今月の音遊人
今月の音遊人:東儀秀樹さん 「“音で遊ぶ人”といえば僕のことでしょう。どのような楽器の演奏でも、楽しむことだけは忘れません」
12550views
耳が幸せになるライブができる!4世代にわたるプレイヤーが集結した「4GENEXYZ(フォージェネシズ)」/須藤満、藤井空インタビュー
この記事は4分で読めます
1801views
2024.10.8
日本のジャズ/フュージョン界を代表するドラマー則竹裕之とベーシスト須藤満が、世代の異なるプレイヤーたちと結成した4世代集結バンド、4GENEXYZ(フォージェネシズ)。結成から1stアルバム『Sky,River and Friends on the Earth』制作までの道のりを、メンバーの須藤と藤井空に語ってもらった。
トランペット&フリューゲルホルンの藤井空、テナーサクソフォン&ウインドシンセサイザーのかわ島崇文、ピアノ&キーボードの友田ジュンという気鋭のプレイヤーたちと、彼らよりずっと先輩の則竹&須藤が出会ったのは、2022年7月に行われた則竹・須藤コンビ結成35周年記念イベント。そこでの充実したライブが、このバンドの結成につながった。
「“こういうのがやりたかったんだ!”っていうくらい、すごく楽しかったんです。それまではビッグバンドやホーンセクションで吹くことが多く、フロントをやれる機会がなかったんですよね」(藤井)
「空くんの伸び伸びとした演奏を見て、則竹くんも“トランペットいいね”ってニコニコしながら叩いて。もちろん僕もすごく楽しかったから、またこのメンバーでやりたいねって。それからメンバーのスケジュールを調整しながら、3、4か月に一回の割合でライブをやっていたんです」(須藤)
またこのメンバーでやりたい──須藤にそう思わせたのは4GENEXYZの音が新鮮だったからだ。
「ギターレスで管楽器がフロントに立つのは、1970年代後半から80年代にあったスタイル。ザ・クルセイダーズとかね。それを今の人間がやることに新しさと懐かしさを感じます。またベーシストというのは、ほかのメンバーの演奏を聴きながら弾くのが楽しみなところがあるのですが、このバンドでは耳が幸せになるようなライブができるんです」(須藤)
ライブに手応えを感じることは、バンド活動の要といっても過言ではない。それを物語るこんなエピソードがある。
「あるとき、トランペットのソロ中にパッとリズム隊が演奏をやめちゃうという、そういう試みが先輩方からあって……」(藤井)
「試みというか、イジリというかね(笑)。演奏をやめられるのって、いいライブをしているときなんです。“これ、ほっといてもいいな”って思ったらやめられる。そういう発想が生まれるのは、ライブがうまくいっている証です」(須藤)
信頼できる仲間とライブを重ね、オリジナル曲も生まれていった。そうしてたどりついた1stアルバム『Sky,River and Friends on the Earth』は、テクニカルでスタイリッシュなサウンドとキャッチーなメロディが存分に堪能できる内容で、Jフュージョンの現在進行形ともいえる響きを放っている。
「空くんの作った『Rich light green』はとにかくカッコよくて、バンドの代表曲になりそうだと思いながらライブで何度も演奏してきた曲」(須藤)
「もともとはそれほど凝った曲ではなかったのですが、ライブを重ねることでブラッシュアップできて、理想的な形でレコーディングできたのがうれしかったです」(藤井)
一方で管楽器がフロントを担うスタイルが、従来のJフュージョンのイメージに縛られない自由な音を鳴らしているのも特徴だ。
「かわ島くんの作った『Ain’t no den』は、それこそ僕と則竹くんのいたバンドのサウンドを彷彿させるものだけど、トランペットが乗ることで斬新なサウンドになった」(須藤)
「レコーディングのときにプロデューサーが“4GENEXYZはフュージョンバンドじゃなくてインストバンドだね”という話をしていましたが、本当にそう思います」(藤井)
なによりライブで培ったメンバー間の信頼、そこから生まれるグルーヴ感が、ジャンルの枠を超え、聴き手を巻き込む魅力を持っているのだ。
「レコーディングではそれぞれブースに入るから直接アイコンタクトはできないけど、それでも相手の音を聴いて盛り上がることができた。管楽器の音に乗せられてリズム隊が熱くなる瞬間があったり、逆に則竹くんのドラムと僕のベースに刺激されて熱くなる管楽器のふたりがいたり」(須藤)
「その熱さは『Fuwaku』や『The Box Road』といった曲で感じました」(藤井)
そんな濃密なアルバムを引っ提げ、2024年11月11日(月)の千葉・柏WUUを皮切りにリリースツアーが行われる。
「これまではライブが決まりました、やりました、で終わりだったけど、アルバムを作って指針ができたことで、それをライブでどのように発展させようか、というところにみんなの発想が向かっています」(須藤)
「アルバム作りは楽しかったのですが、一生懸命やるうちに終わってしまった印象もあって、“この部分は次のライブではこうして”みたいに考えることもあります。でもそれは後悔ではなく、新しいアイデアが湧き出てくるということなので、今からライブが楽しみです」(藤井)
“GENESIS”が“創世記”を意味するように、4GENEXYZは誕生から現在まで、ライブの興奮や楽曲の感動など、常に何かを生みながら進んできた。秋から始まるツアーでも、新しい何かが創造される瞬間を目撃することができるに違いない。
発売元:エレックレコード
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
発売日:2024年10月2日
料金(税込):3,000円
詳細はこちら
2024年
11月11日(月):千葉・柏/WUU
11月13日(水):横浜/Hey-JOE
11月18日(月):神戸/チキンジョージ
11月19日(火):京都/RAG
11月20日(水):名古屋/JAMMIN’
11月21日(木):東京・目黒/BLUES ALLEY JAPAN
2025年
1月22日(水):博多/Gate’s7
1月23日(木):熊本/CIB
1月24日(金):大分/BRICKBLOCK
詳細はこちら