今月の音遊人
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いつまでも聴いていたい音を求めて──そんな開発者の思いから生まれたヤマハのフラッグシップHiFi 5000シリーズ
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2018.10.26
HiFiオーディオ機器を手がけてきたヤマハが、あらためてその充実に乗り出したのが2006年。その後、HiFi技術に一層のドライブをかけ、プリメイアンプ、CDプレーヤー、スピーカーなどを発表してきた。
今回は、プリアンプ「C-5000」とパワーアンプ「M-5000」、ターンテーブル「GT-5000」のHiFi新製品を発表。2016年に登場したスピーカー「NS-5000」にこの3モデルを加えて、ついにフラッグシップHiFi 5000シリーズが揃ったことになる。
なぜ、ヤマハはHiFiに注力するのか。その目的は、音楽ファンのための音楽再生機器を生みだし、豊かな音楽体験と深い感動を提供することだ。
「ヤマハは楽器では1世紀、オーディオは半世紀以上の歴史を持っています。音が生まれる瞬間を知っているのが我々ヤマハ。だからこそ、音楽性表現を追求できると考えます」
AV商品企画グループの熊澤進さんはそう語る。その音楽性表現を実現するためにも重要なのが、入口であるプレーヤーから出口のスピーカーまで一貫して手がけること。トータルHiFiブランドを確立しているのは、おそらくヤマハだけだろう。
「“入口から出口まで”すべてプロデュースしていくことで、とことん追求できます。そこから得られる価値があるということを信じて、戦略を立ててきました」(熊澤さん)。
ヤマハのHiFi商品のサウンドコンセプトは5つ。「小さな音でも遠くまで届く、抜けの良い音の開放感」「音楽のエモーショナルさ」「演奏者のタイム感、グルーヴ感」「空間で生まれるハーモニー」「響きを表現する音場感、音楽的な低域に支えられたゆるぎない音像感」だ。フラッグシップである5000シリーズでは、こうした表現力を徹底的に追求。さらにフラッグシップとしての高品質、高音質、それらを実現させるためローテクからハイテクまでの独自技術を意識し、商品の開発に取り組んできたという。
また、5000シリーズではデザインでも音楽的なリズム感を表現。さらに直感的な操作性や触る楽しみなど、今の時代に即したスタイリングが考え抜かれている。
「音楽に没頭できる音質を目標にして開発を進め、過去にないぐらいの時間を使って音声調整をしました。妥協なき改善と検証、満足できる音ができるまではやり切るという執着心を、開発者全員で持って取り組んできました」
HiFiセパレートアンプ「C-5000」と「M-5000」の開発プロジェクトリーダー、関塚恭好さんはそう胸を張る。音質調整を担ってきた森井太朗さんによれば、「芯があって音程感がしっかりしていて抜けがよい、音楽の下支えになる低域表現を追求した音」とのこと。
両モデルの最大の特長は、信号経路を最短化する新規開発のコンストラクションと回路設計によって、徹底した振動対策と低インピーダンス化を図っていること。さらに、ヤマハの特許技術であるフローティング&バランス方式を採用し、ノイズの影響を徹底的に排除する完全バランス伝送化を実現。ヤマハが追求してきた5つのサウンドコンセプトに加え、セパレート構造でしか実現できない圧倒的な音場感とより音楽的な低音再生が可能になった。
一方、ターンテーブル「GT-5000」のキーワードとなるのは、“木製”と“重量”。音質的に必要な部分の巨大重量化と不必要な部分の大胆な省略を設計の基本にするという、ヤマハターンテーブルのDNAを受け継ぎつつ、現代の技術を盛り込んだ。
「設計コンセプトは、レコード盤に刻まれた音の情報を素直に取り出すということです」(開発プロジェクトリーダー・阿部紀之さん)
その実現のため、異なる素材を使った二重構造のプラッターを装着したベルトドライブ方式を採用。また、トーンアームには、力学性と追従性に優れたショートタイプのビュアストレートアームを選択。さらにすべての音声配線には、新世代の銅導体「PC-Triple C(ピーシー トリプルシー)を投入し、全帯域にわたる情報量の豊かさと低域の力感を実現した。
もうひとつのポイントは、針の根元のコイルから出力されたバランス音声をそのまま取り出せるXLRバランス出力端子を装備していること。完全バランス伝送化を達成した「C-5000」と「M-5000」と組み合わせることで、“入り口から出口”までグランドノイズの影響を完全に排除することが可能に。開放感があり、抜けの良い音が楽しめる。
試聴してみると、あたかも目の前でパフォーマンスが繰り広げられているかのよう。録音現場の空気感までも伝わってくる音場感と開放感、正確無比な音像定位が実感できる。
フラッグシップHiFi 5000シリーズは、まさに音楽ファンのために飽くなき追求を蓄積して生まれた音楽再生機器。楽器づくりからコンサートホールの設計までさまざまな分野で音と音楽に深く関わってきた総合力を背景にした、ヤマハならではの技術の集大成だ。
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