Web音遊人(みゅーじん)

カスタム・ウインズ木管五重奏団

【優待チケット】長年のメンバーならではの「息」と「粋」。音になり、響きとなって届ける珠玉のコンサート/カスタム・ウィンズ木管五重奏団インタビュー

第一線で活躍する演奏家によるアンサンブル「カスタム・ウィンズ木管五重奏団」が2024年3月4日にヤマハホールでコンサートを開催する。プレミアムな空間で演奏されるプログラムは、ダンツィ、フランセ、クルークハルトの木管五重奏曲、そして福島弘和による委嘱作品と実に多彩。どんなコンサートになるのだろう。東京を拠点に活動する4人に、6年ぶりとなるコンサートについて聞いた。

爆発力を秘めたクィンテット

お話を聞いたのは、サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団などの公演に出演のフルート奏者・岩佐和弘、東京都交響楽団首席オーボエ奏者・広田智之、日本フィルハーモニー交響楽団首席ファゴット奏者・鈴木一志、日本フィルハーモニー交響楽団客演首席ホルン奏者・丸山勉。コンサートでは、この同世代4人に、ロバート・ボルショス(名古屋フィルハーモニー交響楽団首席クラリネット奏者)が加わる。
「僕らはヤマハホールとともに誕生し、歩んだとも言えるアンサンブル。座付きクィンテットみたいなもの」と笑う広田に木管五重奏の特徴について聞くと……。
「木管五重奏って、各楽器の発音体が異なる事情から、高いレベルの演奏が望めないのでは、と有名な作曲家たちから避けられてきたところがありますが、それを乗り越える、という使命もあるんです」(広田)
「まあ、問題はフルートでしょうね」(岩佐)
「いや、オーボエでしょう」(広田)
こんなやり取りに一同爆笑。話題はやがて、フルートという楽器そのものの発達の歴史に行き着く。この丁々発止のテンポ感や間合いが、まるで演奏のよう。長年、アンサンブルを組んできたメンバーならではの「息」と「粋」だ。

カスタム・ウインズ木管五重奏団

フルートの岩佐和弘(左)、オーボエの広田智之(右)

プライベートでのつながりも?と聞くと「そういえばないですね(笑)」と4人。
「趣味もそれぞれだし、活動もそれぞれのメンバーが、数年に一度集まるというフレッシュ感がいいんだと思いますね。ほかのクィンテットとは明らかに違う、爆発的なものがある」(広田)
「遊び場みたいにね、何かが起こるから楽しいんです」(鈴木)
「やっちゃいけないことがない。でも不思議なことにオーソドックスな方向に収まりますよね」(岩佐)

どれも聴きどころのプログラム

注目のプログラムは、「どの曲も聴きごたえがあって、どれも目玉」(岩佐)と言える曲ばかり。まずは、木管五重奏のバイブルとも言えるダンツィで幕を開ける。会場の空気感が温まったところで、各楽器のソロの魅力も最大限に生かしつつ、木管五重奏としてまとめ上げられたフランセ作品へ。「このつながりがおしゃれでしょ?」と鈴木。前半2曲の色彩感の変化を存分に味わいたい。
後半は委嘱作品の初演からスタート。前回公演(2018年)で演奏した委嘱作品(八木澤教司『アゴラ』)がアンサンブルコンテストなどでも演奏されるようになったことから、木管五重奏の新たなレパートリーを「カスタム・ウィンズ木管五重奏団」から再び世に送り出したいと企画された。数多くの吹奏楽作品を手がける作曲家・福島弘和に新作を託す。
そしてラストを飾るクルークハルト『木管五重奏曲』は鈴木のイチ推し曲。「このメンバーで絶対にやりたいと思って7、8年前に譜面を買っておいた」という。「小細工せずに王道で演奏できる曲。みんな経験も年齢も重ねて、いろいろな引き出しを持っています。そんなわれわれが演奏するのにふさわしい曲だと思います」(鈴木)

カスタム・ウインズ木管五重奏団

ファゴットの鈴木一志(左)、ホルンの丸山勉(右)

