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テーマは人生のさりげない応援歌/ピアニスト・小原孝インタビュー
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2016.4.27
tagged: ピアノ, ピアニスト, 小原孝, 弾き語りフォーユー, 弾き語りフォーユーPresents~ランチでピアノ3
ジャンルを超えた独自のスタイルで、語りかけるようなピアノの音色を紡ぐ小原孝。パーソナリティを務めるNHK-FM『弾き語りフォーユー』は、18年目の長寿音楽番組となり、今や小原のライフワークとなった。番組はリスナーからのリクエストに小原が即興演奏で応えるもので、クラシックから歌謡曲、J-POP、洋楽や童謡までそのジャンルは幅広い。
「これだけ長くやっているとリクエスト曲は重複しますが、僕はリクエストハガキを読んでそのときの気持ちで弾くので、同じ作品でも弾くたびに演奏が変わります。そして、番組を始めたときには僕は30代。それから40代、50代と自分自身の感じ方も変わってきました。そういう意味では、音楽の深さや広がりを番組を続けていくなかで感じたり、学んだりしてきましたね」
長年、変わらないスタイルで愛されてきた番組は、変わらないようで実は少しずつ変わっている「老舗の味」のように変化し、進化してきた。
2016年4月20日(水)にリリースされた『弾き語りフォーユーPresents~ランチでピアノ3』は、そんな番組から生まれたシリーズの最新作。そこはかとない幸福感を運んでくれる番組同様のオープニング、エンディングトークも入り、全曲新録音で制作されている。
「毎回新しい試みはあるのですが、今回のテーマは人生のさりげない応援歌。番組への人気リクエストを中心とした構成で、勇気、元気が出る、心温まるメッセージソングを集めました」
収録曲には、「僕としてはちょっと珍しい選曲」と小原が語る初音ミクの『千本桜』をはじめとするポピュラー曲や、長年親交のある押尾コータローのギター曲『ナユタ』などが並ぶ。リスナーの方はよくご存知だろうが、それらは単なるカバーではない。巧みなアレンジと演奏によってピアノを美しく歌わせ、別次元の音楽へと昇華させる、唯一無二の小原ワールドなのだ。
このアルバムシリーズでは、毎回ボーナストラックでゲストを迎えているが、今回は尺八界の貴公子、藤原道山が参加。抒情詩の名曲『浜辺の歌』でピアノと尺八のクロスオーバーを実現した。
「いつか一緒にやりたいね、と言いつつチャンスがなくて、今回が初共演。僕は打ち合わせをしないタイプなんです。今回も彼には曲目だけお伝えしていたのですが、あとはノープラン。当日お会いして、お互いの音を聴きながら、ほとんど即興に近い形でのアレンジになりました」
また、2016年に生誕150年を迎えたエリック・サティの特集も録音・収録。小原が初めて弾いたサティの曲でもある『ジムノペディ第1番』など4曲が収められている。「サティの曲は少なめの音で淡々と書かれているんだけれども、その中に思いがこもっているというか。それは、最近の僕の作風にも共通するんです」
小原は1990年のCDデビュー以来、ソロアルバムだけでも40作以上をリリースする多作のピアニストであり、このシリーズにおいてもCDへのこだわりは強い。「東日本大震災後はとくに、音楽やラジオでできることの意味や、演奏活動と番組を両立し続けていくことの大事さを感じました。そして、それをいつでも聴くことができるCDという形に残し、積み重ねていくことは大切だと思っているんです」
小原が音楽とそれを通じたメッセージを届け続けてきた『弾き語りフォーユー』の“ユー”は、私たちすべて。今回のアルバムは、いつでも聴き手の人生に優しく寄り添ってくれるだろう。
『弾き語りフォーユーPresents~ランチでピアノ3』
発売元:キングレコード
発売日:2016年4月20日
価格:3,000円(税込)
文/ 福田素子
photo/ 後藤泰宏
tagged: ピアノ, ピアニスト, 小原孝, 弾き語りフォーユー, 弾き語りフォーユーPresents~ランチでピアノ3
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