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高臨場感ライブビューイングがさらに進化、新システム「GPAP」がもたらすエンタメの可能性
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2024.2.29
tagged: WONK, Distance Viewing, GPAP
ライブに行きたくても、さまざまな理由から叶わない。そんな課題を解決するためにヤマハが取り組んできた高臨場感ライブビューイングが、さらに一歩先へ大きな進化を遂げた。
2024年2月2日には、新たに開発したシステムを使った実証イベントを開催。人気バンドWONKのライブを、臨場感そのままにリアルタイムで遠隔会場に配信した。
実証イベントでは、ヤマハ銀座スタジオで開催しているライブ「Yamaha Presents WONK Live× Distance Viewing」の音声や映像、照明をリアルタイムでリモート会場に届ける。
この際に使われるのが、ヤマハの新システム「GPAP(General Purpose Audio Protocol)」。通常は音声や映像、照明などのデータをそれぞれのフォーマットで記録し、同期させるという方法が一般的だが、「GPAP」はオーディオ形式(wav)のデータに統一して記録、再生できる。音声だけでなく、すべてのデータをwavに書き込めるため簡単にシンクロ再生ができ、ズレもいっさいない。
このシステムに、株式会社コルグが開発した業界史上最高音質によるインターネット動画配信システム「Live Extreme」を組み合わせることで、「GPAP」で記録したデータをリアルタイムでストリーミング配信することが可能になった。
リモート会場のステージに配されたのは、ヤマハが独自開発したパネル型スクリーン。柔軟にサイズを変更することが可能なので大小さまざまな会場に導入でき、設置・撤収も容易だという。
そのスクリーンに、等身大のWONKが現れた。ステージ上には4台のスピーカー。ドラム、ベース、ボーカル、ピアノ/キーボード……楽器の音を別チャンネルで送ることにより、各スピーカーからメンバー4人それぞれの楽器の音や声が流れてくる。音のディテールが際立ち、音圧も十分。あたかもWONKが目の前で演奏しているかのようだ。リモート会場に設置された12台の照明はヤマハ銀座スタジオにある12台と連動し、ライブ会場さながらの空間演出が楽しめる。
さらに、ヤマハ銀座スタジオを埋め尽くした観客の声や拍手は、リモート 会場の両サイドと後方に設置されたスピーカーから聴こえ、ステージだけでなく空間全体の臨場感を生み出していた。
いったんリモート会場を離れ、ライブ会場であるヤマハ銀座スタジオに向かった。ふたつの会場で視聴し、生ならではの迫力と「GPAP」が生演奏に肉薄していることをあらためて実感することができた。
WONKは、日本の音楽を再定義するエクスペリメンタル・ソウルバンド。ライブでは4つの若き才能がアンコールを含めた全17曲で聴き手の心をがっちりつかんだが、実はトークも面白い。この日のMCでは「WONKフランチャイズ計画」が提案された。
「このシステムを使ってメンバーが4か所に行き、全国、いや世界同時に同じライブを分業して開催する。原理的にいえば、それは可能ということですよね?」
WONKのアイディアは残念ながら観客によってダメ出しされたが、音響、映像、照明を丸ごと記録できるこのシステムを使えば、ライブだけでなく、テーマパークやイルミネーションショーなどマルチメディアを扱うさまざまなエンターテインメントにおいても別の時間や場所で丸ごと再現するといった活用も見込める。
異なるフォーマットをwavデータで保存するヤマハの世界初のシステム「GPAP」を活用した新たな高臨場感ライブビューイング。世界初が世界のスタンダードになったら、エンタメはさらに楽しいものになるに違いない。
文/ 福田素子
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