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今月の音遊人:AIさん「本当につらいときも、最終的に救ってくれるのはいつも音楽でした」
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ピアノ指導者にこそ、クラビノーバの可能性を知ってほしい/黒河好子、デュオ ルチア インタビュー
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2023.4.28
子どもから大人まで、多様なピアノライフに愛用されている電子ピアノ。プライベート空間がおもな活躍の場であった電子ピアノが、コンサートに登場するという斬新な企画、「黒河好子プロデュース~デュオ ルチア グランドピアノ&電子ピアノ 連弾コンサート」がヤマハミュージック宇都宮を皮切りに各地で行われ、2023年4月9日にはヤマハミュージック 大阪なんば店2階サロンで開催された。
黒河さんは、ソロ活動やオーケストラとの共演など、多方面で演奏活動を行うとともに、科学的根拠に基づく指導法「黒河メソッド」の講座を全国で開くなど、たくさんのピアニストを育ててきた指導者でもある。この日の演奏者、デュオ ルチアの徳正沙穂さん、出口菜乃さんも黒河さんの教え子。それぞれ、ピアノ指導者としても活躍している。
コンサート後には、レッスンにおける電子ピアノのクラビノーバの可能性について、お三方にお話しいただいた。
コンサート会場である2階サロンには、グランドピアノC3X espressivoと電子ピアノのクラビノーバCLP-775が、向き合うようにセッティングされた。この光景だけでもわくわくしてくる。そしていよいよ、グランドピアノとクラビノーバ、語りによるサン=サーンス『動物の謝肉祭』が始まった。
全14曲の小品からなるこの作品は、曲中にライオン、めんどり、カメ、象、魚などが登場する。その動物たちの様子を、ピアノ連弾、クラビノーバの連弾、ピアノとクラビノーバの2台演奏、というバリエーションで表現していく。パイプオルガンやチェンバロ、コントラバスといったクラビノーバに搭載された多彩な音源がグランドピアノと融け合い、動物たちの情景が生き生きと描かれた。
クワイア(合唱)の音色を使った第9曲『森の奥に棲むカッコウ』は圧巻。声の響きが深淵な森をイメージさせ、響きが静寂を創り出した。単独の楽曲としても演奏される名曲『白鳥』では、原曲のチェロ部分をクラビノーバで演奏。優雅な白鳥を表すストリングスの音色がなんとも美しい。会場では、子どもたちが身を乗り出すようにして聴き入っていたのが印象深かった。
黒河さんがこのコンサートのプロデュースを発想したきっかけは、CLP-775を演奏してみたことだったという。
「クワイアの音色がすごくいいなと感じて、バッハや古典、バロックの曲を弾いているうちに、こども達はイメージをつかみやすいと感じました。ピアノは自分で音をつくっていかなくてはいけませんが、クラビノーバに搭載されたピアノ以外の音は、曲のイメージを引き出してくれます。これを使って新しいかたちのコンサートをやってみたい、と考え始めました」
コンサートという表舞台にクラビノーバを上げようと思われた背景にはどんな想いがあったのだろう。
「ピアノを教える先生たちに、“この楽器のよさや楽しさをもっと知ってもらいたい”、ということです。近年は多くの子どもたちが電子ピアノで練習するようになりました。ですから、指導する側も生徒たちの弾く楽器をよく知る必要があります。音の問題やさまざまな事情でアコースティックピアノを持てないという人たちにも、音楽を楽しむ可能性を広げるために、このコンサートが出会いや気づきのきっかけになればうれしく思います」
「日常の生活に電子音があふれる現代社会。子どもたちはその環境で育っています」と黒河さんは語る。
「だからこそ、電子ピアノのなかでも『いい音』の楽器を弾いてほしいですし、ピアノと電子ピアノはタッチなど違うことが多くあり、そこからアコースティックピアノへとつなげる指導法も深めていく必要があると思います」
演奏する楽しさと出会い、音楽を一生の友としてほしいという願いは、指導者も親御さんも同じはず。それだけに、次につながる楽器選びという視点がとても重要かもしれない。
黒河さんから「演奏してみてどう感じた?」と聞かれ、「ピアノの音色だけでなく、曲に合った音色を選ぶことでイメージが持ちやすく、いつもとはまた違った楽しみかたで演奏できました」と話す徳正さんと出口さん。演奏からレッスンのヒントも得られたという。
「私の生徒もクラビノーバで練習している子が多いですね。私自身もピアノを習い始めた当初はクラビノーバで練習していました。このコンサートを機に再び演奏したことで、実体験を織り交ぜた指導ができるようになり、レッスンの展望が開けました」(徳正さん)
「私自身が電子ピアノでの演奏を経験することで、生徒が家で練習する際のより具体的なアドバイスもできるようになりました。自分で弾いたからこそ理解できることが多く、伝え方の引き出しも増えて、生徒の演奏が変わっていくのを実感しました」(出口さん)
「子どもたちが最初に出会う楽器はきちんとしたものを使ってほしい」と語る黒河さん。導入の楽器として、アコースティックピアノが理想的ですが、クラビノーバにも優れた面があるという。
「搭載されている音色によって、まだピアノで音色がつくれない年齢の子どもたちが、音楽のイメージを広げられるのがとてもいいですね。アコースティックの代用としてだけではなく、もう一つの方向性という考え方で、ピアノと組み合わせていくのもいいのではないかと思います。ピアノのよさ、電子ピアノのよさ、それぞれのよさを生かしていただきたいと思います」
全国の取り扱い店舗では、ピアノやクラビノーバをはじめ多くの鍵盤楽器を試奏ができるうえ、専門スタッフがさまざまな相談にも応じてくれる。まずは店頭で弾いてみることから、クラビノーバの楽しさに出会ってほしい。また、デュオ ルチアによる「グランドピアノ&電子ピアノ 連弾コンサート」はこれからも全国各地で開催される予定。ぜひ実際に音を聴いて、その可能性を感じてみてほしい。
クラビノーバ
美しい音を生み出すための身体の使い方、筋肉の鍛え方──科学的根拠に基づいた黒河メソッドの流儀(Web音遊人)
文/ 芹澤一美
photo/ 村川荘兵衛
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tagged: クラビノーバ, 黒河好子, CLP-775, デュオ ルチア
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