今月の音遊人
今月の音遊人:小沼ようすけさん「本気で挑まなければ音楽の快感と至福は得られない」
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心奮わす音楽と熱い声援が、いまを生きる10代たちの心を繋いだ──ライブレポート/SCHOOL OF LOCK!春の文化祭 キズナ祭 2023 supported by Yamaha
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2023.4.25
tagged: SCHOOL OF LOCK!, キズナ祭,GENERATIONS,小森隼, SOL, 白濱亜嵐, ぺえ
“全国の蒼き若者たちの未来の鍵(LOCK)を握るもうひとつの学校!”をコンセプトに放送しているFMラジオ番組の『SCHOOL OF LOCK!』(以下SOL)が、2023年3月に、3年ぶりのイベントを開催。番組ファンの10代の“生徒(リスナー)”たちが、音楽を楽しみながら、仲間との絆を確かめあった。
会場のTACHIKAWA STAGE GARDENは、15時に開場してすぐに賑わいをみせていた。厚木高校の“凪”と土浦日大高校の“Aφ”の2バンドがオープニングアクトで見事な演奏を繰り広げる一方、ロビーでは、一足先にヤマハの楽器体験イベント“TOUCH & TRY”もおこなわれ、どこにいても音を楽しめる空間になっていた。コロナ禍になってライブ現場やイベントもいろいろな規制があったが、こうして音楽を楽しむ環境が少しずつでも戻ってきているのはうれしい限りだ。
イベント本編開始時間になり、パーソナリティの“こもり校長”ことGENERATIONSの小森隼がステージに登場すると、場内は大きな声援に包まれた。「生徒のみんなこんにちは~!やっと会えたね~!」と呼びかけると、さらに声援は大きくなる。小森が校長に就任してからは、一度もイベントが開催されていなかったので、解禁になった声援を身体いっぱいに浴びて満面の笑顔だ。
「この数年間、ライブに行っても声出せなかったでしょう。学校行事もいままでと違う感じになって、修学旅行も延期になったり中止になったり……だからここで青春を取り戻して、僕らとキミたちとの絆を確認する日、それがキズナ祭です!」
その熱い“開講宣言”を受けて登場したのは、3ピースバンドのマルシィ。2022年にメジャーデビューしたばかりだが、1曲目『未来図』からその情感豊かな演奏とボーカルに“生徒”たちは心を掴まれ、ひとり、またひとりと手を挙げ、リズムに合わせて上下させている。
印象的なギターフレーズが響くストレート・ロックな『プラネタリウム』、さらにソリッドな演奏で興奮を呼び起こす『牙』をたたみかけ、「僕たち、バンド4、5年やってきたんですけど、今日は初の声出しライブです!」というMCに続いて演奏された応援ソング『大丈夫』では、コーラスパートを観客が一緒に歌う場面も。デビューのタイミングがコロナ禍と重なり、制限のある中で活動を続けてきた彼らと、同じく制限のある中で青春を過ごしている10代たちだからこそ、通じるものがあるに違いない。
ラストの『絵空』は、穏やかなイントロから次第に熱を帯びていくドラマチックなナンバーで、悲しくも美しい思い出に別れを告げる歌詞にも胸が熱くなる。演奏が終わると同時に力一杯の拍手がおくられていた。
続いて登場したKANA-BOONは、1曲目『ないものねだり』の冒頭から「クラップ・ユア・ハンズ!」と客席に呼びかけ、会場をひとつにまとめあげる。サビのパートを一緒に歌ってもらうために演奏中にレクチャーするなど、ライブ初心者でも楽しめるステージが繰り広げられるのは、さすが、メジャーデビュー10周年の実力といったところだ。
「今日は、ぼっち参戦ですって人もいるだろうけど、こうやって同じ音を聴いているあなたたちと俺たちは、もう友達ですからね」という言葉に続いて演奏された『ランアンドラン』や、叶わなかった恋心を歌った『サクラノウタ』など、10代のハートをくすぐる世界観もSOLというイベントにピッタリ。「最後はめいっぱい一緒に踊ろう!」という掛け声で始まった『スターマーカー』は、そのキャッチーなメロディーとダンサブルなリズムに奮い立たされたのだろう、“生徒”たちは叫んだり飛び跳ねたりと、思い思いにライブを楽しんでいた。
ライブ中盤のトークコーナーでは、2022年に番組を卒業した“ぺえ教頭”が登場し、“こもり校長”とともに番組進行を生で再現。いつもは声だけで楽しんでいたから、目の前で繰り広げられる生トークに、“生徒”たちは食い入るように見入っている。
このトークコーナーの次がGENERATIONSの出番ということで、準備のため小森が一旦退場。後を任されたぺえは、「SOLという素敵な場所との関係が終わるとは思っていません。いつかまた気楽にみんなの前で言葉を届けられたらと思うのでそのときまで、みんなしっかり生きるんだよ!」と語った。自分の心と身体に向き合って番組卒業を決めたぺえだからこそ、その言葉は重く、同時に会場中に強さと優しさももたらしてくれた。
