今月の音遊人
今月の音遊人:新妻聖子さん「あの歌声を聴いたとき、私がなりたいのはこれだ!と確信しました」
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2013年にスタートした調布国際音楽祭が、2021年の6月27日から7月4日にかけて有観客のスタイルで実施されることになった(調布市グリーンホールほか)。
同音楽祭は鈴木優人がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、さまざまな分野の実力派アーティストが集結することで知られる。今年は、鈴木優人と長年に渡って親交を深めているアソシエイト・プロデューサーの森下唯による2台ピアノの演奏で幕を開ける。
オペラに関しては、クリエイティヴ・パートナーを務める読売日本交響楽団を鈴木優人が指揮し、メノッティの『電話』が上演される。これはイタリア出身でアメリカのオペラ作曲家・台本作家のジャン=カルロ・メノッティ(1911~2007)が1946年に作曲、翌年ニューヨークで初演された作品。結婚を申し込みにきたベン(バリトン)が、ルーシー(ソプラノ)のもとに次々にかかってくる電話に業を煮やし、最後は電話でプロポーズするというコミカルなストーリー。今回はソプラノの中江早希、バリトンの大西宇宙が大役を担う。
恒例となっている深大寺本堂で行われるコンサートには、チェロの鈴木秀美が登場。チェンバロの上尾直毅とともにヴィヴァルディ、D.ガブリエリの作品を予定している。
フィナーレは鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏で、J.S.バッハ『ブランデンブルク協奏曲』が演奏される。この協奏曲はブランデンブルク辺鏡伯クリスチャン=ルートヴィヒに1721年に献呈されたという記録が残されており、2021年はそれから300年の記念の年にあたる。
このほか、村治佳織(ギター)、カルテット・アマービレ、木嶋真優(ヴァイオリン)、栗コーダーカルテット、加羽沢美濃(作曲家)らの出演が予定され、キッズコンサートやトークイベントなども組まれている。
2020年はコロナ禍の影響により、同音楽祭はインターネットの動画配信による開催が行われた。鈴木優人は「この経験を生かし、今年はぜひライブのコンサートができるよう尽力したい」と語り、鈴木雅明も「これまで想像できなかった体験をし、活動再開のために模索してきた。今年は安全な形で音楽を提供したい」と決意を新たにする。緑豊かな美しい自然を誇る調布の街が、活気あふれる音楽で満たされることを期待したい。
日時:2021年6月27日(日)〜7月4日(日)
会場:調布市グリーンホール ほか
詳細はオフィシャルサイトでご確認ください。
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伊熊 よし子〔いくま・よしこ〕
音楽ジャーナリスト、音楽評論家。東京音楽大学卒業。レコード会社、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経て、フリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌だけでなく、新聞、一般誌、情報誌、WEBなどにも記事を執筆。著書に「クラシック貴人変人」(エー・ジー出版)、「ヴェンゲーロフの奇跡 百年にひとりのヴァイオリニスト」(共同通信社)、「ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語」(ヤマハミュージックメディア)、「魂のチェリスト ミッシャ・マイスキー《わが真実》」(小学館)、「イラストオペラブック トゥーランドット」(ショパン)、「北欧の音の詩人 グリーグを愛す」(ショパン)など。2010年のショパン生誕200年を記念し、2月に「図説 ショパン」(河出書房新社)を出版。近著「伊熊よし子のおいしい音楽案内 パリに魅せられ、グラナダに酔う」(PHP新書 電子書籍有り)、「リトル・ピアニスト 牛田智大」(扶桑社)、「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」(芸術新聞社)、「たどりつく力 フジコ・ヘミング」(幻冬舎)。共著多数。
伊熊よし子の ークラシックはおいしいー