今月の音遊人
今月の音遊人:世良公則さん「僕にとって音楽は、ロックに魅了された中学生時代から“引き続けている1本の線”なんです」
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国内外での演奏活動をはじめ、2011年からは国立音楽大学で教鞭を執るなど幅広く活躍する神保彰さん。デビュー35年を迎え、ますます精力的に活動を続ける神保さんにお話をうかがいました。
多く聴いたという意味では、ボブ・ジェームスのアルバム『one』に収められている『はげ山の一夜』ですね。ドラムを叩いているのはスティーブ・ガット。「ドラムがこの音楽を成り立たせている」と感じさせるスティーブの演奏にノックアウトされました。彼は、ドラムという楽器を違うステージに押し上げた人だと思います。
聴いた回数ということになると他の曲とは桁が違っていて、それこそ何千回も聴いたと思います。当時は映像もなかったので、想像力を働かせながら何回もリピートして、どのように演奏しているのかを少しずつ解明していきました。実際に見てみると、自分でこうだろうと思った演奏手順とは違うところもありましたが、情報量が少ないぶん、真剣でしたね。そういう聴き方ができたことは、今の自分にとってすごく良かったと思っています。
たとえば移動中にFMでかかった曲がすっと入ってくる、ということはありますね。曲の世界に引き込まれるように、メロディに耳を奪われたりすることも。
僕は、音楽は言葉では伝わらないものを伝えられる、もうひとつのコミュニケーション手段だと思っています。たとえば花の美しさを言葉で表現しようすると、言葉では「~のように美しい」と他の何かにたとえることが多いですが、音楽ならストレートに伝えられます。
そんなコミュニケーション手段でもある音楽を作り、その音楽を聴いて「いい」と思ってくださる方がいる…。これは奇跡的なことですね。僕は音楽によって、人生に大きな広がりを獲得できたと思います。
学生時代にビッグバンドのサークルで一緒に演奏していた仲間たちですね。彼らは会社員や学校の先生など、それぞれの道に進みましたが、みんな音楽を続けています。時々、OBバンドのゲストに呼ばれたりして一緒に演奏するんですが、みんなすごく気合いが入っていて、学生時代よりもうまくなっている(笑)。そういう姿を見て、たとえ音楽を仕事にしていなかったとしても、「音楽は一生、その人の人生と共に歩むものだ」ということを、今また新たに感じています。
今年、プロデビュー35周年を迎えます。ここまで続けてこられたのは、「演奏することが好き」だからだと思います。楽器の面白いところは、上達すると先が見えて、もっと遠くを見たいという気持ちで一歩一歩昇っていけるところではないでしょうか。「80歳でバリバリの現役でカッコよく叩く」を目標に、これからも音楽と共に歩み続けたいと思います。
神保 彰〔じんぼ・あきら〕
1980年にカシオペアでプロデビューして以来、常に音楽シーンの最先端を走り続けるトップ・ドラマー。現在はワンマンオーケストラをはじめとするソロ活動のほか、CASIOPEA 3rdのサポートメンバーとしても活動中。
神保彰オフィシャルサイト http://akira-jimbo.uh-oh.jp/
文/ 芹澤一美
tagged: インタビュー, 神保彰, 今月の音遊人, ドラマー
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