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今月の音遊人:Chageさん「頭ではなく、心から湧き出てくるものを、シンプルに水のように歌いたい」
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泣く泣くあきらめた曲もたくさんある。“いまだからこそ歌いたい”楽曲を自分らしくアップデート/今井美樹インタビュー
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2020.12.23
tagged: インタビュー, 今井美樹, Classic Ivory 35th Anniversary ORCHESTRAL BEST
2020年にデビュー35周年を迎えた今井美樹。記念すべき年に、初のオーケストラアレンジによるセルフカバーアルバム『Classic Ivory 35th Anniversary ORCHESTRAL BEST』を発表した。楽曲のアレンジ及び指揮を担当したのは千住明、服部隆之、武部聡志に挾間美帆と、日本を代表する音楽家たちである。
「ただ“代表曲を歌い直しました”ということにはしたくなかった」と語る今井のこだわりと楽曲に対する愛情がつまった今回のアルバム、選曲には多くの時間がかかったのではないだろうか。
「選曲は大変でした。泣く泣くあきらめた曲もたくさんあります。“いまだからこそ歌いたい歌詞”ということを大切にして選びましたが、それと同時に、オーケストレーションしたときに楽曲の良さが引き出せるもの、もしくはどんなものが生まれるかという期待が膨らむものを選びました」
今井の歌を聴いていると、様々な情景が浮かんでくるのと同時に、歌詞のメッセージが心の奥深くに伝わっていて、自分自身がいまこうしていることを肯定してくれるような感覚がある。それが今回の選曲とアレンジ、さらにいまの今井の歌唱によって一層あたたかなものとして届いてくる。
「楽曲が装いも新たにしたことで、それにふさわしい人になりたいと思いながら歌いました。これだけ素晴らしくアップデートされたのだから、当然自分もそれにふさわしい歌を歌いたかったのです。新しく生まれ変わった大切な曲たちが、これから先もずっと皆さんに聴き続けていただけたらと願っています」
今作の編曲者のうち千住、服部、そして武部は、これまでにも今井と活動を共にしたことがある信頼の厚いメンバーだが、新しく挾間が加わったのには、こんな経緯があった。
「オーケストラアレンジのアルバムではあるのですが、クラシック的なものだけではなく、私の音楽のルーツである大好きなジャズや映画のサウンドトラック、ミュージカルなどといった要素も入れたかった。そこでお名前が挙がってきたのが挾間さんでした。彼女の作品を聴き、きっと私に新しい刺激をくださるという“勘”が働いたのです。特に挾間さんにお願いした『幸せになりたい』は、原曲がリズミカルでジャズの要素が強く、オーケストレーションのアルバムに入れるには“飛び道具”的なものでした。でもこれをオーケストレーションしたらどうなるのか、どうしても聴いてみたくて」
さらにこの曲をどうしても入れたかったのにはこんな理由もある。
「30年前の曲で、ライブでもずっと歌ってきた大切な曲なので、一緒に頑張ってきた人たちみんなとのテーマ曲のようです。いつも一緒にいるわけではないけれど、共に年を重ねて、たまに電話などでお互いの近況を報告しあうような、よい距離感を保つ友人のような感覚がある曲なのです。だから、私たちの世代のいまの生活スタイルにあう、新しい『幸せになりたい』を届けたかった。それをきっと挾間さんは素晴らしい形にしてくれると思ってお願いをしたのですが、予想以上のものを作ってくださり感激しました。本当にすてきな出会いに感謝しています」
今回のアルバムでは、今井美樹がこれまで歌い続け、いまもなお多くの人々に愛され続けている楽曲を新たな姿に生まれ変わらせたわけだが、アップデートによって、改めて自分自身にも向き合うことになったという。
「アップデートするということは、ある時期までは、いままでの自分を捨てて新しい自分になる程の大きな変化をしなくてはならないと思っていたこともありました。でもやはり自分は自分ですし、私らしさがあるからこそ変化にも気が付けるのですよね。だからこそ今回、このような大きなチャレンジをしたことで、“あなたはこういう人なんですよ”と言われたような気がしているのです。35周年と言うタイミングで、改めて自分自身に向き合えたことで、“自分らしく、楽しんでチャレンジしてみたら?”と背中を押してもらえたような気がしています」
常に人々の心に寄り添い、あたたかいメッセージを届けてくれる今井美樹。今回生まれ変わった楽曲たちは、これまで愛し続けてくれた人たちはもちろんのこと、さらに多くの人々の心を捉えて離さないはずだ。
『Classic Ivory 35th Anniversary ORCHESTRAL BEST』
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売日:2020年11月11日
価格:3,300円(税込)
詳細はこちら
オフィシャルサイトはこちら
文/ 長井進之介
photo/ 宮地たか子
tagged: インタビュー, 今井美樹, Classic Ivory 35th Anniversary ORCHESTRAL BEST
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