今月の音遊人
今月の音遊人:藤井フミヤさん「音や音楽は心に栄養を与えてくれて、どんなときも味方になってくれるもの」
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英国の文豪チャールズ・ディケンズの長編小説『オリバー・ツイスト』をもとに、ライオネル・バートが脚本・作詞・作曲を手がけて生み出したミュージカル『オリバー!』。1960年にウエスト・エンドのニュー劇場(現ノエル・カワード劇場)で初演されてロングランを記録し、63年にはブロードウェイに進出、トニー賞とオリヴィエ賞に輝いた名作である。68年には映画化され、アカデミー賞最優秀作品賞を受賞したので、そのミュージカル映画でご覧になったことのある方も多いことだろう。
舞台はヴィクトリア朝イングランド。救貧院から奉公に出された少年オリバーは、奉公先でのいじめに耐えかねて逃げ出し、ロンドンの街でスリをしながら生きる孤児たちのグループの一員となる。だがオリバーはスリの濡れ衣を着せられたお詫びにと、裕福な紳士ブラウンロウのもとに引き取られることに。それを知ったスリの元締めフェイギンと冷酷な盗人ビル・サイクスは、自分たちのアジトが発覚するのを恐れ、オリバーを連れ戻そうと試みるが──。
悪事に手を染めながらも、貧しい暮らしのなかで小さな幸せを求めて懸命に生きる大人と子ども、そのエネルギーが心揺さぶるキャッチーな歌とダンスで描かれており、そこにはディケンズの精神がしっかりと受け継がれている。
そして2021年、このライオネル・バートによる傑作ミュージカルが、約30年ぶりに日本で上演される。77年からこのプロダクションを手がけるサー・キャメロン・マッキントッシュは、『レ・ミゼラブル』や『メリー・ポピンズ』などでも知られるミュージカル界の伝説的プロデューサー。
キャスト陣も豪華で、悪党になりきれない孤独な老人フェイギンは、まさにはまり役の市村正親と、どんな姿を見せてくれるのか楽しみな武田真治のダブルキャスト。愛に生きる自分を貫くヒロインのナンシーは、劇団四季の看板女優時代から絶大な人気を誇る濱田めぐみと、『ミス・サイゴン』のヒロインを演じたソニンのダブルキャストとあって、注目を集めそうだ。
オリバーと少年たちのリーダー格であるドジャーをはじめ、たくさんの子役たちが登場するので、未来のスターを見つけるのも楽しい。お子さんと一緒に観に行っても、きっと夢中になるだろう。決して明るいとは言えない社会のなかで、力強く生きる人々を描いた『オリバー!』は、私たちに明日を生きるパワーを与えてくれることと思う。
会場:東急シアターオーブ
期間:2021年9月30日(木)~10月6日(水)/プレビュー公演
2021年10月7日(木)~11月7日(日)/本公演
会場:梅田芸術劇場メインホール
期間:2021年12月4日(土)~14日(火)
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文/ 原典子
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