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今月の音遊人:世良公則さん「僕にとって音楽は、ロックに魅了された中学生時代から“引き続けている1本の線”なんです」
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現代に受け継がれるバッハの音楽をサクソフォンで再構築した渾身作をリリース/須川展也インタビュー
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2020.9.11
「このアルバムのために、7~8年前からバッハの研究を重ねてきました」
サクソフォン奏者・須川展也がそう語る最新作『バッハ・シークェンス』が、2020年10月に発売される。
J.S.バッハが生きたバロック時代にサクソフォンはまだなかったが、バッハの音楽は、サクソフォンが活躍するジャズに通じる部分があると感じたそうだ。
その鍵となったのは、アルバムタイトルにもあるシークェンス(ドイツ語でゼクエンツ)。日本語では「循環進行」となり、ある和音進行を、音高を変えながら反復させる作曲技法を指す。
「バッハが得意とするシークェンスは、ジャズにおける即興演奏の基本形でもあり、サクソフォン奏者にとってなじみ深いものです。また、サクソフォンはパイプオルガンのようにリードを震わせて管で音を響かせるのですが、単音楽器なのに、その豊かな響きを活かして和音が聞こえてくるような表現もできるのです。バッハを演奏したくなった理由はそこにもあります」
ただし原曲であるパルティータは無伴奏バイオリンのために書かれたものであるため、移調するか否か、どう息継ぎするか、複数の弦を同時に鳴らす重音からどの音を選び、原曲の意図をしっかり表現するかは、悩みどころだったという。
「迷ったときは、聴き手に心地よく聴こえるか、和音の流れがわかりやすく伝わるかを判断基準にしました。またバッハの音楽を神聖なものとするならば音を揺らすビブラートは省くべきでしょうが、バッハの存在を身近なものとして感じてもらうために、人間の肉声のように聴かせるビブラートはあえて採用しました」
アルバム制作に際しては、サクソフォンでバッハを演奏する理由を自問自答したという。
「バッハの作曲技法は、ジャズだけでなく、現代のあらゆるジャンルの音楽で多用されています。知れば知るほどその偉大さは増すばかりですが、本アルバムの制作を通して、バッハの音楽が今日に脈々と受け継がれていることを、サクソフォンでの表現を通して多くの人に伝えたいという思いを強くしました」
この秋からは、バッハを主軸とするソロコンサートを開催する予定だ。
「本作の原曲はバイオリンの技術習得のために作られた練習曲の側面もあり、ヨーロッパのさまざな国の舞曲から成る組曲でもあります。テーマはシークェンス(循環進行)ですが、あまりかしこまらず、そのメロディ、ハーモニー(和音)、リズムが織りなすエネルギーを味わっていただきたいです」
須川展也〔すがわ・のぶや〕
東京藝術大学卒業。日本音楽コンクール管楽器部門、第1回日本管打楽器コンクールでいずれも最高位に輝く。村松賞、出光音楽賞を受賞。1989年より2010年まで東京佼成ウインドオーケストラ・コンサートマスターを務める。サクソフォン四重奏団トルヴェール・クヮルテットのメンバー。現在、ヤマハ吹奏楽団常任指揮者、静岡市清水文化会館マリナート音楽アドバイザー&マリナート・ウインズ音楽監督、東京藝術大学招聘教授、京都市立芸術大学客員教授を務める。
オフィシャルサイトはこちら
アルバム『バッハ・シークェンス』
発売元:ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2020年10月21日
料金:3,000円(税抜)
詳細はこちら
アルバム『Saxo-magic』
発売元:ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2020年8月26日再発売(オリジナル :2012年9月発売)
料金:2,382円(税抜)
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開催日時:2020年11月26日(木)19:00開演(18:30開場)
会場:紀尾井ホール
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