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ヤマハギターの原点“赤ラベル”の意思を受け継ぐRed Labelシリーズが登場
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2019.10.4
tagged: アコースティックギター, FG/FSシリーズ, 赤ラベル, Red Label, FG/FS
これまで多彩なラインナップでギターファンの楽しみを後押ししてきたヤマハアコースティックギターに、新たにFG/FS Red Labelシリーズが加わった。“Red Label”というキーワードに、昭和のフォークブームに胸をときめかせた世代は“これは!”と反応するだろう。そう、“赤ラベル”の名称で親しまれたヤマハ初の国産フォークギター「FG180」「FG150」をモチーフにした、コレクター心をくすぐるシリーズなのだ。国内マーケティング担当の風間美紀子さん、兼子義一さんに話を聞いた。
サウンドホール内のラベルには伝統の赤ラベルを使用し、ヘッドのトラスロッドカバーにはモダンで繊細な印象を与える“since 1966”と刻印。ペグも初代FGと同じオープンギアタイプを使い、ヘッドロゴには当時と同じ音叉マークが施されている。ボディも豊かな低音域が特徴であるトラッドウェスタンタイプのFGと、スモールボディでふくよかなサウンドが特徴のフォークタイプFSを用意し、弦長も初代FGと同じ634mmスケールをFG、FS共に採用するなど、まさに往年の“赤ラベル”を彷彿させる仕様になっている。
しかし風間さんいわく、今回のFG/FS Red Labelシリーズはノスタルジーを満たすだけの“復刻”ではなく、新たな目標を持って開発がスタートしたのだそうだ。
「例えば今の時代に好まれる低音~中低音を充実させたいということで、表板にはシトカスプルース、側裏板にはオールソリッドのマホガニーを使用し、さらに表板のブレイシング(響棒。組み方によって音に影響を与える)は、最新の音響解析シミュレーションと実際の試作の両輪により実現したスキャロップ加工を施すなど、新たな設計デザインがなされています。また表板にはA.R.E.(Acoustic Resonance Enhancement)という処理をほどこしていますが、これはビンテージ感のある渇いたサウンドが出せるようにするヤマハ独自の技術で、新品でも何年も弾き続けたような音が出せます。弾き語りのためのフォークギターという初代FGの設計思想を、いまの時代に合わせて発展させているのです」
そんな“音”へのこだわりは、同時発売されるエレクトリック・アコースティックギタータイプでも追及されている。新開発の3ウェイハイブリッドピックアップシステムAtmosfeel(アトモスフィール)に搭載されているコンタクトセンターは、ヤマハ株式会社とユポ・コーポレーション、一般財団法人小林理学研究所が共同開発。これによりアコースティックギターの自然な生音を、スピーカーを通して鳴らすことを可能にしたのだ。
「今回のRed Labelシリーズでは、表板に圧電性合成紙を使ったコンタクトセンサーが取り付けられています。これで高音域を拾い、従来のアンダーサドル部のピックアップで中低域を、プリアンプ部分に仕込まれたマイクで胴の中の響きを拾う仕組みになっています。この3か所で音を拾うことで、より豊かな生音をラインアウトできるようにしました。もちろん今回の2種類のボディ、トラッドウェスタンタイプのFGとフォークタイプのFSではそれぞれ鳴りが違うので、電装部分のチューニングは最終工程で、個体1本1本に合わせて調整しています」
ビンテージの風合いを演出するこだわりは塗装工程にもおよんでいて、新品のギターでありながら独特の質感を演出していると、自身もギター演奏をたしなむ兼子さんは語る。
「これまでのアコースティックギターは、最終工程でグロスを吹きかけ、バフという磨きをかけて鏡面仕上げにしていたのですが、Red Labelシリーズでは最終工程でスチールウールによりオイルを塗りこんで、半艶仕上げを実現しています。これによって塗膜が薄くなり、グロス仕上げにくらべてより音の広がりが感じられるようになったんです。実はこのセミグロス(半艶)加工をボディに施したのは、今回のFG/FS Red Labelシリーズが初めて。FGシリーズは1966年から続く代表的なフォークギターのモデルですけど、Red Labelシリーズは昔からの伝統的なところを残しつつ新しい要素を入れた、まさに調和を大事にする“令和のFG”なんです」
フォークソング全盛の60年代に誕生したFG180、FG150を意識しながらも、今の時代にあった音を鳴らせるギターを目指したFG/FS Red Labelシリーズ。歌い手の声とさらに馴染みやすくなったこの“令和のFG”は、アコースティック編成のバンドアンサンブルにおけるギターの音表現を愛する人、弾き語りで活動しているミュージシャンたちの歌をより引き立ててくれることだろう。
文/ 飯島健一
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