今月の音遊人
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【優待チケット】錚々たる作曲家の楽曲が、マリンバ2台に凝縮されるコンサート/イサオ・ナカムラ、ノリコ・ツカゴシ インタビュー
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2024.2.6
ドイツを拠点に活動し、現代を代表する作曲家たちから献呈を受け、多くの作品を初演してきた打楽器奏者、イサオ・ナカムラ。パリ国際マリンバコンクール第1位受賞、オーケストラとの共演やアルバムのリリースなど活躍目覚ましいマリンバ奏者、ノリコ・ツカゴシ(塚越慎子)。注目のふたりによるデュオ・リサイタルが、2024年3月16日(土)ヤマハホールにて開催される。錚々たる作曲家の面々が、このデュオのために作曲し、日本初演となる作品を多く含む貴重な公演について、初共演となるふたりに話を聞いた。
「2022年の暮れに塚越さんのリサイタルを聴きに行って、素晴らしいマリンバ奏者だなと感激したのが共演のきっかけです。彼女の奏でる音楽は“歌”に満ちていて、僕もマリンバでこんなふうに歌えたらという気持ちが芽生えました。そこで、デュオをやりませんか?と持ちかけたんです。それも、ふたりの知っている作曲家に委嘱して、このデュオのために作品を書いてもらおうと」(ナカムラ)
「ひとくちに打楽器といっても、鍵盤打楽器であるマリンバをメインとするマリンバ奏者と、太鼓系の打楽器をメインとする打楽器奏者がいますが、今回のデュオはステージ上にマリンバ2台のみ。世界的な打楽器奏者として知られるイサオさんがマリンバだけを演奏するというので、ファンは驚きだと思います」(塚越)
今回、日本初演となる作品は、いずれもナカムラや塚越と交流のある作曲家に委嘱されたもの。細川俊夫の新作、2台のマリンバのための『想起 Ⅱ』は、塚越が2022年のリサイタルで演奏したマリンバ・ソロのための『想起』をもとに書かれたデュオ・バージョンになる。
「私は、音楽の世界への最初の入り口がピアノとバイオリンだったので、マリンバを勉強しはじめてから現代音楽の作品に取り組む機会が増えました。マリンバの作品は打音のインパクトで表現するものが多いですが、細川先生の作品はひたすらに“静”の深い響きのなかに、秘められた美しさを持っていますよね。そこにピアノやバイオリンで培ってきた歌心を感じて、表現するのがとても楽しいです」(塚越)
「僕も俊夫さんとは付き合いが長く、打楽器ソロのための『線 Ⅵ』や、打楽器とオーケストラのための協奏曲を書いていただき、たくさんの作品を演奏してきました。ですので、僕の身体のなかに彼の音楽がすっかり入っている感じです」(ナカムラ)
アルゼンチンのタンゴ作曲家、サウル・コセンティーノは『アル・ロッホ・ビボ』『カノープス』『エン・ラ・エンボスカーダ』という3曲をマリンバ・デュオのために書き下ろした。
「アメリカの大学に留学中、タンゴにのめり込んだ時期がありました。タンゴの、演歌にも通じるようなコブシのきいた“歌”がたまらなく好きなんです。でも、もともとタンゴには打楽器が入っていません。そんなとき、アルゼンチンのサウルさんとコンタクトをとる機会があって “ノリコのために自分の作品をマリンバ用に書き直すよ”と言って、すごい数の作品を送ってきてくださったんです。今回も、“デュオのために曲を書いてくれる?”と聞いたら、喜んで書いてくださいました」(塚越)
ほかにも二人とつながりのある作曲家・宮川彬良、藤倉大がそれぞれ新作を書き下ろしている。
宮川のタイトルは『九月の覚え書き』。家族に赤ちゃんが生まれたドタバタ劇のなかに、新しい日常がはじまるストーリーが描かれている。
「彬良は大学時代からの僕の後輩で、まだ劇団四季が小さな劇団だった頃から一緒に音楽をやっていました。今回も“ぜひ書きたい”と言ってくれて。いわゆる現代音楽とはちょっと違う、彬良の世界がビシビシと伝わってくるような、彼にしか書けない音楽ですね」(ナカムラ)
藤倉による『木霊(こだま)』と名づけられた新作は、名手ふたりにとっても挑戦しがいのある作品とのこと。
「マリンバの低音から高音まで、柔らかい音から硬い音までを最大限に使った、大さんらしい作品です。私の柔らかい音とイサオさんの硬い音との対比からはじまって、わんわんわんと音が反射して聞こえる木霊のような響きの世界が広がり、最後はものすごいリズミカルになって。10分ちょっとの作品ですが、30分間ずっと弾き続ける大作よりも体力が必要かもしれません」(塚越)
ナカムラ自身が編曲し、マリンバ・デュオで演奏されるサンバメドレーも楽しみだ。
「僕は1981年に東京藝術大学を卒業してからドイツに行くまでの数年間、ブラジリアン・レストランでサンバを演奏していました。日本ではまだサンバが知られていない時代です。ドイツでは長年、音楽大学で教えていますが、クラシックを学ぶ学生たちの前で、サンバのように立って踊りながら演奏してみせたりもしますよ。今回は、僕がはじめて習ったサンバの有名曲をメドレーにして、歌いながらお聴かせできたらと考えています」(ナカムラ)
ヤマハホールの印象を尋ねると、ステージに立った経験のあるナカムラにとっては「家のような場所」、今回が初登場となる塚越にとっては「憧れの舞台」という答えが返ってきた。それぞれの音楽人生を反映した新作が、ふたりの手によってはじめて音楽になる瞬間を目撃したい。
日時:2024年3月16日(土)15:00開演(14:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:一般4,500円 学生3,000円(税込・全席指定)
出演:イサオ・ナカムラ(マリンバ)、ノリコ・ツカゴシ[塚越慎子](マリンバ)
曲目:細川俊夫/新作 ※日本初演、石島正博/プロセッション、河添達也/Duo Ⅱ(イサオ・ソロ)、挾間美帆/ソロマリンバのためのラプソディ(ノリコ・ソロ)、サウル・コセンティーノ/アル・ロッホ・ビボ カノープス エン・ラ・エンボスカーダ ※日本初演、宮川彬良/新作 ※日本初演、藤倉大/新作 ※日本初演、イサオ・ナカムラ編曲/サンバメドレー ※日本初演
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本公演の優待チケット(一般:定価4,500円/優待価格3,500円、学生:定価3,000円/優待価格2,000円)を10枚ご用意いたしました。ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。応募期間:2024年2月13日(火)9:00~3月3日(日)23:59
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