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注目のドラマー今井義頼が初のソロアルバムに込めた強い思い~『Blessing Road』を発表
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2023.3.23
tagged: アルバム, CASIOPEA-P4, 今井義頼
2022年、カシオペアの第4期となるCASIOPEA-P4に正式メンバーとして迎えられたドラマー、今井義頼。熱く、パワフルなプレイで、CASIOPEAに新しい風を吹き込んだ。
2023年には、初のソロアルバム『Blessing Road』が完成。2021年からじっくり構想を練り上げ、制作されたアルバムは、今井の音楽性や想いが詰まった力作だ。
アルバムコンセプトは、「今井を作り育てた音楽とミュージシャン達」。これまで強く影響を受けてきた音楽を投影した、現在の今井の等身大ともいえる作品だ。
「学生のころからプロを目指して活動していくなかで、多くの先輩方にお世話になり、また切磋琢磨してきた仲間がいました。そんな方たちの影響を受け、自分の音楽性も大きく変化してきた部分があります。その軌跡を追ってみたいという気持ちがありました」
参加ミュージシャンは、学生時代からの恩師であり、憧れのアーティストでもある巨匠や、若き日にともに音楽をつくった信頼するアーティストたち。今井の依頼を快諾してくれたという。
満を持して発表したソロアルバムの収録曲は、今井自らが作曲アレンジした4曲+1曲(ドラムデュオ)の5曲だが、その内容は濃く、とんでもなく熱量が高い。
1曲目に収録された『SASSY!!』は、パン!と晴れるような明るいギターメロのフュージョン曲。「SASSY!!」とは「しゃらくせぇ!」という意味。いま渦巻いているネガティブな空気や自粛ムード、同調圧力──。そうした悶々とした空気を打ち払うようなイメージで書き上げた。
「“ザ・フュージョン”という感じの曲です。僕のルーツにあたるような音楽なので、過去も現在も含めた“全今井”で構成されています」
野呂一生(ギター)、難波弘之(キーボード)、鳴瀬喜博(ベース)という豪華な顔ぶれにも注目だ。
「音大時代にお世話になった先生方です。加えて、ツインドラムの相方として川口千里さんに依頼しました。ツインドラムを一緒に録ったのですが、ひとりに聴こえるぐらい呼吸が合ったテイクで、ソロはソロで絡みまくっている。そういったことも楽しんでいただけるかと思います」
2曲目の『Tribulation Force』は「苦難、試練に向かう力」の意。艱難辛苦にも立ち向かっていくエネルギーを込めた。1曲目とは対照的な、メタルなギターの音が響く厚めでヘビーな曲に仕上がっている。
「ヤマハのDTX-PRO(電子ドラムの音源モジュール)を大々的にフィーチャーしています。千里さんとのツインドラムで、エレクトリックの音色とアコースティックの音色をふたりが入れ替わりながら演奏しています。電気的なドラムの音と生のドラムの音がうまくコンビネーションしていくことを意識してつくった曲で、ブレイクビーツの香りがするドラムサウンドをふたりでつくり上げました」
続く3曲目は『Darash』は、ヘブライ語で「探り求める」「祈る」などを意味する。今井はクリスチャンであり、聖書の申命記4:29からイメージを得たという。ゆったりした16ビートで、近代的なR&Bのサウンドも継承しつつポップで聴きやすいバラードチューンだ。
「動き始めるときを黙って待ち望む。静けさのなかでも熱く求めるという思いを込めた曲です」
姉であるパーカッショニスト今井僚子と、その夫であるトランぺッターのモーゼス・フェルナンデス、さらに長い付き合いのあるゴスペルシンガーのMARISA、多くのメイン・ボーカルをサポートするコーラスアーティストのMayu真友が参加。ゴスペルをルーツに持つベーシスト堀井慶一、ゴスペルピアニスト・キーボーディストとして活躍する山本裕太といった、今井が絶大な信頼を寄せるメンバーが集結した。
「聴いてくださる方に、少しでも平穏な気持ちになっていただけたらと思いながらコーラスに参加しました。曲一つ一つが今井さんの言葉というか、今井さんが大切に思われていることをメッセージとして感じていただけるのではないかと思います。そこに、ご一緒することができて幸せでした」(Mayu真友)
4曲目は、音大の最初の師匠だった市原康と今井のドラム2台のみによるデュオ曲。タイトルには『鼓韻~Coin~』の名を冠した。
「いくつかのキメのみをモチーフとして、その場でセッションしながらつくり上げた演奏です。お互いが韻を踏むように続いていく音の報酬が、まるでコインの表裏が入れ替わるように展開していきます。余韻までじっくり聴いていただきたいです」
5曲目は、アルバムタイトルにもなった『Blessing Road feat. Creamer Project』。アルバムの締めにふさわしい派手目でキメが多めのキラーチューンだ。
「Creamer Project」とは、今井が音大時代に結成したフュージョンバンド。現在はそれぞれに活躍するメンバーが、久しぶりに集まった。
「現在はKURITAという名前でコンポーザーとしても活躍している栗田侑一郎くん(キーボード)に、最初に僕が作曲したものをデータごと送り、彼がアレンジ。それをまた送り返してもらって、僕が調整を加えるといった感じでつくっていきました。そして、すばらしいプレーヤーとエンジニアの中原正幸さんがつくる迫力ある音。正直、自分でもびっくりするぐらいエネルギーにあふれた曲に仕上がりました」
嫌なこと、つらいことにも必ず意味があり、すべてがつながり祝福に向かっていく。今井の人生のコンセプトともいえる思いが詰まった楽曲だ。
今井の軌跡であり、現在であり、その未来をも示唆するようなアルバム。CDはライブ限定発売で、2023年3月28日から始まる カシオペアの春ツアー「CASIOPEA-P4/2023年 Billboard TOUR ~P4’S PLAY 2023~」で購入できる。その後、Webサイトからの申し込みで入手することも可能。配信リリースも予定されているので乞うご期待!
発売元:Imai Office, Inc
発売日:2023年3月28日
価格:2,200円(税込)
詳細はこちら
●東京公演:ビルボードライブ東京
日時:2023年3月28日(火)17:30開演(16:30開場)、20:30開演(19:30開場)
●大阪公演:ビルボードライブ大阪
日時:2023年4月3日(月)17:30開演(16:30開場)、20:30開演(19:30開場)
●神奈川公演:ビルボードライブ横浜
日時:2023年4月14日(金)17:30開演(16:30開場)、20:30開演(19:30開場)
詳細はこちら
日時:2023年4月8日(日)19:00開演(18:15開場)
会場:BLUE MOOD(東京都中央区築地5-6-10 浜離宮パークサイドプレイス1F)
詳細はこちら
文/ 福田素子
photo/ 阿部雄介
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