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電子ピアノ クラビノーバ CLP-800シリーズのエントリーモデル「CLP-825」

電子ピアノ クラビノーバ CLP-800シリーズの魅力を詰め込んだエントリーモデル「CLP-825」

繊細なニュアンスまで表現できる弾き心地のよい鍵盤、自然でクリアな響き、さらには“ピアノらしさ”にこだわったデザインの細やかさ。4年ぶりのリニューアルとなったクラビノーバCLP-800シリーズに新たに加わったエントリーモデル「CLP-825」を、筆者が実際に弾いて豊かな演奏空間を体験。本機の魅力や特徴について製品担当のヤマハミュージックジャパン中本さんに詳しいお話を聞いた。

どんな打鍵も自然で違和感ない弾きごこち

さっそく鍵盤に触れてみよう。速いパッセージや重厚な和音など思いつくままに弾くと、強弱やフレージング、タッチの細かな加減が期待を上回る音となって響く。第一印象は「頼もしいピアノ」。鍵盤を弾いた感触もクセがなく自然で違和感がない。

CLP-825を試奏する様子

「鍵盤には従来のモデルよりさらに繊細な表現が可能になったグランドタッチ-エス™鍵盤を採用しています。これまでの製品は打鍵の強さで音の強弱は表現できても、タッチによる音色や表情までの繊細な変化の再現はなかなか困難でした。音源チップも刷新して表現の幅を広げ、出したい音を意識して打鍵すればそのイメージに合った音が引き出せるようパワーアップしたCLP-800シリーズのよさを、このエントリーモデルでもしっかり実現しています。またタッチの度合いと実際に鳴る音を調和させて、演奏感に見合う音が出るようにこだわりました」

ひとつの鍵盤をすばやいスタッカートで連打してみた。鍵盤の戻りがとてもスピーディーで指が動かしやすく、強弱を含めた打鍵のニュアンスが忠実に再現されるのが心地よい。空間を包み込むような伸びのあるサウンドにも電子ピアノとしての進化がうかがえる。

「スピーカーには網状のディフューザーを搭載して音を全方位、四方八方に拡散させる効果を出しています。一般的な電子ピアノのイメージとしてスピーカーから直線的にバーンと音が出たほうが迫力を感じられていいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、音が響板から楽器のボディ全体に伝わり広がっていくアコースティックピアノならではの音場の特性に近づけるため、立体的に音を飛ばすことに重点をおいています。またヘッドホンを使って弾くときも空間の中に音が漂うような自然な響きを得られます。これはダミーヘッドを用いて演奏者の耳と同じ位置にマイクを備え付けて集音をするバイノーラルサンプリングという技術によるもので、「CLP-825」では『ヤマハCFX』の音色に採用しています。長時間ヘッドホンをつけて練習していても疲れにくく、気持ちよく演奏していただけると思います」

ちなみにCLP-800シリーズの上位機種CLP-885/875には、高音域専用スピーカーに音を前後に飛ばすバイディレクショナルホーンを搭載。スピーカーの配置や向きもさらに工夫が加わり、より豊かな響きが味わえるという。

グランドピアノの演奏体験を目指し、細部にわたり施された工夫

操作性、機能ともにアコースティックピアノとの間に特に大きな差があるとされているダンパーペダルはどうだろうか。曲の全般を通してペダルを使う『ノクターン第2番 変ホ長調』(ショパン)を弾いてみる。ペダルの形状はグランドピアノに近い曲線的なデザインにされており足先によくフィットし、とても踏みやすい。踏み込み、踏み戻しの深さやタイミングがきめ細かくサウンドに反映され、ペダルの充足感を味わえる。

「ペダルはCLP-800シリーズの他のモデルと同様に、グランドタッチ™ペダルを採用しています。一般的な電子ピアノのペダルは踏み込み・踏み戻しそれぞれの動作時に足先にかかる荷重がいわば一定ですが、グランドピアノは踏み込むときにダンパー(弦の振動を止めるピアノ内部の装置)を持ち上げるためにより多くの力が必要で、踏み戻すときは軽く感じるという特徴があります。従来のペダルと大きく異なりこの踏み心地の再現を目指して踏み込み・踏み戻しのそれぞれの荷重に変化をつけ、より正確なペダリングが可能になりました。またハーフペダルはもちろん、1/4、1/3など薄くペダルをかけることもできるようになっています」

繊細なニュアンスが表現できる、グランドタッチペダル。

このほかにもグランドピアノさながらの演奏体験を目指し、さまざまなこだわりや工夫が細部にわたり施されている。そこには普段は電子ピアノで練習している人がいざ演奏会などでグランドピアノを弾くという時、あまりにも目の前の景色が違って戸惑ってしまい緊張を感じないように、との想いが込められているという。

「デザインの面ではクラビノーバの前に座った時に入り込む視界の印象を大切にして、グランドピアノに無いものは極力除いてあります。たとえば鍵盤の上部(黒鍵の奥側)には視界に入ってしまうボタンやランプなどを配置していません。電源や音色を設定するスイッチ類は鍵盤の両端にまとめてスッキリとさせています」

これからピアノを習ってみようという人にとっては、ピアノを弾くことだけでなく「自分の楽器を選ぶ」というミッションも初めて経験することになる。楽器店に出向いたもののピアノの選び方がわからず、色やデザインのインパクトや音色の豊富さなどに惹かれて購入してしまったが、もっとじっくり選べばよかった……、という話をピアノ教室の生徒さんからこれまでにたびたび聞いてきた。これからピアノを購入する方には電子ピアノを選択する指針として、「CLP-825」をぜひ広く知ってもらいたい。「グランドピアノの演奏空間」という実力を持ちながらエントリーモデルとして価格が抑えられているのも魅力のひとつだろう。家庭での使用をイメージし、インテリアや部屋の雰囲気に合わせて好みの色を選べるようにと温かみのあるニューダークローズウッド調、輝くようなホワイトウッド調のカラー展開も嬉しいポイントだ。

ニューダークローズウッド調(左)とホワイトウッド調(右)。ホワイトウッド調はCLP-800シリーズでは唯一のカラー。

「上位機種と比較すれば機能は絞られていますがCLP-800シリーズのこだわりをしっかり継承しています。スピーカーシステムなど聴き比べすれば確かに差はあるものの、これからピアノを始めるお子様のレッスン用や、趣味でピアノ演奏を楽しみたい大人の方、またアコースティックピアノをすでにお持ちの方にとっては夜間練習用の2台目のピアノとして、十分に役割を果たせるスペックを備えた上でお求め安い価格帯を実現しています。教室のレッスンではグランドピアノでいろいろな表現を勉強しても、ご自宅で使う楽器の機能や音の出方などが全く違うと、思うように練習が進められないかもしれません。そうした環境の差を埋められる楽器としてしっかり表現力を身につけられるような楽器を求めていらっしゃる方にもぜひ、ご自宅での練習に使っていただきたいですね」

グランドピアノらしい演奏体験ができる電子ピアノとして登場した800シリーズの機能性をコンパクトにまとめた魅力的なエントリーモデルとして、「CLP-825」はピアノを弾く多くのユーザーにとって心強い存在になるだろう。


クラビノーバ「CLP-825」紹介動画

■クラビノーバ「CLP-825」

グランド・エクスプレッション・モデリング、グランドタッチペダルを備え、2つのコンサートグランドピアノ ヤマハ「CFX」・ベーゼンドルファー「インペリアル」の音色を、グランドピアノらしい表現力で楽しめる。Bluetooth®オーディオ/Bluetooth®MIDI搭載。
製品サイトはこちら

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