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いまの自分を表現できるのが歌/シンガーソングライター・甲田まひるインタビュー
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2022.2.4
tagged: インタビュー, 甲田まひる, California
天は二物を与えず。そんなことわざは、彼女にはまったく当てはまらない。
甲田まひる。ファッションアイコンであり、2018年にはビバップを中心としたアルバム『PLANKTON』を発表し、話題を呼んだジャズピアニスト。近年では、俳優としての彼女に惹かれた人も多いだろう。
そして、2021年11月にはシンガーソングライターとしてデビューEP『California』をリリース。音楽性を刷新したチャレンジングな作品で、リスナーを沸かせている。
『California』は全4曲を収録。作詞作曲を甲田が手がけ、共同アレンジにはGiorgio Blaise Givvn、ベースは新井和輝(King Gnu)、ドラムは勢喜遊(King Gnu)、そしてギターには映像作家として知られる山田健人を迎えて制作。
「『PLANKTON』をつくっているころから、次は歌をやりたいと思っていました。大きな構想としては、フェスで盛り上がれる曲を目指しましたが1~2年はカタチにならなくて……。その後DTMを始めて、歌のデモをつくり貯めていきました」
表題曲である『California』は、そのなかの一曲。ヒップホップやロック、K-POPなど多様な音楽がセクションごとに目まぐるしく展開し、歌とラップが繰り出される。
実は『PLANKTON』のリリース以前からヒップホップにのめり込み、自分の音楽性に落とし込んでいった甲田。ローリン・ヒルを聴いたことをきっかけにヒップホップ、そして歌への興味が高まっていったという。
「アリアナ・グランデの影響もあります。私はずっとジャズをやってきたのですが、もともとの自分のなかにあるポップさも出せるようになりたかったんです。そのためにできる音楽のジャンルがもっとあると感じていました。アリアナを聴いたとき、もしこういうジャンルを歌うとなったら、自分のファッションの表現ももっと広がるんじゃないかなとも思いました。より表現したいことをこのタイミングでできるのが歌なんじゃないかなと」
その歌唱は、冒頭のフレーズで始まる。
「“わたしはカリフォルニアで生まれた”という英語の歌い出しは、最初のデモからあって。カリフォルニアが大好きだから無意識に出てきたんだと思います。あまり意味はないのですが、残そうということになって書き上げていきました」
カリフォルニア生まれではないが、どこで生まれてどういう生き方をするかは自分の自由。
「みんなSNSに嘘を書いたり、自分をいいように見せようと偽ったりしている部分がありますよね。そういうところにつながったら、面白いんじゃないかと思いました」
同曲は、Givvnとともにもっとも面白いことをとことん突き詰め、アレンジにアレンジを重ねて完成した。一方で、彼女のピアノ独奏が聴ける『California.pf』、デモ曲の雰囲気を色濃く残した『California_demo@201113』も収録。まったく違った仕上がりで興味深い。
2曲目の『Love My Distance』は、『California』とは対極的ともいえるシンプルな一曲。「発展させがいがある」と数あるデモ曲のなかから選んだという。
「もともとは20歳になる直前、19が終わるというタイミングでつくった曲です。まったく違う歌詞だったんですけれど、聴き返してみるとサウンドの感じがラブソングにハマりそうだなと思って。書いていったら、ラブソングに行き着きました」
「自分が100%かっこいい!と思うものをつくっていますが、それを聴いてくださった皆さんにどう感じてもらえるかが楽しみです。それが違和感であっても興味であっても、何かのきっかけになればうれしいです」
自分がやりたいこと、好きなこと、かっこいいと思うことを少しもごまかすことなく、媚びることなく表現する。それが彼女の才能が圧倒的な輝きを放ち、支持されるゆえんかもしれない。
そんな甲田は今、どんな未来図を描いているのだろう。
「次はこれだなと思ったとき行動に移すのが早いので、今思っていたとしたらすでに挑戦していますね。でも、とりあえず自分のなかではフェスが目標なので、そこに向かって全速力で走っていきます」
EP『California』
発売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2021年11月5日
詳細はこちら
文/ 福田素子
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