今月の音遊人
今月の音遊人:ケイコ・リーさん「意識的に止めなければ、自然に耳に入ってくるすべての音楽が楽譜として浮かんでくるんです」
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今月の音遊人:ROLLYさん「曲の素晴らしさや洋楽との出会いなど、大切なことはすべてフィンガー5から学びました」
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2019.10.1
音楽という広大なフィールドを舞台に多種多様なスタイルを吸収し、実に個性的な味付けでオリジナルの曲を次々に創造してきたROLLYさん。カテゴリーに囚われることのないバラエティ豊かな音楽を発信し、俳優としても活躍するその姿は、まさにエンターテイナーという肩書きそのものです。コンサートやミュージカル、映画出演など話題が絶えない中、音楽観などをうかがいました。
レッド・ツェッペリン、クイーンなど聴き続けてきた曲はたくさんありますが、小学校3年からファンクラブに入っていたフィンガー5の曲は絶対にはずせません。アレンジがグラムロックみたいな「個人授業」や皆さんがご存知の「恋のダイヤル6700」も捨てがたいですけれど、アメリカン・フットボールの試合と、一人の女の子をめぐるライバルとの戦いを歌った「恋のアメリカン・フットボール」は、もう最高の曲ですね。
今度の試合に勝ったらあの娘が口づけしてくれるから、あとにはひけないっていう歌詞もいいですが、その娘はライバルにも同じ約束をしていて「え~っ」っていうね。都倉俊一さんの曲も素晴らしいし、キメのところにセブンスのコードがきてカッコイイし、ストリングスが味付けになっているアレンジもいいんです。
フィンガー5はアルバムの中で洋楽のカバーもたくさんしていて、実は僕にとって洋楽と出会うきっかけにもなりました。ジャクソン5、パートリッジ・ファミリー、モンキーズ、カーペンターズなど、フィンガー5を通じて知ったアーティストがたくさんいます。そういうことも含め、フィンガー5からすべてを学んだような気がしているのです。
音楽は僕にとって人生のすべてだと断言しましょう。音楽というのは、人の心理もコントロールしてしまうという魔力をもっていると思うのです。まだ2~3歳の頃、それに気がついたときから今に至るまで追求し続けています。なぜそれに気がついてしまったのか。
僕には早くに亡くなってしまった8歳上の兄がいまして、母親が夜の9時頃になると兄を思って子守歌を歌い、続けてお経を読み始めるのです。それを見ながら、まだ自分が何者なのかもわかっていない当時の僕は、何て悲しいんだろうと思ってしまったのですが、そんなときにテレビから梓みちよさんが歌う「こんにちは赤ちゃん」が流れてきて、わけがわからないまま楽しくなってしまったのです。後になってからですが、音楽はそんな風に人の心を操るものだということに気がつき、なぜなのかについてずっと考えてきました。それを仕事にさせてもらえているのですから、音楽は人生そのものだといえるでしょう。
たとえばオートバイに乗っているとき、頭の中でモトリー・クルーが鳴っているか、いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」が鳴っているかで見える風景は違いますよね。音楽は気持ちを操る魔力をもっている奥深いものなのです。
同じミュージシャンにも「音遊人だなあ」と思える方がいらっしゃいますけれど、演奏や曲の中に人生や、その方の好きな音楽が自然ににじみ出ると思うのです。津軽三味線の名人といわれた髙橋竹山さん(初代)が「津軽三味線を極めるにあたっては、津軽三味線ばかり聴いていてもだめなんだ。ギターでもなんでもいろいろな音楽を聴いて、そこで感じ取ったもののエッセンスを込めるんだ」とおっしゃっていたと聞いたのですが、その通りですよね。
僕もロックミュージシャンと言われていますが、ロックを極めるならジャズもクラシックも歌謡曲も、いろいろな音楽を聴いて影響を受けたいですし、そうしてこそ作り手のアーティスト性が反映されていくと思うのです。デビュー当時から「もっとも時代遅れのものは、もっとも進んでいる」というスローガンを大切にしていますが、それも僕にとっては真理です。
でも、自分が「音遊人」だとは言わないかな。むしろ他の人に「あの人は音遊人だよね」と言ってほしいです。物心ついたときから音楽が身近にありましたし、30年以上も音楽で食べてきましたから、そういう自分が「音遊人だね」と言ってもらえるのは勲章みたいなものかもしれません。
ROLLY〔ろーりー〕
ミュージシャン、俳優。1990年にロック・バンド「すかんち」のメンバーとしてメジャー・デビュー。1996年に解散後、ソロ・アーティストとしての活動をスタート。コンサート等の音楽活動はもちろん、『ロッキー・ホラー・ショー』をはじめとするミュージカル出演、テレビ・ドラマやバラエティ番組、『記憶にございません』他の映画出演で幅広いファンを獲得している。
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