Web音遊人(みゅーじん)

フジ・ロック・フェスティバル'18にボブ・ディランが参戦。歴史的イベントをたっぷり楽しむには

FUJI ROCK FESTIVAL’18にボブ・ディランが参戦。歴史的イベントをたっぷり楽しむには

2018年7月27日(金)から29日(日)、ロックを彩る夏の祭典“フジ・ロック・フェスティバル’18”が開催される。

1997年に第1回が行われたが、台風で2日目が中止。第2回では熱中症で搬送される観客がマスコミで報じられるなど、波乱含みのスタートを切ったフジロックだが、1999年から新潟県の苗場スキー場に開催地を移し、日本を代表する音楽系の夏フェスとして愛されてきた。毎年150アーティスト以上が出演する3日間はさまざまな層の音楽リスナーを満足させるもので、近年では熱心なフジロッカーは出演アーティストが発表される前からスケジュールを空けておくなど、信頼のおけるブランドとなっている。

苗場での開催は20回目。初期から参戦しているリピーターとその子供、場合によっては孫世代までが訪れるフェスということもあり、出演アーティストの年齢層も幅広い。29日(日)のヘッドライナーとして発表されているボブ・ディランは1941年5月生まれの77歳。それに対して、同日出演するSuchmosのYONCEは1991年8月生まれの26歳だ。それ以外にも、“メンフィス・ソウルの女王”カーラ・トーマスが1942年12月生まれの75歳、ケンドリック・ラマーが1987年6月生まれの31歳、スクリレックスが1988年1月生まれの30歳。半世紀の年齢差を呑み込んでしまう懐の深さが、フジロックにはあるのだ。

第22回を迎えるフジロックで最大級の話題を呼んでいるのが、ボブ・ディランの出演である。20世紀から21世紀にかけて最も重要な音楽アーティストの一人と呼ばれるディランにとって、今回は1978年の初来日公演以来、101回目のステージとなる。2016年のノーベル文学賞受賞以来初となる日本でのライヴには、4万人を超える大観衆が集結することが予想される。

2018年のツアーでは演奏曲目がかなり固定されており、映画『ワンダー・ボーイズ』主題歌として発表された「シングス・ハヴ・チェンジド」からスタート。「追憶のハイウェイ61」、「廃墟の街」、「ブルーにこんがらがって」、そして「風に吹かれて」、「やせっぽちのバラッド」などの有名曲はほぼ全公演でプレイされている。フジロックでのステージは“フェスティバル=祭典”にふさわしい、日本の夏フェス史上、最も重要なライヴのひとつとなることが確実だ。

さらに初日のN.E.R.Dや2日目のケンドリック・ラマー、1980〜1990年代を席巻したフィッシュボーンやホットハウス・フラワーズ、21世紀のロックを提示するヴァンパイア・ウィークエンドやチャーチズ、MGMTなど、あらゆる世代をターゲットにしたアーティストが登場。たっぷり楽しめる3日間だが、気をつけておかねばならないポイントがいくつかある。

フジロックは野外フェスであり、苗場の山中は昼夜の寒暖差が激しい。また雨天決行のため、まさに「はげしい雨が降る」状態になるかもしれないので、雨ガッパなどの準備は怠りなきよう(ただし雨傘は後ろの人がステージを見られなくなるのでNG)。

なおディランはフェスのメイン・イベントを務めるため、彼がステージに上がるのは午後9時過ぎになる。そうなると終演時間は午後11時過ぎで、東京などへの新幹線はとうに終わっている。翌日が月曜日で仕事がある人も少なくないだろうし、終電タイムは要チェックだ。ベストなのは月曜日に有休を取ってしまうことだが……。

フェス会場に最も近いJR越後湯沢駅近辺には午前3時までやっている居酒屋はあるものの、その後は始発まで待つことになり、深夜営業の漫画喫茶はない(2017年7月現在)。駅のシャッターは閉まってしまうし、前でたむろすのは禁止のため、できる限り宿泊施設は確保しておきたい。

備えあれば憂いなし。しっかり準備して、フジロックをたっぷり楽しもう。

■フジ・ロック・フェスティバル’18/FUJI ROCK FESTIVAL’18

主催:SMASH Corporation
企画・制作:SMASH/HOT STUFF PROMOTION
日にち:2018年7月27日(金)~29日(日)※雨天決行
場所:新潟県湯沢町苗場スキー場
詳細はこちら

山崎智之〔やまざき・ともゆき〕
1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に850以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検第1級、TOEIC 945点取得
ブログインタビューリスト

 

特集

今月の音遊人:大西順子さん「ライブでは、練習で考えたことも悩んだことも全部捨てて自分を解放しています」

今月の音遊人

今月の音遊人:大西順子さん「ライブでは、練習で考えたことも悩んだことも全部捨てて自分を解放しています」

11891views

ジャズとロックの関係性

音楽ライターの眼

コルトレーンってビートルズ・ナンバーを演奏してなかったんだっけ?──再び

5165views

STAGEA(ステージア)ELB-02 - Web音遊人

楽器探訪 Anothertake

見ているだけでわくわくする!弾きたい気持ちにさせるエレクトーン

7403views

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法 - Web音遊人

楽器のあれこれQ&A

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法

15476views

バイオリニスト石田泰尚が アルトサクソフォンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】バイオリニスト石田泰尚がアルトサクソフォンに挑戦!

12311views

楽器博物館の学芸員の仕事 Web音遊人

オトノ仕事人

楽器のデモンストレーション、解説、管理までをこなすマルチプレイヤー/楽器博物館の学芸員の仕事(前編)

11474views

久留米シティプラザ - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

世界的なマエストロが音響を絶賛!久留米の新たな文化発信施設/久留米シティプラザ ザ・グランドホール

19068views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

8594views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

22341views

われら音遊人:「非日常」の充実感が 活動の原動力!

われら音遊人

われら音遊人:「非日常」の充実感が活動の原動力!

7973views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

あれから40年、おかげさまで「音」をはずさなくなりました

4544views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

25066views

今、注目の若き才能 ピアニスト實川風が ドラム体験レッスン!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】今、注目の若き才能 ピアニスト實川風が ドラム体験レッスン!

8601views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

世界中の珍しい楽器が一堂に集まった「浜松市楽器博物館」

30476views

音楽ライターの眼

スペース・ロックは終わらない。ホークウィンドが最新アルバムと監修コンピレーションを発表

1871views

オトノ仕事人

コンサートの音の責任者/サウンドデザイナーの仕事

12091views

われら音遊人

われら音遊人:ただ今、バンド活動リハビリ中!

7830views

CLP-600シリーズ

楽器探訪 Anothertake

強弱も連打も思いのままに、グランドピアノに迫る弾き心地の電子ピアノ クラビノーバ「CLP-600シリーズ」

44430views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

11566views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォン教室の新しいクラスメイト、勝手に募集中!

4500views

楽器のあれこれQ&A

サクソフォン講師がアドバイス!ステップアップのコツ

2317views

こどもと楽しむMusicナビ

クラシックコンサートにバレエ、人形劇、演劇……好きな演目で劇場デビューする夏休み!/『日生劇場ファミリーフェスティヴァル』

6652views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

29679views