Web音遊人(みゅーじん)

上昇気流に乗って、新曲『Me, Myself and I』発表、追加公演決定/MORISAKI WINインタビュー

映画、ドラマ、ミュージカルと多彩な活躍を見せる俳優、森崎ウィン。2020年からは、MORISAKI WINとしてメジャーデビューし、切れ味鋭い歌唱のセンスが高く評価されている。2021年9月には初の有観客ライブを成功させ、同年10月18日には新曲『Me, Myself and I』をデジタルリリース。そんなタイミングでインタビューすると、まさに今、上昇気流に乗っている彼の充実ぶりを実感できた。

世界に向けて発信するMORISAKI WIN

2008年にダンスボーカルユニットに加入して音楽活動を始め、同時に俳優としても着実に経験を重ねてきた。演技では特に、2018年にはスティーブン・スピルバーグ監督の映画「レディ・プレイヤー1」に出演したことが話題に。また近年、演技・歌・ダンスの総合的な力量が評価され、ミュージカルでも引く手あまたの活躍を見せる。そんな彼が2020年7月、MORISAKI WINとして配信シングルをリリースし、ソロのエンターテイナーとして新たな一歩を踏み出した。
「名前をアルファベット表記にしてデビューしたのは、世界に向けて発信するというコンセプトがあったから。誰もがアクセスできる共通言語を名前に入れたいという動機があった」と語る。

ミャンマーで生まれて小学生の時に来日したというグローバルな出自を持つMORISAKI WIN。新型コロナウイルスが猛威を振るう渦中でのデビューとなったが、J-POPの枠にとどまらない本格的な音楽を発信する彼には、海を越えて活躍をしようという大志が感じられる。2021年5月に出したファーストフルアルバムのタイトルは『Flight』。その理由について「飛行機好きだから?」と問うたところ、彼は即座にこう答えた。「もちろん、それもあるんですけど、今、直接行って自分の音楽を届けられないからこそ、このアルバムが電波に乗って、遠くに遠くに飛んで行けるようにという意味も込めて『Flight』という名前にしました」実際、その歌声が持つ力には、世界に届くのも夢ではないと感じさせるものがある。滑らかな発音の英語詞、鋭く刻まれる日本語詞は、違和感なくR&B、ファンクのサウンドにのって溶け合う。そのセンスは伝説的なポジションではマイケル・ジャクソン、現役アーティストで言えばブルーノ・マーズをほうふつとさせる。「ここはマイケル風に歌いたいよね、と意識して歌った曲もある。ブルーノ・マーズは大好き。死ぬほど好きです」。とはいえ、それは決して真似事で終わることはなく、彼らが持つエキスのようなものを自身の体に取り込み、しっかりと咀嚼した上で、MORISAKI WINならではの軽やかさ、しなやかさを持って放出しており、実に様になっている。「僕についている制作陣は、トップレベル。日本語をどう英語のように聴かせるか、一つの音符の中に日本語をどう入れるか、レコーディングで勉強させてもらっています」


アルバム『Flight』より「Fly with me」(Live Recording – Official Music Video)

「誰かを愛すためには、まず自分を一番大切に」の想いを込めて

配信されたばかりのアップテンポなナンバー『Me, Myself and I』も、やはり日本語詞のメロディーやリズムへののり方が鋭く、しなやかで爽快に響く。この楽曲について、「まずは前向きに明るい楽曲がほしいよね、というところから始まったんです」と語る。作曲は、ライブにおけるバンドマスターでもあるギタリスト、宮野弦土。作詞のSweepには、「誰かを愛すためには、まず自分を一番大切にしなければいけないよね、というテーマを楽曲に落とし込んでいただいた」。このテーマは、祖母から繰り返し説かれてきた言葉なのだという。「小さい頃から、何げない会話の中でずっと言われてきたんです。わがままとかではなくて、自分を大切にする余裕がなければ誰かをちゃんと愛することができないということ。結局、人間は一人で死んでいくもの。僕も生きている中で何かを果たして、そして若い人たちにも何かを残したい。そのために生を授かったのだと思う」。自らを律することにもつながる、とても責任がある言葉と言えるだろう。今のコロナ禍においても、自身が感染しないような対策をしっかり取ること自体が、周囲の人々や社会を守ることにつながる。

サウンド面では、上昇していく派手なシンセサウンドと、オートチューンで波打つように加工した歌声に彩られたイントロで、聴き手の心をグッとつかむ。「ゲンティー(宮野弦土)は単純なイントロにしたくないってすごく考えていて、ブルーノっぽいの入れてみる?と、こうなった」。この曲、同時にアップされているインストバージョンを聴けばよく分かるが、バックの音は極めてシンプルだ。なのに、歌声がのると驚くほどグルーヴィーに響く。時折、「オーイェィ!」「ヘイッ!」などと歌詞と歌詞の間を短く刻む掛け声のタイミングも効果的だ。

「Me, Myself and I」(Official Music Video)

