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クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、“本物の”『ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール』が半世紀を経て初公式リリース
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2022.9.16
tagged: 音楽ライターの眼, クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル, ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール
遂に“本物の”『ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール』が公式リリースされる。
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(以下CCR)の1970年、英国ロンドン公演を収録したこのアルバムは曰わく付きのものだ。彼らは1967年から1972年のあいだに7枚のスタジオ・アルバムを発表、「プラウド・メアリー」「トラベリン・バンド」「バッド・ムーン・ライジング」「雨を見たかい」「スージーQ」などはアメリカン・ロックの歴史に残る名曲として今なお世界中で愛されている。バンドは短命に終わり、1972年2月にたった一度ジャパン・ツアーを行ったのみだったが、2010年にはヴォーカル兼ギターのジョン・フォガティがフジ・ロック・フェスティバルに出演、CCRナンバーの数々でオールド・ファンを涙させてくれた。
CCRの解散後、1980年に突如リリースされたライヴ・アルバムが『The Royal Albert Hall Concert』だった。1970年4月、英国ロンドンの“ロイヤル・アルバート・ホール”でレコーディングされたという触れ込みの同作は米“ビルボード”誌のチャートで62位というヒットを記録し、日本盤LPも『ライヴ・イン・ロンドン’70』という邦題を付けて発売されたが、その直後になんと実はロンドンではなく1970年1月、カリフォルニア州オークランド公演の音源だったことが判明したのである!
ライヴ作の内容は文句なしの素晴らしいものだし、収録会場は正直そのまま黙っていてもバレなかったと思われるが、リリース元の“ファンタジー・レコーズ”は正直にその事実を公表。既に出回っている初回プレスLPには“WE GOOFED!(ヤラカした!)”と書かれたステッカーを貼り、セカンド・プレスからは『The Concert』と改題して店頭に並べた。なお同作が後に日本でCD化された際には『ザ・コンサート』という邦題が付けられている。
ちなみにロイヤル・アルバート・ホールは6,500人収容の、毎年の“プロムナード・コンサート”で知られるクラシックの殿堂だ。とはいっても1960年代からはポップ/ロックのライヴでも頻繁に使用され、ザ・ビートルズ(1963年)、ザ・ローリング・ストーンズ(1964年)、ボブ・ディラン(1966年)、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、B.B.キング、ディープ・パープル(いずれも1969年)、レッド・ツェッペリン(1970年)らが公演を行っている。ただ東京の日本武道館と同様に、由緒正しい会場として出演アーティストにとってハクが付くことは事実である。
そんな騒動から40年以上を経て、正真正銘のロイヤル・アルバート・ホールでのライヴを収めた『ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール』がリリースされることになり、ファンを驚喜させている。
ジャケットにロイヤル・アルバート・ホールの写真が誇らしげに使われた本作は、同会場で1970年4月14日・15日の2公演行われたライヴのうち初日のステージを完全収録したもの。「ボーン・オン・ザ・バイヨー」「グリーン・リヴァー」からヒット曲の数々へとダイヴしていく構成は前述の『ザ・コンサート』、あるいは1969年8月17日、伝説の“ウッドストック・フェスティバル”でのライヴを捉えた『ライヴ・アット・ウッドストック』などと共通するもので、迫力に満ちた泥臭いロックのパフォーマンスはロンドンの格式高いコンサート会場をアメリカの湿地帯にしてしまう。演奏曲目はかなり重複するものの、死角なしのベスト・セレクションはどのテイクで聴いても新鮮だ。
さらに本作は50年間眠っていたオリジナル・マスター・テープを、近年のザ・ビートルズ復刻作業でおなじみジャイルズ・マーティンとサム・オーケルがミックス。CCRサウンドに新たな生命を吹き込んでいる。
アルバム『ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール』のリリースを追う形で、ドキュメンタリー映画『Travelin’ Band: Creedence Clearwater Revival at the Royal Albert Hall』も海外で公開される。『ザ・ビートルズ・アンソロジー』(1995-96)を手がけたボブ・スミートンが監督、『キングコング』(1976)『ビッグ・リボウスキ』(1998)のジェフ・ブリッジスがナレーションを務めるこの作品は未発表映像やインタビュー、このロイヤル・アルバート・ホールでのライヴも含む内容になるという。ぜひこちらも日本で劇場公開あるいはソフト化して欲しいところだ。
解散から50年を経て、その音楽は新しい世代のリスナーの心をも揺さぶり続ける。CCRの音楽は何度でもリバイバルを繰り返すのだ。
発売元:ユニバーサルミュージック
発売日:2022年9月16日
価格(税込):3,300円
詳細はこちら
山崎智之〔やまざき・ともゆき〕
1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,000以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検第1級、TOEIC 945点取得
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文/ 山崎智之
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