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今月の音遊人:木嶋真優さん「私は“人”よりも“音楽”を信用しているかもしれません」
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奏者の繊細なタッチを再現する新技術を搭載。電子ピアノの枠を超えた優れた表現力を持つクラビノーバ「CLPシリーズ」
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2020.9.10
tagged: 電子ピアノ, クラビノーバ, 楽器探訪AnotherTake, CLP-700シリーズ
アコースティックピアノと同等の表現力を備える電子ピアノとして、多くのピアノ奏者の支持を得るクラビノーバ「CLPシリーズ」。2020年夏に、3年ぶりにフルモデルチェンジした「CLP-700シリーズ」(CLP-785/775/745/735の4機種展開)は、“タッチのニュアンスに対する感度の良さ”“優れた音質”“あらゆる奏法に応える高い演奏性”が何段もグレードアップしたと話題となっています。
クラビノーバの最大の特徴は、ヤマハ「CFX」、ベーゼンドルファー「インペリアル」という2つのフルコンサートグランドピアノの音源を搭載していること。今回のフルモデルチェンジでは2つのピアノの音源を刷新し、タッチに応じた繊細な音色変化を再現する技術「グランド・エクスプレッション・モデリング」を新搭載することで、より細かい音色のニュアンスを表現できるようになっています。
「奏者のタッチによって変わるハンマーやダンパーの弦への当たり方など、ピアノの内部機構の動きによる音色変化まで忠実に再現する技術が『グランド・エクスプレッション・モデリング』です。打鍵の強弱に加えて加速度も検出し、リアルタイムで音に反映することで、より繊細な表現を可能にしました」と、商品企画を担当する尾藤栄里子さん。
「鍵盤から指を素早く離すスタッカートや、鍵盤の浅い部分で演奏するレガートなど、タッチに応じて音色が繊細に変化し、打鍵したとおりの音が返ってきます。タッチや音色の追求をしたい上級者はもちろん、基礎を習得中の初心者にも自信をもっておすすめできます」と、学生時代から趣味でクラシックを弾いてきたというマーケティング担当の鳥羽幸樹さん。
ヤマハ「CFX」、ベーゼンドルファー「インペリアル」の音づくりは、まず楽器の音のサンプリングからスタート。それぞれの楽器を専門とする調律師が調律をした上で、使用するマイクや配置を細かく調整し、ひとつの鍵盤につき、“強弱”と“長短”を変えたあらゆる種類の音が録音されたそう。
「さらに、サンプリングしたうちのどれかひとつを選ぶのではなく、複数の音を混ぜることもありますし、鍵盤によって音づくりの仕方は違います。また通常のスピーカーから鳴る音と、クラビノーバの筐体から鳴る音は微妙に違いますので、サンプリング時にクラビノーバの簡易模型を作り、その中に設置したスピーカーから音を鳴らすことで、その音の良し悪しを判断しています」(尾藤さん)
なお、クラビノーバの音づくりに最新のデジタル技術は欠かせませんが、ベースにあるのは人の感性だと尾藤さんはいいます。
「開発スタッフは、日頃から楽器を弾いたり、ピアニストの演奏を聴いたりすることで、2つのフルコンサートグランドピアノの音色や響きの特徴、イメージを頭の中に叩き込んでいます。音色の方向性や良し悪しを決めるときも、開発スタッフが集まって自分たちの耳で音を聴き、合議制で意見をすり合わせていますので、みなさんが想像する以上に人間の感性が入っているんですよ」
ヤマハの電子ピアノとして初めて、18~19世紀ころの様式のピアノ、通称「フォルテピアノ」の音源を搭載しているのも「CLP-700シリーズ」の特徴です。
「フォルテピアノの専門家に実際にフォルテピアノを弾いてもらい、一音一音サンプリングしています。なおフォルテピアノのほとんどは、現代のピアノのような88鍵ではありませんが、フォルテピアノにはない音域の鍵盤の音は、サンプリングした音を加工してつくっています」(尾藤さん)
高品質の音源を生かす音響設計もクラビノーバの特徴の一つ。4機種(CLP-785/775/745/735)それぞれに適した音響設計がされていますが、今回から上位機種「CLP-785/775」に新たに採用されたのが、グランドピアノの演奏空間をリアルに再現する音響技術「グランド・アコースティック・イメージング」です。
「スピーカーの配置や向き、音量バランスを調整することで、響板から音が鳴り、弦の響きの余韻が奥へ消えていくグランドピアノならではの奥行き感を再現しています。さらにトランスデューサーと呼ばれる加振器で屋根を振動させることで、より立体的な音の広がりを表現しています」(尾藤さん)
また、ヘッドホン着用時のヤマハ「CFX」、ベーゼンドルファー「インペリアル」の音源も刷新され、奏者の耳と同じ位置で音を収録することで、 まるで楽器そのものからの音を聞いているような、自然な響きの音で演奏を楽しめるようになっています。
「色彩豊かなピアノの音色を表現できる『CLP-700シリーズ』は、『こういう音色を表現したい』『憧れの曲を弾いてみたい』といった奏者の意欲を引き出してくれます。コンパクトで調律の必要がなく、音量の調節ができるといった機能性の高さだけでなく、音楽表現を磨けるピアノとして、ぜひ選択肢に加えていただきたいです」(鳥羽さん)
2つのフルコンサートグランドピアノの音源が搭載されており、奏者のイメージどおりの音が返ってくる「CLP-700シリーズ」。自分自身やお子さんのレッスンへの活用に加えて、感性を磨き、音楽の楽しみを広げることにも一役買ってくれそうです。
グランドピアノのような表現にこだわり、繊細な鍵盤タッチ、豊かな音の響きが全身で感じられるクラビノーバです。
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文/ 武田京子
photo/ 坂本ようこ(人物写真)
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