今月の音遊人
今月の音遊人:富貴晴美さん「“音で遊ぶ人”たちに囲まれたおかげで型にはまることのない音作りができているのです」
5060views
若手実力派ピアニストの三浦友理枝さん。ソロのほかデュオやトリオでも活躍する彼女にとって、バイオリンは共演する機会のいちばん多い楽器。「バイオリニストの気持ちを知りたい!」ということで、レッスンに初挑戦してみることにしました!
私は、共演者がバイオリンを弾く姿はいつも近くで見ているけれど、「ネックに音程を示す目印がない中、どうやって音を探り当てているの?」など、不思議なことがたくさんあったんです。ぜひ一度体験してみたくて、今回「ヤマハミュージックアベニュー横浜」のバイオリン体験レッスンに参加しました。
講師は竹内絵美先生。レッスンはバイオリン本体の構え方から始まりました。まず、左手で楽器を持って肩にのせ、顎で挟む。あっ、意外に厚みがあるんですね! 何度か上げ下げしているうちに、楽器・肩・顔をちょうどよい角度に保つコツがつかめるようになりました。続いて、弓を持つ練習です。これがなかなかの鬼門でした。先生の助けを借りて右手の指のポジションを決めたものの、弓の重みもあってすぐに崩れてしまう。正しい形を意識すればするほど力も入ってしまいます。
いよいよ実際に音を出してみよう! ということで、楽器と弓をいっぺんに構えることに。つまり片方で音程をとり、もう片方で音を出すということですね。左右の手が別の役割をするなんて、ピアニストには信じられません。最初は、左手の指で何も押さえない開放弦の「ラ」の音から。ギコギコとしか鳴らないかと思ったら、意外にちゃんとバイオリンの音が鳴りました。楽器の振動が肩を通してビリビリ伝わってきます。
先生いわく「弓は弦に対して直角になるようにまっすぐ引く」とのことですが……弓がふらふらして弦に吸いついてくれません。先生に言うと、「右手の人差し指を使って弓に重みをかけてみて」とのこと。なるほど、安定しました。けれど今度は腕が固まってしまい、弓先や弓元まで引ききることができない。「先生、腕がうまく使えません!」と言うと
「右手に力が入るとひじが伸びづらくなり、弓も十分に使えなくなります。弓はふんわり持ちましょうね」。重みをかけながらも、ふんわり。匙加減が大事なのですね。バイオリンの真髄は右手にある気がします。
開放弦の次は、左手人差し指で弦(D線)を押さえ「ミ」の音をとってみることに。うっ、音程が違う。指をずらしていくと、あっ、あった! こうして耳と体で正しい音を覚えていくのですね。
レッスンの途中では、何度かアンサンブルを挟みました。伴奏に合わせて簡単な音を弾くだけなのですが、いい気分。伴奏の和音があることで自分の音程のズレにも気づくし、初心者ながらもすっかり上達した気分に(笑)。最後はなんと、伴奏に合わせて、開放弦と「ミ」の音だけでベートーヴェンの交響曲第9 番『歓喜の歌』のアンサンブルに参加することができました。
「 ああ! もっと練習したい!」それがレッスン終了後、開口一番に出た言葉。バイオリンのいい音は普段から聴いているので、理想のイメージだけはバッチリ持っているんです。もちろん今回はそこまで辿り着かなかったけれど、バイオリニストの気持ちに少しは近づけたかな。
この経験は今後の共演にも活かせるような気がします。
エルガー『愛の挨拶』、チャイコフスキー『トロイカ』、シベリウス『樅の木』など、三浦自身が幼い頃に聴き、親しんだ小品25曲を収録。
3歳よりヤマハ音楽教室に入会。英国王立音楽院に入学。同音楽院大学課程を首席で卒業、修士課程も首席で修了した。2001年「第47回マリア・カナルス・バルセロナ国際音楽演奏コンクール」ピアノ部門第1位、最年少ファイナリスト賞などを受賞。06年には「第15回リーズ国際ピアノコンクール」で特別賞を受賞。これまでに国内外の主要オーケストラと多数共演。ソロのほかに川久保賜紀(バイオリン)、遠藤真理(チェロ)とのピアノ・トリオを結成し、精力的に活動中。
ヤマハミュージックアベニュー横浜
神奈川県横浜市西区南幸2-5-9
最寄り駅: 横浜駅西口から徒歩5分
TEL:045-311-1200
営業時間 : 平日10:00~21:00/土曜10:00~20:30/日曜10:00~20:00(祝日休)
TEL:0120-329-808( 10:00~18:00/土・日・祝日休)
http://jp.yamaha.com/otona/