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長く使い続けてもらえる電子ドラムを目指して──電子ドラム「DTX6K5-MUPS」

長く使い続けてもらえる電子ドラムを目指して──電子ドラム「DTX6K5-MUPS」

コンパクトでありながら、アコースティックドラムに近い演奏感を実現する「DTX6」シリーズに、より爽快な打感とユーザビリティに富んだ機能を持った、新たなモデルが追加された。

演奏したくなる打感と際立つドラムサウンド

2025年5月23日、ヤマハの電子ドラム「DTX6」シリーズに新たなラインアップが加わった。新開発のメッシュヘッドを搭載した12インチのスネアパッドが採用された「DTX6K5-MUPS」である。「ミドルクラス向けの電子ドラムにメッシュパッドを」という構想は、2020年に発売されたDTX6シリーズの企画時からなされていたもので、ヤマハの電子ドラム愛好者からも定番のメッシュパッドに対する要望が数多く寄せられていたという。そんな市場のニーズに応え、まさに満を持しての登場となった。

「MUPSとは“メッシュパッドを採用したアップグレードセット”という意味です。国内での販売時にはドラムスツールとフットペダルがセットに含まれるので、スティックさえあればすぐに演奏を楽しんでいただけます。中・上級者はもちろん、これからドラムを始めたいという方にもおすすめできるモデルになりました」(マーケティング担当の楠講平さん)

インタビュー中の写真:マーケティング担当の楠講平さん、企画担当の竹久英昭さん、開発担当の原田敬三さん

左からマーケティング担当の楠講平さん、企画担当の竹久英昭さん、開発担当の原田敬三さん。

さらに念頭に置かれていたのは「演奏者のライフサイクルに合わせて変化、成長する電子ドラムである」ということ。

「演奏レベルやスタイルに合わせて最大14までパッドが追加できますし、アコースティックドラムに比べてセッティングが簡単でお子さんなどとも共用しやすい楽器です。例えば初心者としてご購入いただいてから、練習に打ち込む時期があったり、少し離れる時期があったりしながらも、人生を振り返るようになる頃まで長く使い続けてもらえたならうれしいですね。ゲーム的な要素を持たせた練習機能も搭載されていますし、どんな時も楽しみながら演奏していただけると思います。ある意味、非常にコストパフォーマンスに優れた一台です」(企画担当の竹久英昭さん)

機能性、デザイン性、耐久性が支えるDTX6K5-MUPS

こうした長期間にわたって愛用される楽器としての「DTX6K5-MUPS」を支えているのが、機能性、デザイン性、耐久性という三本柱である。

「電子ドラムではありますが、アコースティックドラムと同じような感覚で思い切り演奏や練習をしてもらえることが理想です。そのためにも、演奏者のタッチを3つのセンサーで正確に感知するセンシング機能の精度を磨きつつ、打撃耐久試験を重ねて、安心して演奏していただける耐久性を確保しました」(開発担当の原田敬三さん)

加えて、ビジュアル面でも「ドラムらしさ」にこだわったデザインに仕上げた。

「新採用のメッシュパッドの口径を大きくしたり、スネアパッドのフープはアコースティックドラムと同じものを採用していたり、またシェル部分にはチューニング用のテンションボルトが付いていたりと、細かい部分のデザインを洗練させて、アコースティックドラムの演奏感覚により近づいたと思います」(原田さん)

DTX6K5-MUPS試奏中の写真

ヤマハドラムの代名詞Recording Customを新搭載

音源モジュール「DTX-PRO」に関しても、今回の「DTX6K5-MUPS」の発売に合わせてバージョン2へとアップデートされ、ヤマハを代表する名機「Recording Custom」を含む30キットが新たに追加された。この刷新には開発を担ったメンバーたちの熱い思いが込められている。

「われわれは電子ドラムの開発チームではありますが、根底にはやはり“ヤマハのドラムをつくっている”という意識があります。ですから、ヤマハのドラムの代名詞とも言えるRecording Customの音色を搭載したい気持ちがとても強かった。録音・制作についても『良い環境で、正確な音を、きちんと録音して、編集・監修する』ことを追求しました」(竹久さん)

