今月の音遊人
今月の音遊人:富貴晴美さん「“音で遊ぶ人”たちに囲まれたおかげで型にはまることのない音作りができているのです」
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今月の音遊人:家入レオさん「言葉に入りきらない気持ちを相手に伝えてくれるのが音楽です」
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2021.3.1
2021年、鮮烈なデビューから10年目を迎える家入レオさん。これまで数々のドラマの主題歌を担当し大ヒットさせてきましたが、先にリリースされた新作『空と青』は日本テレビ系水曜ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』主題歌としてさっそく話題に。唯一無二の声で歌い上げ、独自の世界観を紡ぐ彼女にとって歌や音楽とは?
たくさんありすぎて思い浮かばないのですが……、最初に買ってほしいと頼んだCDは宇多田ヒカルさんの『First Love』でした。小学校に上がる前で歌詞の意味をしっかり理解していたかは分からないですが、メロディーが頭から離れず、ずっと歌っていた記憶があります。
幼いころは、母のカーステレオから流れていた松任谷由実さん、山口百恵さん、中森明菜さんなどの曲をよく聴いていたという記憶があります。好きだったのは、松任谷由実(荒井由美)さんの『やさしさに包まれたなら』の歌詞。私は物心ついたときから将来は歌う人になりたいと漠然と思っていたのですが、その入り口は夢を見ることだと信じていました。だから、大人になっても思い描くことさえ忘れなければ、どんな困難があっても夢は叶っていくものなんだと思いながらこの曲を聴いていました。
そんなふうに考えるのは、母の影響が大きいですね。結果を出すことよりも、やった行動に対してほめてくれる。やりたいことは全部やった方がいいと言われて育ったし、そんなことを考えるのはおかしいと言われたことは一度もありません。空想が好きな子だったのですが、私が心をのびのびさせるのを、そのまま抱きしめてくれました。
冬に石油ストーブをつけて窓が結露した部屋で、夕食のクリームシチューをつくりながら母が歌っている。そんな記憶は、今も私が歌うときに力をくれているような気がします。もしかしたら、一番多く聴いたのは、母の歌だったかもしれませんね。
「音楽」は、自分と相手をつなげてくれるもの。言葉って“容器”だと思うのですが、自分の気持ちをすべてその“容器”に入れられていないと思うことがたくさんあって。自分は100の愛を持っているのに、言葉では50とか30とかしか伝えられていない気がして、時々不安になることがあるんです
歌詞を書くこともそうですが、今エッセイを連載させていただいていたり、趣味で小説を書いたりもしていて、ひとりで自分の気持ちと向き合う作業は大好き。でも、今ここで誰かに自分の気持ちを伝えるということに弱いんです。取っ散らかってしまって、伝えたいことと言葉がずれていく。だから、インタビューもあまり得意じゃないです(笑)。
その足りない部分を「音楽」が補ってくれているような気がします。歌でなら、苦しいとか寂しい、あなたは本当はどう思っているの?とか素直に言える。歌うことは私の人生と切り離せないものですね。
子どもです!少し前に、音楽活動以外のことをしている方たちにもたくさんお会いしたいと思い、保育園に電話をかけて実習生として行かせていただいたんです。
子どもって、本当に自由ですよね。感動のあまり涙が出たのは、絵の具をつけた寒天を握ってもらうというワークショップでの発想です。汚れないように机にブルーシートを敷いていると子どもたちがわーっ!と騒ぎ出したんです。「どうしたの?」と尋ねると、「先生、海が広がっているね~」って。ブルーシートのカシャカシャ鳴る音から波の音を想像したんですね。
そういえば、私も子どものころは、段ボール箱など反響がすぐに返ってくる狭い空間に閉じこもって歌ったり、扇風機に向かって歌ったりして音で遊んでいました。
デビューしたころは、ちゃんとしなくちゃ!という思いが強かったのですが、今はあまり頭で考えて表現することはしていないですね。自分と聴き手が一番気持ちいいように心を開放して、大人になった今もまた音で遊べているような気がします。
家入レオ〔いえいり・れお〕
13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、『サブリナ』を完成させた15歳の時、音楽の道で生きていくことを決意。2012年2月メジャー・デビューを果たし、ファーストアルバム『LEO』がオリコン2週連続2位を記録。第54回日本レコード大賞最優秀新人賞他、数多くの新人賞を受賞。以降、数多くのドラマ主題歌やCMソングなどを担当。2021年1月20日『空と青』(日本テレビ系水曜ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』主題歌)をリリース。
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