“生徒”たちの心に確かなチカラが宿ったところで、GENERATIONSが登場。アッパーなビートと拳を振りかざすダンスが印象的な『Hard Knock Days』でスタートし、グルーヴィーなサウンドに自然と身体が揺れる『ヒラヒラ』では、クラップパートで会場がひとつになって大きな手拍子を響かせる。ソウルフルな『EXPerience Greatness』の「セイ、イエー!」というコール&レスポンスでは「セイ、校長!」というSOL限定のフレーズも織り交ぜて、会場の笑顔をどんどん増やしていく。
リリースされたばかりのニュー・アルバム『Ⅹ』からは、きらきらしたメロディーに心躍る『ワンダーラスト』と、ステージと客席が一緒になってタオルを振り回すアッパーチューンの『NOW or NEVER』をプレイ。小森もステージにひっくり返るほど、全力全開のパフォーマンスを見せてくれていた。
さらにラストナンバーの『チカラノカギリ』では、全国から集まった49名の10代たちによるキズナ祭スペシャルブラスバンドと共演。もともと前向きな曲だが、ブラスバンドの放つ勇壮さときらめきのある音色は楽曲に新たなパワーを与え、そのチカラを受けてGENERATIONSもがむしゃらなパフォーマンスを披露。その力強いステージは楽曲をより輝かしく響かせていた。
ステージを終えて、自分が校長に就任してからの年月を振り返った小森は、10代たちがコロナ禍に青春の貴重な時間を奪われている、その事実に胸をいためていたことを明かした。
「それでも根拠もなく、いまは未来に繋がるから、明るい未来は来るからと言い続けてきて、やっと3年経って、本当に明るい今日がやってきました。みんなが諦めず、一歩一歩進んできてくれたから、今日この日が実現しました。本当にみんなありがとう!」
感謝を口にする“こもり校長”に、会場の“生徒”たちは熱い拍手を返す。同情や哀れみで片付けることはせず、常に前向きな言葉を投げ続け共に歩んできてくれた校長への、感謝の拍手だった。
最後は番組の締めと同じように、“こもり校長”と会場の全員が「また明日!」と叫んでイベントは終了。会場を後にする“生徒”ひとりひとりの足取りには、まさに“明日”を手にしようとする逞しさが感じられた。
終始心を熱くさせてくれたイベント終了後、小森隼とGENERATIONSリーダーの白濱亜嵐にイベントの感想を伺った。
──SOL3年振りのイベントが無事終了しました。いまのお気持ちをお聞かせください。
小森「いや~、すごく感慨深いものがあって。僕自身、SOLのパーソナリティになって、2023年4月で丸3年になるんですけど、自分の背負っている看板で歓声ありのイベントをやらせてもらい、当たり前のことが経験できなくなった10代たちがたくさん来てくれて。“初めてライブに来る”とか、“初めて声を出せるイベントを観られる”とか、それがなんか心に刺さって。
“夢を与える”をテーマに10年以上GENERATIONSとして活動してきたんですけど、今回なにかひとつ夢を届けることができたのかなと実感するライブイベントでしたね」
白濱「本当に温かい空気感だったのと、隼が3年間校長をやってきた意味っていうのを、今日そばで観ていてすごく感じる一日でしたね」
──ブラスバンドとの共演はいかがでしたか?
白濱「一緒に演った『チカラノカギリ』って、僕らのレパートリーの中でもがむしゃらな曲で。メンバーもカッコつけずがむしゃらになって踊るんですけど、それにブラスバンドの音がのっかると、ドロドロの汗もサラサラになるというか。爽やかな感じがして、踊っていて気持ちよかったですね」
小森「僕は正直なことを言うと“こんなにクオリティが高いのか!?”って思いました。今回、全国各地からメンバーを集めているので、部活で一緒にやってきた子と演奏するっていうのとは次元の違う状態なんですよね。だから正直、もっとバラバラになったりすることもあるかもと思っていたら、みんなの仕上げてきたクオリティの高さに僕はものすごく心を打たれて。初めて会う人だとか、経験値とかっていうのは関係ないなって。人間が本気でやりたいと思う気持ちの強さみたいなものを、あらためて10代のみんなから感じさせていただきました」
──音楽を通して絆を深めあえたんですね。
小森「いやホントに!だから音楽って最高だなと思いました。プロアマ関係なく、そこに音さえあれば繋がれるんだって思いました」
文/ 飯島健一
photo/ SCHOOL OF LOCK! 春の文化祭 キズナ祭 2023 supported by Yamaha
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