この収録に際しては、国内外のアーティストリレーションをはじめ、トッププロのドラムテックも担当するヤマハの夏目氏にチューニングとセッティングを依頼。サンプリングとミキシングは日本屈指のエンジニアである杉山勇司氏が手がけた。ここで注力したのは「アコースティックドラムであるRecording Customを叩いている感覚になる」音。そのためにあえて「音の雑味」を大切にしたという。

「本来ドラムはおおらかで荒々しい音が出る楽器ですよね。そこで、シェルの共振音やスネアワイヤー音などのノイズ(ブリード)を整え過ぎることなくリアルな響きとして残し、他の楽器に埋もれない、楽曲の中でも際立つサウンドとして完成させました」(竹久さん)

このノイズ(ブリード)部分はDTX-PROに搭載されている機能「KIT MODIFIER」で調整が可能とのこと。臨場感を生み出すためのこうしたきめ細かな技術がヤマハならではの音づくりを支えている。

DTX-PROをアプリで操作している写真

「DTX-PRO」は専用のアプリ「DTX-Touch」とつなげると、スマホでモジュールを操作できる。画面はビジュアル中心なので、わかりやすく簡単だ。

「DTX6K5-MUPS」の誕生で理想形にさらに一歩近づいたように思えるが、電子ドラムの魅力は無限大で、発展のポテンシャルを秘めた楽器だという。だからこそ自由で斬新な発想を礎に進化を続けているのだろう。

「楽譜が読めなくても叩けばすぐに音が出ますし、電子ドラムならアコースティックドラムに比べてコンパクトで音量調節もできるので、全くの初心者の方にとってもハードルが低い楽器だと思います。また、ドラムを演奏することで姿勢が改善したり脳の活性化につながったりという報告も出ていますから、音楽面だけに限らず、文化的・社会的にも貢献できるのでは……と、可能性は広がりますね」(竹久さん)

DTX6K5-MUPSを折りたたんだ時の写真

コンパクトに折りたたむこともできる。持ち運びも簡単だ。

「まずは店頭や体験会などでぜひ一度触れてみてほしい」との言葉に、開発メンバーの静かな自信がうかがえた。電子ドラムに興味のある方、ドラムを始めてみたい方の新しい扉は「DTX6K5-MUPS」が開けるのかもしれない。

DTX6K5-MUPSのこだわり

DTX6K5-MUPSのこだわり紹介画像

①メッシュパッドを採用
スネアドラム、タムタム、フロアタムのヘッドにREMO社製の2plyメッシュを採用。これにより好みに合わせたチューニングや、高い反発性による爽快な打感を生み出した。

メッシュパッドを採用

②パッドの仕様
スネアドラム、タムタム、フロアタムはヘッド部とリム部の2ゾーン仕様。オープン/クローズドリムショットができるほか、ヘッド部に3つのセンサーを備え、忠実に演奏を再現することができる。クラッシュ、ライドシンバルは従来通り3か所で打音を分ける3ゾーン仕様。

③パッドの口径を変更/アコースティックドラムと同じフープを使用
スネアドラム用の「XP120L-M」は12インチ、タムタム・フロアタム用の「XP100L-M」は10インチ、ライドシンバルも15インチと、従来のDTX6シリーズよりも大きい口径に変更。また、アコースティックドラムに使われるものと同じフープを使用することで、より自然な叩き心地を実現している。

パッドの口径を変更

④ハイハットシンバルが独立
左のハイハットシンバルがラックにつながれておらず独立していることも特徴。ツインペダルの装着や、細かな位置調整がスムーズにできる。

⑤DTX-PRO V2.0
直感的な操作でサウンドメイキングができる「DTX-PRO」。バージョン2にアップデートされ、従来の40のキットに加えヤマハの「Recording Custom」を含む30キットが追加されている。その一部ではシェルの共振音やスネアワイヤーの音など、リアルな響きやノイズまで調整可能になった(ブリード機能)

DTX-PRO V2.0

■DTX6K5-MUPS

DTX6K5-MUPS

標準搭載の電子ドラムパッド「XP120L-M」「XP100L-M」は従来よりも大きな口径に変更し、ヘッドにメッシュパッドを採用。高い反発性による爽快な打感を実現。よりアコースティックドラムに近い演奏性を追求したモデル。

製品サイトはこちら

photo/ 高宮岳彦

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