今月の音遊人
今月の音遊人:石若駿さん「音楽っていうのは、人の考えとか行動の表れみたいなものだと思う」
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「みどりの森保育園ママさんブラス」は、保育園が主体となった吹奏楽団。この日の練習会場である地域公民館では、小さな子どもをおんぶしながら演奏するメンバーや、子どもたちが遊ぶ姿も。一般的なバンドとは、まったく違った光景が広がる。
子連れで参加できるママさんブラスは、仙台で誕生したのが始まりで、その後全国に同様の団体が数多く生まれた。「みどりの森保育園ママさんブラス」もそのひとつだが、保育園が主体となっているケースは、全国でも珍しい。
代表を務めるのは、東京・町田市にある「みどりの森保育園」園長の鈴木雅人さん。高校生のとき吹奏楽と出合い、サクソフォンを担当。さらに、クラリネット、フルートなど多彩な楽器を繰る。53年の歴史をもつアマチュアビッグバンドのリード・アルトサクソフォン奏者としても活動中だ。
結成は2010年。子育てで音楽から遠ざかってしまっている女性の音楽活動を支援する目的で設立された。
「一般的な団体と違うのは、月会費や活動費などの費用が必要ないこと。また、練習会場や演奏会、楽器、楽譜などの手配、スケジュール管理から指導、選曲まですべて私がやっているので、メンバーにはいっさい負担がありません」
練習も演奏会も、都合のいい人が参加するという緩やかなスタイル。もちろん子連れで参加することができ、子どもたちが遊ぶためのおもちゃなどもすべて鈴木さんが用意。楽器を所有していないメンバーには貸し出しも行っている。
運営資金はすべて保育園で負担しているが、助成金などの支援を受ける努力も怠らない。「もちろん、申請しても審査が通らないことも多いのですが、しつこくやっています(笑)」
2013年度には「ヤマハ地域音楽活動団体」にも認定されている。もうひとつほかのママさんブラスと異なる点が、地域のシニア男性がボランティアとしてサポートしていること。これが貴重な世代間交流の機会にもなっているという。
設立当初は数人から始まった楽団だが、今や登録人数は57人。保育園のみならず、ほかの幼稚園や小学校のママさん、前述の男性陣までメンバーは幅広い。
練習は平日に月3回、土曜日に月1回。レパートリーは、アニメや童謡、乳幼児向けの曲のほか、懐メロやジャズなど50曲以上に及ぶ。また、町田市を中心に保育園、幼稚園、高齢者施設、地域イベントなどで月1~2回程度、無料の演奏会も実施している。本番でも子どもをおんぶして演奏する出演者の姿に、心を和ませる人も多いそうだ。
結成当初からのメンバーのひとりである三富俊美さんはこう話す。
「この場所が楽しいんです。ここで出会ったメンバーと仲良くなっておしゃべりしたり、子育ての悩みを相談しあったりしています」
演奏の場であると同時に、子育てサークルにもなっているのだ。
保育園のノウハウを活かすことでメンバーが恩恵を受け、演奏で地域に還元する。地域の誰もが音楽を楽しめる理想の形といえそうだ。
●バンド名:みどりの森保育園ママさんブラス
●結成日:2010年11月
●モットー:ママさんだけじゃない、世代も性別も超えて
●練習頻度:平日×月3回、土曜日×月1回(参加できるときに参加すればOK)
●平均年齢:38歳
●メンバー:代表・鈴木雅人さん、登録人数57人(うち男性が3〜4分の1)
●活動内容:月1~2回程度、町田市を中心に保育園、幼稚園、高齢者施設、地域イベントなどで無料の演奏会を行う。
●メンバー募集中&出演依頼受付中:042-708-8161(みどりの森保育園 園長:鈴木)
文/ 福田素子
photo/ 阿部雄介
tagged: アマチュアミュージシャン, われら音遊人, みどりの森保育園ママさんブラス
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