今月の音遊人
今月の音遊人:向谷実さん「音で遊ぶ人!?それ、まさしく僕でしょ!」
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スタンダードジャズから吹奏楽ナンバーまで、20人の凄腕たちが魅せた熱いステージ/Z EXPRESS BIG BAND
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2017.5.22
tagged: ヤマハ銀座スタジオ, 雲井雅人, Z EXPRESS BIG BAND, チューバマンショー
昨年秋に行われたイベント、「2016楽器フェア」を機に結成されたビッグバンド、Z EXPRESS BIG BAND の旗揚げ公演が4月22日、ヤマハ銀座スタジオで行われた。バンドの船出にふさわしく、豪華ゲストとの共演もあり、スタンダードジャズから吹奏楽ナンバーまで多彩なプログラムで観客を沸かせた。興奮の120分の様子をお届けする。
最初のナンバーは「Take The “A” Train」。しかし“おなじみのそれ”ではなく、ファンクアレンジでの演奏だ。バリトンサックスとバストロンボーンのベースラインが曲をリードし、菅野浩(サックス)、和田充弘(トロンボーン)、赤塚謙一(トランペット)のソロがはさまる。ラスト15秒のたたみかけでは、音の密度が濃くなると同時にテンションの高まっていく様子に圧倒された。
次はリズムが特徴的な「Tell Me A Bedtime Story」と「Fascinating Rhythm」。アンニュイなメロディのループ間に現れる変拍子に心地良く浸っていると、今度は転がるようなメロディをキレよく奏でていく。こうした楽曲の扱いの中に、早くもバンドの真骨頂を見たような気がした。
続いては、ソロやパートにフォーカスしたナンバー。これまで司会として会場を盛り上げてきた三塚知貴(トロンボーン)がソロを受け持ち、完璧な脱力のテクニックをもって、ロマンチックなスローナンバー「When I Fall In love」を歌いあげた。そして、「Take The “A” Train」でベースラインを担当した宮木謙介(バリトンサックス)、朝里勝久(バストロンボーン)がメインメロディを担当するバスパートのための楽曲「Bottom End Shuffle」へと続く。楽器をあえて強く鳴らす奏法で、低音ならではの太い音を会場いっぱいに響かせた。
第1部後半は、クラシックのサキソフォニスト雲井雅人をゲストとして迎えた。まさか自分がジャズのステージに立つとは思ってもみなかったと話すクラシック界の巨匠との、貴重なコラボレーションが実現したのだ。雲井はソプラノサックスとアルトサックスを持ち替えながら、「Someone To Watch Over Me」「Over The Rainbow」「Summertime」「Somewhere」の全4曲を披露。開始早々気づいたのは、バンドの柔軟性だ。さすが雲井の音色は美しく、そのバックで奏でるバンドの音色は、それまでとははっきりと違うものになった。一気に柔らかみを帯び、雲井のメロディに合わせて濃淡を付けたり、ドラマチックな演出を加えたりと、アシストというより共奏の空間を創り出していたのが印象的だった。
第2部は2組目のゲスト、覆面をまとった2人組、TubamanShowのステージで幕を開けた。ユーフォニアムとチューバという異色のコンビだ。客席後方からチューバを吹きながら登場するというユニークな演出や、“チューバ星”からやってきたというふたりの謎めいたMCが会場の笑いを誘う。バンドと演奏したのは、吹奏楽の定番曲「宝島」と「The Carpenters Forever」。低音ゆえにくもりがちな音もはっきりと聴こえ、バンドとのコンビネーションの良さも見せた。
ライブは佳境を迎え、スタンダードジャズナンバーの「There is No Greater Love」「Emily」「It Don’t Mean A Thing」が続く。各曲に登場するソロパートで、メンバーは抜群の集中力を発揮。まず「There is No Greater Love」では、ピアノの佐久間優子のソロと共に、オールサックス、オールトロンボーンのパートがそれぞれ見せ場を作り、続く「Emily」では、トランペットのマイク・ザッチャーナックがセンチメンタルなメロディを静かに聴かせた。アップテンポな「It Don’t Mean A Thing」では、赤塚謙一、古屋ひろこ(トランペット)、石橋采佳(トロンボーン)のパワフルなソロに場内からかけ声が飛ぶ。
会場の温度が最高潮に達したところで、最後は雲井とTubamanShowも加わり、全員で「Spain」を演奏。雲井のサックスとTubamanShowのユーフォニアムとで交互に旋律を演奏し、そこにバンドのソロが入ってフィナーレを迎えた。
『Z EXPRESS BIG BAND』
日時:2017年7月24日(月)1st.19:30開演/2st.21:15開演
場所:BLUES ALLEY JAPAN(東京・目黒)
料金:一般4,000円/学生3,000円(いずれも前売り・税込)
出演:菅野浩、福井健太、Raymond McMorrin、河村緑、宮木謙介(Sax)/石井真、赤塚謙一、古屋ひろこ、Mike Zachernuk(Tp)/和田充弘、フジイヒロキ、石橋采佳、朝里勝久(Tb)/勘座光(Ds)/佐久間優子(Pf)/岸徹至(B)/三塚知貴(MC/Tb)
スペシャルゲスト:エリック・ミヤシロ(Tp)
文/ 北山奏子
photo/ 森島興一
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