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今月の音遊人:AIさん「本当につらいときも、最終的に救ってくれるのはいつも音楽でした」
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【配信ライブ】どうやったらこんなにカッコいいアレンジができるのか──。ピアニスト ジェイコブ・コーラーに聞いてみた
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2021.10.29
tagged: ピアノ, インタビュー, ストリートピアノ, ジェイコブ・コーラー
ポップス、アニメソング、映画音楽……どんな曲も鮮やかにアレンジして弾きこなすピアニスト、ジェイコブ・コーラー。2009年から日本を拠点に活動し、2015年には人気テレビ番組『関ジャニの仕分け』(テレビ朝日)内の「ピアノ王決定戦」で優勝して話題に。さらに近年はストリートピアノでのプレイをYouTubeにアップして人気を集めている。
「ストリートピアノを弾きはじめたのは2019年くらいから。ピアニストでYouTuberのよみぃさんと連弾したのが最初でした。クラシックやジャズ、アニメやゲームの音楽など、さまざまなスタイルを自由に楽しむ、新しいジャンルだと感じましたね。僕が弾いていると、一緒に弾きたいと言って子どもから大人までいろんな人が参加してくれるんですよ。そういうところはジャズと似ている気がします。ライブをやると友人が遊びに来て、一緒に即興でセッションするという」
YouTubeの映像では、演奏だけでなく、あらゆる場所に出かけて行ってピアノを弾くジェイコブの心の声がキャプションで伝わってくるのも楽しい。
「映像の編集も基本的には自分でやっています。どうやって編集するかにも、それぞれのアーティストの個性が出ますよね。僕が映像を通して伝えたいのは、音楽だけではなくエクスペリエンス(体験)。こんなところに行って、こんな人と会って、こんなことを考えたということを全部伝えたいんです。編集はとても時間がかかるので、ほかの仕事と並行してやるのは大変なのですが、こだわりたいですね」
ピアニスト、アレンジャーのほかにもあらゆる顔を持つアイデアマンのジェイコブだが、「教える」という仕事もずっと続けてきた。
「子どもの頃はクラシックピアノのレッスンを受けていましたが、高校生になってジャズバンドに入ってから即興演奏などに興味を持つようになって。“これはめちゃくちゃ楽しいな。もうこれしかやりたくない”とジャズピアニストを目指すようになりました。そんなとき、地元(アリゾナ州)にあったヤマハの音楽教室で“子どもたちにジャズやポップスを教えてほしい”と頼まれたんです。16歳だった僕にとって、それが教える仕事のスタートでした。日本でも東京で音楽教室を開いていますが、大人も子どももピアノを楽しく弾けるような教材を作ることに力を注いでいます」
そんな彼に、どうやったらこんなにカッコいいアレンジができるのか、その秘訣を聞いてみた。
「まず曲を決めるときは、自分が好きというだけでなく、自分なりにカッコよくアレンジできるかどうかで判断します。決まったらメロディ譜を見たり自分で書いたりしつつ、どういう感じのリズムにするか決めてから、弾いてみます。あれこれ弾いているうちに、こういう和声にしよう、こういうベースラインにしよう、ここでアドリブを入れようといったアイデアが自然に出てくるので、頭のなかでアレンジをまとめて、あとで楽譜に書くことが多いですね。そして最後に録音して、聴き直しながら、ここはこうした方がよかった、ここはテンポが速かったという部分を手直ししていきます」
自分の演奏を録音して客観的に聴くことは、アレンジするうえでも、演奏するうえでも、とても大切だと語る。
「ジャズピアノをはじめたとき、僕にとっていちばん難しかったのがスウィングのリズムを自由に弾くことでした。それはやっぱり、この教則本を買えばできるようになるとかではないんですよね。実際に何度も弾きながらいろいろ実験して、練習のたびにグルーヴ感を意識しなくては。それもただ弾くだけではなく、録音して聴き直すことで自分のクセを把握することが重要です。自分が弾いているときに感じているテンポと、実際に聞こえているテンポが違ったりすることも。僕も録音するようになってから、長い時間をかけて上達していきました」
日本に来たときは、TOKUのバックバンドなどで「ジャズピアニスト」として活躍していたジェイコブ。今はより広い意味での「ピアニスト」として、自身の活動をとらえているという。
「もちろんジャズの影響はかなり大きいので、アレンジをしているときもジャズの和声が自然と出てきたりはします。けれど、ジャズ風にアレンジしようとしているわけではないので、自分のなかではジャズでもクラシックでもない“ピアニスト”という意識でしょうか」
今後挑戦したいことについて尋ねると、目を輝かせながらたくさんのアイデアを語ってくれた。
「ヤマハのトランスアコースティック™ピアノを使ったライブをしてみたいですね。アコースティックのピアノの音にストリングスの音源を重ねてエフェクトをかけたり、2時間のライブのなかで変化をつけられたりするので面白いと思います。それから先日、1956年製のヤマハのアップライトピアノを知人にリフォームしてもらったんです。ピアノのなかにバスドラムを組み込んで、左足でリズムをとりながら叩けるというオリジナルのピアノです。小さいので軽トラックに乗せて、日本のあちこちを巡り、演奏したいと思っています」
ジェイコブのステージはストリートからますます広がっていきそうだ。
Jacob Koller〔じぇいこぶ・こーらー〕
1980年、米国アリゾナ州・フェニックスアウト生まれ。アリゾナ・ヤマハ・ピアノ・コンクールを含む10以上のクラシック・ピアノ・コンクールで優勝後、ジャズクラブでバンド活動を始め、ジャズの才能を開花させる。2009年に来日し、TOKUのバックを務めるなどジャズ・ピアニストとして活躍。日本だけではなく2014年からは韓国でもコンサートツアーを行い、2017年には米国でもコンサートツアーを実現。YouTubeのチャンネル登録者数は、2つのアカウント(Jacob Koller / The Mad Arranger、Jacob Koller Japan)あわせて46万人以上に上る。
オフィシャルサイト
超絶技巧を駆使したソロ演奏に加え、スペシャル企画として、国内のみならず海外でも活動するエレクトーン・プレイヤー 中野正英とのセッションをお届けします。2021年12月5日(日)15:00スタート!
詳細はこちら
文/ 原典子
photo/ 後藤泰宏
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