今月の音遊人
今月の音遊人:前橋汀子さん「同じ曲を何千回、何万回演奏しても、つねに新しい発見や見え方があるのです」
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【優待チケット】自分を表現し、観客と音楽を共有できる喜びが、舞台に立ちつづける理由/ジョージ・ハリオノ インタビュー
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2023.9.22
イギリス生まれのピアニスト、ジョージ・ハリオノは、9歳でのソロ・リサイタルデビュー以後、世界を舞台に活躍する22歳だ。2023年11月11日(土)にはヤマハホールでリサイタルを行う。
「子どもの頃、初めてピアノを教えてくれたのは母でした。そして、後に出会った先生方にたいへん恵まれました。ピアノへの愛情を育み、音楽への本物の情熱を見出すことは、ピアニストとしてキャリアを築くうえで必要不可欠。若い頃に正しく導いてくれる存在は重要です」
来日公演は5年振りとなる、11月ヤマハホールの舞台では、「きっと日本ファンも気に入ってくれるはず」と語る、自慢のプログラムを披露する。
「ベートーヴェンは、子どもの頃からたくさん取り組んできました。ある人が、コンクールはベートーヴェンのソナタだけで優勝できると言っていましたが、実際、非常に重要なレパートリーですよね。『ピアノ・ソナタ 第18番』では、色と音のコントラストが感じられる、カラフルでリズミカルな演奏を目指しています」
ハリオノが親しみを感じるもう一人の作曲家、リストからは『超絶技巧練習曲集より第11番〈夕べの調べ〉』と『ハンガリー狂詩曲 第6番』を演奏する。
「同じロマン派でも、僕にとってショパンはとても難しいのですが、リストは近い存在なのです。演奏しながら育ってきましたから」
後半で演奏するシューベルトも、リストによる歌曲編曲作品に触れることで理解を深めた。
「シューベルトが自身の歌曲からメロディを引用した『さすらい人幻想曲』は、大好きな作品です。彼のピアノ曲にしては高い技術を要し、ほかのどの作品とも異なります。時間をかけて解釈を練り、コンクールでも満足いく演奏ができました」
もう一つ長く演奏するレパートリーが、ストラヴィンスキー『ペトルーシュカからの3楽章』だ。
「今では弾いていて自由を感じます。念頭にあるのはオーケストラの色彩感。ピアノは打弦楽器なので、管楽器や弦楽器のような音を出すことは不可能に近いですが、最善を尽くして幅広い表現を目指しています」
一方そこに、いまの作曲家の新しい曲を紹介していくのも音楽家の使命だと考える彼が加えたのが、ロシア現代の作曲家、アルカディエフの『フレイム・ソナタ』。
「作曲家のアドバイスを受けたこともあり、何度も弾いています。現代作品を積極的に紹介することは演奏家の務め。作曲家と緊密に協力して作り上げる一面がありますね」
歴史上の作曲家と現代の作曲家で、アプローチに違いはあるのだろうか。
「今は亡き作曲家の音楽を演奏する手がかりは、スコアがすべて。よりオープンな解釈ができるということです。現代のピアノはベートーヴェンが作曲をしていた時のものと異なりますし、会場はもっと小さなサロンでした。楽譜を見て弾くことも普通でした。それはリストが暗譜で弾き始めたことで変えてしまったけれど。つまり、当時と今とでは演奏のコンテクストが違うのです。なので、音やペダル、バランスについて必要なことが守られていれば、以降の解釈はオープンでよいというのが僕の考え。演奏の伝統は変化して然るべきだと思います」
ピアニストは普通、会場に自分の楽器を持ち運ぶことはできない。その日出会ったピアノにいかに素早く慣れ、コントロールするかは、彼らにとって重要な能力の一つだ。ハリオノは、そんな楽器との出会いこそが自らを刺激するという。
「自分の楽器で演奏できないのは大変だと言われますが、僕がピアノを好きな最大の理由は、日ごとに異なるサウンドの楽器を弾けることなんです。だからこそ毎回ユニークな音楽を届けられます。常に同じピアノだったら退屈です。ピアノ、音響、ピアニストという3つの要素がうまく合わさることが大切です」
彼お気に入りのヤマハCFXを、アコースティック楽器に最適で豊かな響きを追求して造られたヤマハホールで弾く今度の公演は、条件が見事に揃うシチュエーションと言える。
「以前、お客さんがいないヤマハホールで試弾しましたが、親密な雰囲気があり、とても気に入りました。さまざまな色を作り、自分を表現できて、自由な気持ちになれます」
ピアノとホールに加え、彼がもう一つインスピレーションの源として挙げたのは、観客の存在だ。
「自分の音楽を観客と共有することが大好きで、それこそ僕が舞台に立ち続ける理由です。ピアニストの生活は、旅ばかりで練習をたくさんしなくてはならず、楽ではありません。でも会場で演奏を聴きに来てくれた方々と集う感覚はすばらしく、努力の価値があります。
自分が自分でなければ観客は気づきますし、僕が幸せでなければ聴いている方も音楽を楽しめるはずがありません。ピアニストの中には、80歳、90歳まで演奏しつづける人もいますね。自分がそうなれるかわかりませんが、こうして音楽を楽しめている限り、続けていきたいと思います」
ジョージ・ハリオノ
9歳でのソロ・リサイタルデビュー以降、イギリスを始め、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各国にて公演を行い、ウィグモアホール、ベルリン・フィルハーモニー、ロイヤル・アルバート・ホール、シカゴ・シンフォニーホールなどの著名なホールに登場。
12歳でオーケストラと初協演、最年少の15歳でフルスカラシップ奨学生として英国王立音楽院に入学し、学士号を取得。
世界中のコンクールで数々の受賞歴を持ち、2023年6月には、チャイコフスキー国際音楽コンクールで第2位に入賞、各国にて公演を行っている。
日時:2023年11月11日(土)14:00開演(13:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:4,000円(税込・全席指定)
出演:ジョージ・ハリオノ(ピアノ)
曲目:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第18番 Op.31-3、チャイコフスキー/18の小品より 第5番 瞑想曲 Op.72-5、リスト/超絶技巧練習曲集より 第11番 夕べの調べ、リスト/ハンガリー狂詩曲 第6番 変ニ長調、シューベルト/さすらい人幻想曲 Op.15,D 760、アルカディエフ/フレイム・ソナタ(※日本初演)、ストラヴィンスキー/ペトルーシュカからの3楽章
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本公演の優待チケット(一般:定価4,000円/優待価格 3,500円)を10枚ご用意いたしました。ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
2023年9月29日(金)23:59まで
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文/ 高坂はる香
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tagged: ヤマハホール, インタビュー, CFX, ジョージ・ハリオノ
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