今月の音遊人
今月の音遊人:ジェイク・シマブクロさん「音のかけらを組み合わせてどんな音楽を生み出せるのか、冒険して探っていくのは楽しい」
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骨格模型との異色のツーショットで微笑むのは、『目からウロコのピアノ脱力法』の著者、馬塲マサヨ。ピアノ演奏に使うべき腕や指の筋肉と関節の動きを解剖学の視点で細かく分析し、無駄な力を入れずにピアノを弾くにはどうすべきかをまとめた、これまでにない斬新な解説書だ。写真の骨格模型は、レッスンで大活躍している、れっきとした教材なのだ。
いかに理にかなった脱力をするかは、ピアノに限らず、あらゆる楽器演奏に共通する永遠の課題とも言える。
「単に脱力と言っても、音が鳴らなくなってしまう脱力では意味がありません。大事なのは、入れてはいけないところに力を入れないこと。そのためには、力を入れるべき筋肉はどこかを知る必要があるのです」
「力を抜くための、力の入れどころ」が正しく理解できるよう、「ピアノ演奏における脱力とは具体的にどういうことか」「腕や肩の緊張を解く方法」「ピアノを弾いて前腕が痛くなる原因とその解決法」「脱力してスタカートや和音、トリルを演奏する応用テクニック」などを、イラストや写真を使ってわかりやすく解説。西洋で生まれたピアノという楽器を日本人が弾きこなすには、どのような身体の使い方をすれば良いかを、丁寧に解き明かしている。
この奏法の確立に至るベースとなったのは、大学で学生たちを指導してきた経験と、30年余りにわたるレッスン経験、そして23年間、継続してかかわってきたコンクールでのアドバイスレッスンだ。幅広い年齢層の多くの生徒たちの手や腕の形、演奏姿勢を見てきたことから、脱力について詳述する必要性を痛感した。
「指先を丸く固める、指先を鍛える、小指の手の甲の関節をしっかり出す、というようなことに小さいころからまじめに取り組んだことで、それが原因でだんだん力が入って弾けなくなってしまった人たちにたくさん出会いました。正しい指の使い方で演奏していれば、ピアノは歳をとってもラクに楽しく弾けるものです。苦労したにもかかわらずピアノが弾けなくなってしまう人たちがいなくなってほしいという思いから、この本を執筆しました」
既刊の2冊に続く、ピアノ脱力奏法の核心に迫る3作目の完成。それは子どもから大人まで、プロ、アマチュアを問わず、すべての人にとって役立つテーマだ。ピアノ指導者はもちろん、ピアノを学ぶ学生、趣味でピアノを楽しむ人、中断していたピアノを再開しようとする人にも、ぜひ一読をお勧めしたい。身体の構造や日本人特有の筋肉の使い方をふまえたピアノ脱力奏法を知ることで、ピアノを弾くことが何倍も楽しくなるはずだ。
『目からウロコのピアノ脱力法』
著者:馬塲マサヨ
発売元:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日:2018年10月21日
価格:1,600円(税抜)
馬塲マサヨ(ばば・まさよ) 金城学院大学文学部音楽芸術学科教授。東京藝術大学音楽学部ピアノ科卒業、同大学院音楽研究科修士課程修了。これまでに、NHK交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、名古屋フィルハーモニー管弦楽団ほかと共演。親しみやすいレクチャーコンサートや親と子の名曲コンサートなどを全国各地で行う。著書に『目からウロコのピアノ奏法』『目からウロコのピアノ指導法』(いずれもヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊)がある。 |
文/ 芹澤一美
photo/ 柏弘一郎
tagged: ピアノ, 目からウロコのピアノ脱力法, 馬塲マサヨ
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