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今月の音遊人:佐渡裕さん「音楽は、“不要不急”ではない。人と人とがつながり、ともに生きる喜びを感じるためにある」
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自身初のデュエットアルバムが引き出す渡辺美里の新たな魅力/『Face to Face~うたの木~』リリース
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2023.8.30
tagged: インタビュー, アルバム, 渡辺美里, Face to Face~うたの木~, カバーアルバム, デュエットアルバム
情熱と輝きに満ちた歌声で、多くの人々を魅了し続けている渡辺美里。彼女が洋・邦問わず歌い継ぎたいカバー曲を収録してきた「うたの木」シリーズ。その最新盤として、自身初のデュエットアルバム『Face to Face~うたの木~』を、38回目のデビュー記念日の翌日、2023年5月3日にリリースした。渡辺と親交の深い11人のアーティストとコラボレーションした本作は、同年8月30日にアナログ盤も発売される。
これまでさまざまなカバー・アルバムをリリースしてきた渡辺だが、今回デュエットにこだわったのは、なぜだったのだろうか。
「80年代からデュエットのアルバムを作りたいという想いはずっともっていました。2020年ごろから人と直接お会いする機会が減り、誰かと面と向かってお話ししたり、音楽を一緒に奏でたりするということが、とても贅沢で愛おしいものだということをあらためて感じました。“実行するなら今だ!”と思ったのです。やっと実現することができて、うれしく思っています」
決断してからは、かなりのスピード感をもって物事が進んでいったという。
「やりたい曲が浮かぶのとほぼ同時に、“この曲ならこの人と歌いたい”というアイデアが頭の中にポンポンと浮かんできました。それが叶うか不安はあったのですが、うれしいことに皆さんが快諾してくださって。実際に制作がスタートしてからは、もともと描いていたイメージどおりのサウンドやアレンジに仕上がって感激しました」
ジャズから昭和歌謡ととても幅広い内容のアルバムになっているが、どのようにアイデアが固まっていったのだろうか。
「ジャズの名曲、『It Don’t Mean A Thing』は以前から歌いたいと思っていた曲でした。ビッグバンドをやりたかったので、“両方叶えてしまおう!” ということで今回のかたちにすることができました。デュエット相手はLiLiCoさんというのも、すぐに浮かびましたね。また、9曲目の『やつらの足音のバラード』は、子どものころから聴くたびに切ない気持ちになってしまう曲で、口ずさんでいたら不思議と泉谷しげるさんの歌声が聴こえてきて……。実際にデュエットをお願いしてみたら“いい曲選ぶねぇ”と言ってもらえました」
『maybe tomorrow』は大江千里との共演だが、大江は歌ではなくピアノとアレンジで参加している。ここにも渡辺ならではのアイデアがあった。
「歌手がデュエットというと二重唱のイメージが強いですが、私はそれだけじゃなくて、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの歌とトランペットというような、二重奏の形もすごくやりたかった。そこで、大江さんにはピアノでデュエットをしていただきました」
今回のアルバムを聴いていると、それぞれの歌唱力や表現力の輝きにあらためて驚かされるのと同時に、変幻自在な渡辺の歌声が合わさり、相乗効果でデュエットの魅力を引き出していると実感する。
「ご一緒してくださる方々の個性が出せればいいなと思いながら歌いました。今回は男性との共演が多かったので、キーの設定が少し難しいところでした。高い声を得意とされている方もいましたが、私も低い声が出る方なので、うまく折り合いがつきましたね。このアルバムでは普段ひとりで歌うときには使わないような声も出しているので、私としても新しい表現を発見できたのは大きな喜びでした」
本作はCDの発売後にアナログ盤の発売も予定されている。前年2022年には、5thアルバム『Flower bed』の復刻版や、同じ「うたの木」シリーズの『彼のすきな歌』もアナログ盤でリリースしている。これらの発売には、渡辺のレコードに対するこだわりが詰まっていた。
「2022年にラジオの生放送でレコードを聴く機会があったのですが、CDの音との圧倒的な違いと、レコードに針を落として聴くという行為にあらためて感動と衝撃を受けました。30年前はあたり前にやっていたことなのに、すっかり忘れていたんです。最近はエッジの効いたサウンドが主流ですが、そうした中でレコードの音に対する需要も高まっているように感じます。素晴らしい音質と重厚な音圧、アナログ盤の音も、多くの方に楽しんでいただけたらうれしいですね」
2023年9月からは「うたの木 GROW」と題した全国ツアーが決定している。
「1999年に『うたの木』と題したライブを始めてから四半世紀が経ち、今まさに『うたの木』が育っていることを実感しています。今回のツアーでは洋楽、邦楽にセルフカバーと、さまざまなものをお届けしていきたいと思っています」
デビューから38年目を迎え、ますます活き活きとパワフルな魅力を放つ渡辺。これまで育んできた実力があるからこそできる新たな試みで、今後も私たちに感動を与え続けてくれることだろう。
発売元:EPICレコードジャパン
発売日:2023年5月3日(CD)/8月30日(アナログ盤)
税込価格:初回生産限定盤(BD付)9,900円/通常盤3,300円/アナログ盤3,850円
2023年
9月1日(金):千葉・青葉の森公園芸術文化ホール
9月8日(金):石川・金沢市文化ホール
9月10日(日):長野・長野市芸術館 メインホール
9月23日(土):北海道・道新ホール
10月9日(祝・月):宮城・日立システムズホール仙台シアターホール
10月14日(土):熊本・玉名市民会館
11月5日(日):埼玉・レイボックホール(さいたま市民会館おおみや)
11月12日(日):広島・JMSアステールプラザ 中ホール
11月18日(土):東京・LINE CUBE SHIBUYA
11月24日(金):京都・ロームシアター京都 サウスホール
11月26日(日):福岡・電気ビルみらいホール
11月29日(水):神奈川・関内ホール
12月9日(土):愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
12月16日(土):大阪・サンケイホールブリーゼ
12月17日(日):大阪・サンケイホールブリーゼ
文/ 長井進之介
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