「これ、実はすごいプログラムじゃない?若い人たちもなかなか取り上げないプログラムを、われわれがやるということに意味があるんです」(鈴木)の言葉に、全員が「うんうん」とうなずく。
「ちょっと楽譜が見えにくくなったり(笑)、コンディションも日々変わったり。でもそれもみんなで共有して演奏できるのがこのアンサンブルの聴きどころでもあるし、そういうメンバーが王道のプログラムでコンサートに臨むという、その気概を聴きに来ていただければうれしいです」(丸山)
「そうそう、いろんな経験を積んできたベテランが、懸命に演奏する姿っていうのも味があっていいんじゃない?」(広田)
「と言いながら、いつも一番、涼しい顔して吹いている!(笑)」(鈴木)

ロバート・ボルショス

カスタム・ウィンズ木管五重奏団に初参加となるクラリネットのロバート・ボルショス

「朗らかですごくいい人」(広田)というロバート・ボルショスが加わることで、「われわれも刺激を受けるし、彼も影響を受けると思います。一緒に演奏するのがとても楽しみ」と岩佐。ステージでは、5人の和気あいあいが音になり、響きとなって、客席に音楽の楽しさ、豊かさを届けてくれるに違いない。本番で生まれる化学反応と、この日、このコンサートでしか聴けない音楽的ひらめきにワクワクが止まらない。

珠玉のリサイタル&室内楽 カスタム・ウィンズ 木管五重奏団 Vol.5

日時:2024年3月4日(月)19:00開演(18:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:一般 4,500円、学生 3,500円(税込・全席指定)
出演:カスタム・ウィンズ木管五重奏団
岩佐和弘(フルート)、広田智之(オーボエ)、ロバート・ボルショス(クラリネット)、鈴木一志(ファゴット)、丸山勉(ホルン)
曲目:F.ダンツィ/木管五重奏曲 変ロ短調 Op.56-1、J.フランセ/木管五重奏曲 第1番、福島弘和/委嘱作品、A.クルークハルト/木管五重奏曲 Op.79
詳細はこちら

■優待チケットの特別販売

本公演の優待チケット(一般:定価4,500円/優待価格4,000円、学生:定価3,500円/優待価格3,000円)を10枚ご用意いたしました。ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
応募締切:2024年1月15日(月)9:00
応募はこちら

特集

向谷実

今月の音遊人

今月の音遊人:向谷実さん「音で遊ぶ人!?それ、まさしく僕でしょ!」

16625views

音楽ライターの眼

連載48[ジャズ事始め]“アジア”から“江戸”へと回遊を始めた21世紀初頭の日本のジャズ

1786views

reface シリーズ

楽器探訪 Anothertake

ひざの上に乗せてその場で音が出せる!新感覚のシンセサイザー「reface」シリーズ

13921views

楽器のあれこれQ&A

ウクレレを始めてみたい!初心者が知りたいあれこれ5つ

5303views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目の若手サクソフォン奏者 住谷美帆がバイオリンに挑戦!

9487views

オトノ仕事人

音楽をやりたい子どもたちの力になりたい/地域音楽コーディネーターの仕事

9604views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

8702views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

6324views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

23658views

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う 結成30年のビッグバンド

われら音遊人

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う、結成30年のビッグバンド

9955views

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい 山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい

5703views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

31113views

大人の楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

19899views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

10434views

音楽ライターの眼

メンバーは替わっても、その演奏の柱は決して揺るがない/タカーチ弦楽四重奏団

9052views

金谷かほり

オトノ仕事人

ひとりとして取り残すことなく、誰もが楽しめる世界を創出/演出家の仕事

255views

われら音遊人

われら音遊人:オリジナルは30曲以上 大人に向けて奏でるフォークロックバンド

4651views

マーチングドラムの必須条件とは?

楽器探訪 Anothertake

マーチングドラムの必須条件とは?

11588views

メニコン シアターAoi

ホール自慢を聞きましょう

五感で“みる”ことの素晴らしさを多くの方と共感したい/メニコン シアターAoi

3206views

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい 山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい

5703views

大人のピアニカ

楽器のあれこれQ&A

「大人のピアニカ」の“大人”な特徴を教えて!

3750views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

7768views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

31113views