今月の音遊人
今月の音遊人:渡辺美里さん「歌を聴きたいといってくださるファンとの時間は最高の財産です」
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【プレゼント】質感と体温のある音楽を生み出す 音楽プロデューサーの信念を読み取る書/音楽と契約した男 瀬尾一三
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2020.2.27
中島みゆき、吉田拓郎、長渕剛、德永英明など100組以上のアーティストを手がけてきた音楽プロデューサー・編曲家・作曲家、瀬尾一三。その、半世紀にわたる仕事の詳細を語った『音楽と契約した男 瀬尾一三』が発表された。
アーティストの作品をリスナーに届けられる形に仕上げていく音楽プロデューサー。さまざまある仕事のひとつがイントロ作りだ。『「いちご白書」をもう一度』『壊れかけのRadio』『糸』など、瀬尾の生み出した印象的なイントロは、時代を越え、作品とともに多くの人の耳に残っている。たとえば『糸』のイントロはどのように生まれたのだろう。
「この曲を聴いたとき、天女が天から糸を垂らしているというイメージが浮かびました。それで天上を思わせる笙の音から入ったのですが、それだけでは和にいきすぎるので、次のアルペジオではハープを使いました」
イントロから歌へ、聴き手はどんどん引き込まれていく。こうした音作りの際、瀬尾は歌の世界をまず映像化するのだという。イメージの源泉のひとつが、幼い頃、祖父をとおして長唄や浄瑠璃、浪曲、旅芸人の芝居や大衆映画などに日常的に触れていた経験。「それが役立っていることに気づいたのは、この仕事を始めてしばらくしてからでした」と振り返る。
そんな瀬尾が一貫してこだわるのが、演奏者たちがスタジオに入って全員で演奏する音を録る同時録音。技術の変遷とともに録音手法も大きく変化するなか、瀬尾のスタンスは変わらない。
「僕はずっと一発録り。生の演奏には、ミュージシャンの個性、それぞれが描く作品への思い、たがいに聴き合って演奏するから生まれる熱がある。僕がそれを求めているので、ミュージシャンもエンジニアも、僕の周りはみんな一発録りができる人たちです」
「何百年も経たロンドンやパリの街並みのような質感が、音楽にほしい」と語る瀬尾。アナログにしかない質感や体温を求め続ける姿勢に、プロデュースの真髄を見る思いだ。
終章には、松任谷正隆、山下達郎、亀田誠治、萩田光雄との貴重な対談も掲載。3作のCD『時代を創った名曲たち~瀬尾一三作品集』とともに、瀬尾ワークスが俯瞰できる本書。音楽制作に携わる人はもちろん、ジャンルを問わず、音楽ファンなら誰もが引き込まれる必読書だ。
瀬尾一三(せお・いちぞう)
兵庫県出身。音楽プロデューサー、編曲家、作曲家。1969年フォークグループ「愚」として活動。1973年ソロシンガーとしてアルバム『貘』をリリース。同年、吉田拓郎と『LIVE’73』を共同プロデユース。その後、中島みゆき、長渕剛、德永英明ほか100を超えるアーティストの作品を手がけ、中島みゆきにおいては『夜会』『夜会工場』すべてをプロデュースしている。
『音楽と契約した男 瀬尾一三』
著者:瀬尾一三
発売日:2020年2月10日
発売元:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
価格:2,500円(税抜)
詳細はこちら
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発売日:2020年1月8日
発売元:ヤマハミュージックコミュニケーションズ
価格:2,778円(税抜)
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