曲から、今回は和太鼓のパートをすべて抜いた。
「和太鼓のパートを抜いてしまうとまったく違う音楽になります。そこにさらに舞の要素を入れた『舞・飛天遊』という新しい音楽に創り直す必要がありました。まず、この世には存在しない和太鼓なしの『飛天遊』を録音し、その音を使って森山さんに踊ってもらう。その動作と、どのような音を関連付けるか。森山さんから、この体の動きでこの音が鳴るんだったら、こういう演技をしようとフィードバックがあったり。システムのクセを踏まえながら、一緒に改良を繰り返して創り上げていくという感じでした」(田邑さん)。
センサーの実験段階からずっと携わってきた、その森山はこう語る。
「ダンサーは常に音楽家と関わりながら作品を創っています。素晴らしい演奏家がいるのに、敢えて僕が奏でる意味や意義は何だろうと最初は考えました。でも『飛天遊』というすばらしい作品の新しい解釈にチャレンジさせていただけること、シャルーンの方と機械とコラボレーションできること、先が見えないことに挑戦できるという贅沢が詰まっています。AIというものが、僕たちの世界のなかでどういうものになっていくのか。それを生でやってみるのに、今はとてもいい時期だと思うんです」
この公演では、AIとダンスの動き、そしてシャルーンアンサンブルによる音楽が、呼吸を合わせた演奏を行うことになる。
「これまでヤマハが生み出してきたものは、人間が使う道具。でも楽器を、人間と楽しくコラボレーションするというところまで高めていきたいんです。人間と機械が仲間として共存し、感動をともにつくり出せたらと思っています」(田邑さん)
『舞・飛天遊』公演の前半は、伝統を守りつつ、常に新たな挑戦と改革を続ける唯一無二の演奏団体シャルーンアンサンブルによる演奏。シューベルトとモーツァルトの名曲のエレガントな響きを堪能したい。
「休憩を挟んだ後半は、ダンスと音楽が融合するまったく新しい音楽表現をぜひご覧いただきたいですね。また、森山さんがピアノと一体化したり、パートナーのように対話したり。そういった不思議な世界も見どころです」(田邑さん)
世界が認める才能と最先端科学が共演する一夜限りの公演に期待が高まる。
日時:2017年11月22日(水)19:00開演(18:30開場)
会場:東京藝術大学奏楽堂(東京都台東区上野公園12-8)
入場料:5,000円(税込・全席指定)
出演:森山開次、ベルリンフィル・シャルーンアンサンブル
曲目:シューベルト『八重奏曲』ヘ長調 D.803/モーツァルト『クラリネット五重奏曲』イ長調 K.581/松下功『舞・飛天遊』(舞バージョン初演)※人工知能(AI)演奏システムを使用するプログラム
文/ 福田素子
photo/ 宮地たか子
tagged: CFX, ベルリンフィル・シャルーンアンサンブル, Disklavier™, AI, ダンサー, 森山開次, 舞・飛天遊, シャルーンアンサンブル
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