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今月の音遊人:宇崎竜童さん「ライブで演奏しているとき、もうひとりの宇崎竜童がとなりでダメ出しをするんです」
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アーティストの存在を感じながら、ヤマハの管楽器づくりの源泉に触れる──「匠のオト」展 Brass Stories -アーティストと職人が創る音-
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2025.10.6
tagged: トランペット, Xeno, 「匠のオト」展, Xenoアーティストモデル
奏者が求める最高の演奏を実現するために、開発者と奏者の思いを凝縮したヤマハのトランペット「Xenoシリーズ」が1990年の誕生から今年で35周年を迎えた。また、世界的なプレーヤーのアドバイスを受けて2004年に開発された「Xenoアーティストモデル」も20周年となる。これを記念し、2025年8月からヤマハ銀座店で開催されている「匠のオト」展を紹介しよう。
銀座の街並みから一歩店内に入ると、そこは「Xeno」ワールド。特設ステージと25面マルチ大型ディスプレイ、そして「Xenoアーティストモデル」のシカゴシリーズ(YTR-9445CHS)とニューヨークシリーズ(YTR-9445NYS-YS)の各モデルが訪れる人々を迎えてくれる。
今回の「匠のオト」展、サブタイトルは「Brass Stories -アーティストと職人が創る音-」。管楽器プレーヤーやアーティスト、管楽器ファンに向け、アーティストたちと共に楽器づくりをしてきたヤマハの軌跡をたどる。
例えば、それぞれオーケストラプレーヤーの協力を得て開発されたシカゴとニューヨークの両モデルにも、奏者とヤマハとが追求した「こだわりポイント」が盛りだくさん。ベルひとつをとっても、最高の演奏を引き出すための試行錯誤がどれほど詰まっているかを知ると、楽器開発の奥深さと卓越した世界観を感じることができる。

「Xenoアーティストモデル」のシカゴシリーズとニューヨークシリーズの各モデル。
さらに、特設ステージではヤマハホールの映像を背景に「Xeno」のトランペットを構えて写真を撮ることができる。構えるだけで音は出さないので、トランペット未経験者もOK。会場のスタッフに気軽に声をかけて、トランペッター気分を楽しんでほしい。

(左)特設ステージと迫力満点の大画面マルチスクリーン。(右)大画面マルチスクリーンの映像をヤマハホールの客席に切り替え、ステージでトランペットを吹いているような体験ができる。
フロア中央はシグネチャーモデルのコーナー。第一線で活躍するトランペット奏者であるボビー・シュー、原朋直、エリック・ミヤシロ、ウェイン・バージェロン各氏の協力によって誕生したモデルが展示されている。本展を企画したヤマハの木村智子さんが次のように話してくれた。
「それぞれのアーティストが現在演奏している楽器を展示しています。さらに、そのアーティストが演奏された楽曲の試聴もできます。(録音当時のモデル使用)アーティストとヤマハの職人たちが創りあげた音色のキャラクターの違いを楽しんでいただければと思います」
映画『ラ・ラ・ランド』やアニメ『ルパン三世』など、“この曲にも使われていたのか”という発見があり、それらのCDの音を聴くと、楽器のモデルによって“これほど音色や味わいに違いがあるのか”と驚く。見て、聴いて、テイストの違いを聴き比べてみるのも楽しい。

レジェンドアーティストのシグネチャーモデル。左から、ボビー・シュー氏、原朋直氏、エリック・ミヤシロ氏、ウェイン・バージェロン氏。
さらに、もうひとつ見逃せないものが!アニバーサリー特別トランペット「Sakura」モデル(非売品)だ。世界中から支持されているシカゴシリーズC管に金メッキを施し、日本の美を象徴する桜を彫刻した一点ものが展示されているのだ。
「本展のあとはアメリカへ渡り『2026 NAMM Show』で展示される予定ですので、この機会にじっくりご堪能いただきたいですね。彫刻を担当した職人の紹介や手彫りの様子を映した動画もご覧いただけますので、職人技にもぜひご注目ください」(木村さん)

YTR-9445CHGP(シカゴシリーズC管)に金メッキと桜の彫刻を施した一点もののモデル「Sakura」(非売品)
「Xeno」の歴史について、ヤマハの国内市場トランペット担当の加藤平祐さんに聞いた。
「楽器の評価を世界に求め、当時アメリカを中心とする海外プレーヤーとの二人三脚で挑戦を続けてきた『Xeno』は、海外のトップアーティストから高評価を得て、逆輸入のような形で国内販売を開始した楽器です。『Xeno』とは、ギリシャ語の『Xenos』に由来する言葉で、“外から来たもの”という意味があります。この楽器のストーリーにぴったりなブランド名ではないかと思います」
そして「Xenoアーティストモデル」の登場によって、さらに飛躍することに。
「多くの国内外のオーケストラプレーヤーが、実用性や表現力、安定性のすべてに優れていると『Xeno』を徐々に選ぶようになり、現在では日本はもとより世界中のトップオーケストラで『Xeno』が使われるようになっています」
アーティストの要望に応えるために、管楽器のみならずさまざまな楽器や音響技術なども駆使しながら幾重もの方法を試し、複数の試作を提案しているヤマハ。それが結果として、アーティストのイメージを超える楽器を生み出すことにつながった。
「開発には膨大な時間がかかり、日本と海外を数えきれないくらい試作品が行き来して、こうして評価される楽器が誕生したという歴史があります」
今では、世界中で多くの管楽器奏者が「Xeno」を採用するなど、プロ・アマチュア愛好家問わず、幅広い層から支持される楽器となっている。
そんな「Xeno」の軌跡を実際に見られるのが、同会場(ヤマハ銀座店)4階の管弦打楽器フロア。エレベーターを降りてすぐのスペースに、過去の周年記念モデルや現行品など、多様なモデルが展示されている。さらにうれしいのが、気になるモデルの試奏体験ができること(※過去の周年記念モデルは展示のみ)。見て、聴いて、触れて、吹いて、「アーティストと職人が創る音」=「Xeno」の魅力を心ゆくまで堪能してほしい。
また会期中はさまざまな管楽器アーティストによる演奏イベントも行われる予定なので、アニバーサリーイヤーならではの展示やイベントをお見逃しなく!

会場でアンケートにご協力いただいた方には、管楽器職人が描かれた会場限定ステッカーをプレゼント。
開催日時:2025年8月27日(水)〜11月10日(月)11:00〜18:30
会場:ヤマハ銀座店1Fブランド体験エリアおよび4F管弦打楽器フロア
料金:無料
予約:不要
文/ 芹澤一美
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tagged: トランペット, Xeno, 「匠のオト」展, Xenoアーティストモデル
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