自分のこだわりを持ちつつ、よりよい方向へ

この楽曲が、「Crew」と呼ばれるファンの前で初披露されたのは、2021年9月20日に行われた初の有観客ライブ「First Flight」。コロナのため延期になり、仕切り直しの開催期日は主演ミュージカル「ジェイミー」の公演期間中に重なった。それでも、「『ジェイミー』をやっていたからこそ、いい意味でステージ慣れができていた。ステージに立てる体ができ、度胸もついていて、お客さんに生で何かを伝える気持ちも持つことができた」と、前向きにとらえている。さらに、「ライブ、純粋にめちゃくちゃ楽しかったです」と屈託なく語る。グループでステージに立っていた時とは異なり、MORISAKI WINファン独自の色合いが見えたのだという。もちろん、グループ時代から応援してくれているファンの姿も確認できたというが、そのうえで、音楽が鳴った瞬間に、しっかり音を聴きに来たと分かる反応に気づいたのだそう。「俺がやってること、ちゃんと伝わっている。ちゃんとMORISAKI WINになれたんだな。これで突っ走っていっていいかもしれない」。そんな手応えを得た。

そもそも、ライブには相当なこだわりを持って臨んでいる。「ライブでしか見られないものを見せるべきだと思っている。ゲンティーには『ここは、こういうアレンジにしたいから、ここを足したい。いや、そうじゃない』と電話で伝えたり、データをやりとりしたりしながら、事細かに伝えています」
2021年12月6日には、東京のZepp Hanedaで、「First Flight~Transit~」と題した追加公演を行う。基本的に、2021年9月の公演と演出や構成は変わらないというが、「やっちゃったら反省点が見えてくるし、違うアイデアが生まれてくる。よりよい方向に変化はつけたいな」と、ますます意欲的だ。

■インフォメーション

●配信シングル『Me, Myself and I』


発売元:コロムビアインターナショナル
詳細はこちら

●追加公演『MORISAKI WIN FIRST FLIGHT 〜Transit〜』

日時:2021年12月6日(月)19:00開演(18:15開場)
会場:Zepp Haneda(TOKYO)
料金:一般 6,500円(税込・全席指定)
詳細はこちら
オフィシャルサイト

オフィシャルFacebook YouTube公式チャンネル オフィシャルTwitter オフィシャルInstagram
オフィシャルLINE オフィシャルtiktok

photo/ 阿部雄介

本ウェブサイト上に掲載されている文章・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

facebook

twitter

特集

Web音遊人_上原ひろみ

今月の音遊人

今月の音遊人:上原ひろみさん「初めてスイングを聴いたときは、音と一緒に心も躍るような感覚でした」

30106views

音楽ライターの眼

映画「グリーンブック」で感じた“ジャズ”と“クラシック”の高い壁

16871views

マーチングドラム

楽器探訪 Anothertake

これからのマーチングドラム ~楽器の進化の可能性~

15157views

楽器のあれこれQ&A

エレキギター初心者を脱したい!ステップアップ練習法と2本目購入時のアドバイス

7632views

バイオリニスト石田泰尚が アルトサクソフォンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】バイオリニスト石田泰尚がアルトサクソフォンに挑戦!

14329views

ヤマハ株式会社 神島由幸さん

オトノ仕事人

楽器になる樹木と最前線で向き合い、職人の元へ届ける/楽器用木材調達の仕事

438views

サラマンカホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール

25618views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

6455views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

24994views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:仕事もバンドも、常に真剣勝負!

10468views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

楽器は人前で演奏してこそ、上達していくものなのだろう

9632views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11744views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:若き天才ドラマー川口千里がエレキギターに挑戦!

13534views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

14519views

アレクサンドル・タロー

音楽ライターの眼

ピアニストの愛好世界に巻き込まれ、愉快で幸せな時間に浸る/アレクサンドル・タロー ピアノ・リサイタル

967views

佐藤順

オトノ仕事人

劇伴制作の進行管理や演奏シーンの撮影をサポートする/映画等の劇伴制作をプロデュースする仕事

5506views

上海ブラスバンド日本支部

われら音遊人

われら音遊人:上海で生まれた縁が続く大家族のようなブラスバンド

3785views

楽器探訪 Anothertake

ピアニストの声となり歌い奏でる、コンサートグランドピアノ「CFX」の新モデル

6633views

グランツたけた

ホール自慢を聞きましょう

美しい歌声の響くホールで、瀧廉太郎愛にあふれる街が新しい時代を創造/グランツたけた(竹田市総合文化ホール)

8455views

山口正介 Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

マウスピースの抵抗?音切れ?まだまだ知りたいことが出てくる、そこが面白い

6597views

購入前に知っておきたい!電子ピアノを選ぶときのポイントとおすすめ

楽器のあれこれQ&A

購入前に知っておきたい!電子ピアノを選ぶときのポイントとおすすめ機種

28952views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

7242views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11744views