今月の音遊人
今月の音遊人:塩谷哲さん 「僕の作る音楽が“ポップ”なのは、二人の天才音楽家の影響かもしれませんね」
4648views
ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート2018は、14年ぶりにムーティが指揮台に立つ
7530views
2017.12.29
tagged: ウィーン・フィル, ニューイヤー・コンサート, ムーティ, ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート
毎年恒例のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤー・コンサート。1939年12月31日にクレメンス・クラウスの指揮によって始まったこのコンサートは、やがて1月1日の正午に開催されるようになった。
その後、1955年からヴィリー・ボスコフスキーが指揮を担当し、1959年からは世界各国に中継されるようになった。現在はテレビとラジオを通じて世界90カ国以上に放送され、4憶人が視聴するという大規模なイヴェントとなっている。
当初はクラウス後、ヨーゼフ・クリップス、ヴィリー・ボスコフスキー、ロリン・マゼールが複数年に渡って指揮を担当していたが、1987年にヘルベルト・フォン・カラヤンが初めて指揮台に立ち、これ以降は同じ指揮者が2年続けて指揮をすることはなくなった。
これまでカルロス・クライバー、小澤征爾、ズービン・メータ、ダニエル・バレンボイム、マリス・ヤンソンス、ニコラウス・アーノンクールら人気指揮者がタクトを振っている。
ニューイヤー・コンサートの会場となるのは、ウィーン・フィルの本拠地である楽友協会大ホール。座席数1744のホールは、世界一美しい音響をもつ「黄金のホール」として知られ、歴史の重みを感じさせる堅牢な外観と、真紅と金色の華やかな内装が特徴である。
ここで聴くウィーン・フィルの音楽は、まろやかで情感豊かで流麗。ステージから放物線を描くように音がゆったりと響いてくる。
このウィーン・フィルは、ハプスブルク家の宮廷楽団として活動していた楽員たちにより、1842年に最初のコンサートが行われた。以来、今日まで革命や戦争などを経ながら間断なく演奏が続けられている、長い伝統と歴史を誇るオーケストラである。
当時から楽員たちの希望により、自主運営と民主制が重視され、音楽家を支えるさまざまな人たちとともに、ひとつの大きなファミリーとして活動を続けている。
そんなウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートは、毎年録音がすぐにリリースされ、世界中のファンの元に届けられる。2018年の指揮を担当するのは、1993年、1997年、2000年、2004年に次いで14年ぶりに登場するリッカルド・ムーティ。ウィーン・フィルとの絆が深く、これまでウィーン・フィルを500回以上指揮し、お互いの信頼は厚い。
2018年1月1日の午前11時(現地時間)から始まるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート。今回は初登場の作品も8曲含まれ、新たな歴史を刻む。華麗で上質なニューイヤー・コンサートをぜひご自宅で。
伊熊 よし子〔いくま・よしこ〕
音楽ジャーナリスト、音楽評論家。東京音楽大学卒業。レコード会社、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経て、フリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌だけでなく、新聞、一般誌、情報誌、WEBなどにも記事を執筆。著書に「クラシック貴人変人」(エー・ジー出版)、「ヴェンゲーロフの奇跡 百年にひとりのヴァイオリニスト」(共同通信社)、「ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語」(ヤマハミュージックメディア)、「魂のチェリスト ミッシャ・マイスキー《わが真実》」(小学館)、「イラストオペラブック トゥーランドット」(ショパン)、「北欧の音の詩人 グリーグを愛す」(ショパン)など。2010年のショパン生誕200年を記念し、2月に「図説 ショパン」(河出書房新社)を出版。近著「伊熊よし子のおいしい音楽案内 パリに魅せられ、グラナダに酔う」(PHP新書 電子書籍有り)、「リトル・ピアニスト 牛田智大」(扶桑社)、「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」(芸術新聞社)、「たどりつく力 フジコ・ヘミング」(幻冬舎)。共著多数。
伊熊よし子の ークラシックはおいしいー
NHK Eテレ 2018年1月1日(月・祝)19:00~
NHK-FM 2018年1月1日(月・祝)19:15~
『ニューイヤー・コンサート2018』
リッカルド・ムーティ(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
発売元:SONY CLASSICAL
2CD:2018年1月24日発売予定 2,900円(税込)
DVD:2018年2月21日発売予定 4,700円(税込)
Blu-ray:2018年2月21日発売予定 5,700円(税込)