Web音遊人(みゅーじん)

WONK

高臨場感ライブビューイングがさらに進化、新システム「GPAP」がもたらすエンタメの可能性

ライブに行きたくても、さまざまな理由から叶わない。そんな課題を解決するためにヤマハが取り組んできた高臨場感ライブビューイングが、さらに一歩先へ大きな進化を遂げた。
2024年2月2日には、新たに開発したシステムを使った実証イベントを開催。人気バンドWONKのライブを、臨場感そのままにリアルタイムで遠隔会場に配信した。

音声だけでなく映像、照明のデータもwavデータに統一

実証イベントでは、ヤマハ銀座スタジオで開催しているライブ「Yamaha Presents WONK Live× Distance Viewing」の音声や映像、照明をリアルタイムでリモート会場に届ける。
この際に使われるのが、ヤマハの新システム「GPAP(General Purpose Audio Protocol)」。通常は音声や映像、照明などのデータをそれぞれのフォーマットで記録し、同期させるという方法が一般的だが、「GPAP」はオーディオ形式(wav)のデータに統一して記録、再生できる。音声だけでなく、すべてのデータをwavに書き込めるため簡単にシンクロ再生ができ、ズレもいっさいない。
このシステムに、株式会社コルグが開発した業界史上最高音質によるインターネット動画配信システム「Live Extreme」を組み合わせることで、「GPAP」で記録したデータをリアルタイムでストリーミング配信することが可能になった。

GPAP

リモート会場のステージに配されたのは、ヤマハが独自開発したパネル型スクリーン。柔軟にサイズを変更することが可能なので大小さまざまな会場に導入でき、設置・撤収も容易だという。

GPAP

折り畳み式のフレームに、パネル型のスクリーンを取り付ける方式を採用。フレームをつなげることで、会場のスペースや用途に合わせて最適なサイズに調整が可能。

そのスクリーンに、等身大のWONKが現れた。ステージ上には4台のスピーカー。ドラム、ベース、ボーカル、ピアノ/キーボード……楽器の音を別チャンネルで送ることにより、各スピーカーからメンバー4人それぞれの楽器の音や声が流れてくる。音のディテールが際立ち、音圧も十分。あたかもWONKが目の前で演奏しているかのようだ。リモート会場に設置された12台の照明はヤマハ銀座スタジオにある12台と連動し、ライブ会場さながらの空間演出が楽しめる。

GPAP

リモート会場に設置されたスクリーンに映し出されるヤマハ銀座スタジオでのWONKライブの様子。

さらに、ヤマハ銀座スタジオを埋め尽くした観客の声や拍手は、リモート 会場の両サイドと後方に設置されたスピーカーから聴こえ、ステージだけでなく空間全体の臨場感を生み出していた。
いったんリモート会場を離れ、ライブ会場であるヤマハ銀座スタジオに向かった。ふたつの会場で視聴し、生ならではの迫力と「GPAP」が生演奏に肉薄していることをあらためて実感することができた。

GPAP

ヤマハ銀座スタジオで開催されたWONKライブ。

幅広いエンタメシーンでの活用にも期待

WONKは、日本の音楽を再定義するエクスペリメンタル・ソウルバンド。ライブでは4つの若き才能がアンコールを含めた全17曲で聴き手の心をがっちりつかんだが、実はトークも面白い。この日のMCでは「WONKフランチャイズ計画」が提案された。
「このシステムを使ってメンバーが4か所に行き、全国、いや世界同時に同じライブを分業して開催する。原理的にいえば、それは可能ということですよね?」

WONKのアイディアは残念ながら観客によってダメ出しされたが、音響、映像、照明を丸ごと記録できるこのシステムを使えば、ライブだけでなく、テーマパークやイルミネーションショーなどマルチメディアを扱うさまざまなエンターテインメントにおいても別の時間や場所で丸ごと再現するといった活用も見込める。

異なるフォーマットをwavデータで保存するヤマハの世界初のシステム「GPAP」を活用した新たな高臨場感ライブビューイング。世界初が世界のスタンダードになったら、エンタメはさらに楽しいものになるに違いない。

 


ヤマハ 新技術記者発表会  記録・再生システム「GPAP」とパネル型スクリーンを発表

■高臨場感ライブビューイングシステム配信の実用化に向けた実証イベント

詳細はこちら

■ヤマハの新システム「GPAP(General Purpose Audio Protocol)」

ニュースリリースはこちら

facebook

twitter

特集

上野耕平さん

今月の音遊人

今月の音遊人: 上野耕平さん「アクセルを踏み続けることが“音で遊ぶ”へとつながる」

14989views

音楽ライターの眼

音楽の“布地”を織り出す、それぞれに個性的な“糸”/鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパン バッハ:チェンバロ協奏曲全曲録音プロジェクト Vol.2

7459views

楽器探訪 Anothertake

世界の一流奏者が愛用するトランペット「Xeno Artist Model」がモデルチェンジ

30711views

エレキベース

楽器のあれこれQ&A

エレキベースを始める前に知りたい5つの基本

9876views

脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

12033views

オトノ仕事人

あらゆるトラブルに対応できる、優れたリペア技術者を世に送り出す/管楽器のリペア技術者を育てる仕事

9524views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

14193views

こどもと楽しむMusicナビ

1DAYフェスであなたもオルガン博士に/サントリーホールでオルガンZANMAI!

4123views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

14527views

ギグリーマン

われら音遊人

われら音遊人:誰もが聴いたことがあるヒット曲でライブに来たすべての人を笑顔に

3373views

山口正介さん

パイドパイパー・ダイアリー

「自転車を漕ぐように」。これが長時間の演奏に耐える秘訣らしい

6890views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11752views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:若き天才ドラマー川口千里がエレキギターに挑戦!

13547views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

14527views

ショスタコーヴィチ「交響曲第12番」とイーグルスと浜田省吾、それぞれの“希望ヶ丘ニュータウン”

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase5)ショスタコーヴィチ「交響曲第12番」とイーグルスと浜田省吾、それぞれの“希望ヶ丘ニュータウン”

2871views

テレビや映画の映像を音楽の力で何倍にも輝かせ、人の心を揺さぶる/劇伴作家の仕事

オトノ仕事人

【サインCDプレゼント】テレビや映画の映像を音楽の力で何倍にも輝かせ、人の心を揺さぶる/劇伴作家の仕事

16919views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:人を楽しませたい!それが4人の共通の思い

7715views

トランスアコースティックギター「TAG3 C」

楽器探訪 Anothertake

デジタル技術が広げるアコースティックギターの可能性──トランスアコースティックギター「TAG3 C」

3851views

アクトシティ浜松 中ホール

ホール自慢を聞きましょう

生活の中に音楽がある町、浜松市民の音楽拠点となる音楽ホール/アクトシティ浜松 中ホール

17221views

パイドパイパー・ダイアリー Vol.8 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

初心者も経験者も関係ない、みんなで音を出しているだけで楽しいんです!

6535views

購入前に知っておきたい!電子ピアノを選ぶときのポイントとおすすめ

楽器のあれこれQ&A

購入前に知っておきたい!電子ピアノを選ぶときのポイントとおすすめ機種

28965views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

6465views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

34881views