今月の音遊人
今月の音遊人:仲道郁代さん「多様性こそが音楽の素晴らしさ、私自身もまだまだ変化していきます」
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佐野史郎と湯浅学のムーディーな音楽夜話「ムード歌謡とラテンの夜」
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2015.10.15
tagged: 湯浅学, ラテン, ポータル, 佐野史郎, ヤマハ銀座, 音座銀座, On The Gin Za, トークショー, ムード歌謡
銀座の夜を彩るトークショーとして定着してきた『音座銀座(On The Gin Za)』。第7回のタイトルは「ムード歌謡とラテンの夜」。これまでとは打って変わり、ムーディーな音楽の世界にぐぐっと迫るという異色の展開となった。ナイトクラブやバーが似合う昭和の大人の世界。まさに「大人の音楽の愉しみ方」を発見するという『音座銀座』のテーマにふさわしい内容になりそうな予感を抱きつつ、会場に集まった方々を眺めると、心なしか銀座の夜が似合う方々が多いように感じられた。
さて、ホストである俳優の佐野史郎が今回ゲストに招いたのは、音楽評論家の湯浅学。
スタートは景気良く『マンボNo.5』のリズムにのせて、佐野がラテンの気分で口火を切ると、のっけから演歌の帝王・殿様キングスに話題を振られてしまう。幻の名盤歌謡曲の復刻にも力を注いでいる湯浅だけに、このあたりのウンチクを語らせたらもう止まることを知らない。「殿様キングスってラテンもやるバンドで、『恋は赤いバラ』というマンボの曲で最初のヒットを飛ばしたんですよ」「最初は『流れ星マンボ』という曲名だったのが、冴えないからと『紅バラマンボ』に変わり、『恋は赤いバラ』に落ち着いた」などなど立て板に水の弾丸スタートとなった。この日、佐野と湯浅がセレクトしたのは100曲近く。次から次に曲をかけ、脱線しながらも会場はすっかり二人のペースに乗せられていった。ムード歌謡のベースとなる三要素として湯浅が『ベサメムーチョ』『ハーレムノクターン』『タブー』を取り上げると「こういう曲を聞くとブランデーが飲みたくなるね~」「誰でもくどけそうな気になってくる、石原裕次郎の世界だ」とすっかりムーディな心持ちになった佐野に、笑いが起こる。
マヒナスターズ、東京ロマンチカといった懐かしの曲に浸りつつ、ラテンのリズムであるハバネラが使われた意外な歌謡曲があるという楽典的な話題も登場。こんなキャパシティの広さを披露してくれるのも湯浅らしいところである。その曲とは春日八郎の『別れの一本杉』と高倉健の『唐獅子牡丹』。ヒットの陰にラテンあり。古くはルンバブームを起こしたエノケンの『南京豆売り』、そして西田佐知子の『コーヒールンバ』、童謡の世界ではチャチャのリズムを取り入れた『おもちゃのチャチャチャ』。なるほど日本の歌謡史を語る上ではラテン音楽は欠かせない存在となっていることに、じわじわと気づかされる。「現代日本人のDNAにはラテンのリズムが入っているんですよ」という湯浅の言葉に納得させられてしまった。
さて、次回は2015年11月6日(金)、犬塚弘(元ハナ肇とクレージーキャッツ・俳優)さんをゲストにお迎えし、舞台をヤマハ銀座ビルのB2F・ヤマハ銀座スタジオに移して、ぐっとオトナな雰囲気でお届けします。「戦後のジャズと冗談音楽」をテーマに、お二人が選曲した“こだわりの逸曲”と共に、ジャズベーシスト犬塚弘の誕生からクレージーキャッツの秘話、その後の舞台役者としての活躍など、昭和のエンターテインメント史を作った貴重な体験談をたっぷりお愉しみください。
※11月16日(金)の開演時間は14:00です。
トークショーの中で紹介された曲の一覧表です。こちらのPDFファイルをご覧ください。
日時:2015年11月6日(金)開場13:30/開演14:00
場所:ヤマハ銀座スタジオ(東京都中央区銀座7-9-14 B2F)
出演:ホスト・佐野史郎 ゲスト・犬塚弘
料金:2,500円(税込)
定員:112名・自由席※チケットに記載された整理番号順での入場となります。
文/ 唐沢 耕
photo/ 森島興一
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