今月の音遊人
今月の音遊人:大貫妙子さん「言葉で説明できないことのなかに本当に素晴らしいものがいっぱいある。それが音楽ですよね」
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18〜19世紀のフォルテピアノから現代のピアノまで、演奏を聴き比べながらその歴史を学べた「ピアノづくしの旅」
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2016.4.22
tagged: ピアノ, フォルテピアノ, 小倉貴久子, 浜松市楽器博物館, FC会員限定, FC会員, ピアノづくしの旅
フィーリングクラブ(FC)会員限定のイベント「ピアノづくしの旅」が、2016年3月25日(金)に静岡県で開催されました。グランドピアノ工場の見学、200年以上前に作られたフォルテピアノの聴き比べ、さらにレクチャーコンサートの鑑賞という、普段経験することのできない贅沢な内容はこのツアーならでは。遠くは山口県、茨城県から参加された方もいらっしゃいました。
集合場所は掛川駅。バスに乗ってヤマハ掛川工場に向けて出発しました。工場のエントランスにあるハーモニープラザ(ショールーム)では、ヤマハ創業者・山葉寅楠が制作した109歳を迎えるオルガンの音色を味わい、いよいよグランドピアノの製造工場へ。広い工場内で職人がそれぞれの工程ごとに黙々と作業をしている様子は、工場というよりもアトリエの集合体のよう。約230本の弦を1本ずつフレームに張る作業や、鍵盤の高さや弾いた時の深さを調整する作業など、ほとんどの工程が熟練の手作業で進められる様子がよくわかります。弦を巻きつけるチューニングピンを打ち込む工程では、見本用のピンを触らせてもらい、実際に目にし、触れる楽しさも満喫できました。
工場見学の最後には、ピアノの音色やタッチなどを確認する選定室で、弾き比べを体験しました。同じ品番の3台のピアノが並べられており、それぞれ微妙に音色が異なることを実感。自然の素材が随所に使われているからこそ生まれる豊かな個性に、皆さん熱心に耳を傾けていました。その後ハーモニープラザに戻り、しばし展示品を見学。スヴャトスラフ・リヒテルが弾いたピアノが展示されているリヒテルルームでは試弾することもでき、最年少参加者である10歳の女の子は「音がよく響く感じがします」と時間が許せばもっと弾きたい様子だったのが印象的でした。
この後、オークラアクトシティホテル浜松に移動してランチブッフェを楽しみ、浜松市楽器博物館へ。こちらの目玉は、イタリアのクリストーフォリ(復元品)、オーストリアのワルター、イギリスのブロードウッドなど、名工の手による18〜19世紀のフォルテピアノの聴き比べです。ピアニストの小倉貴久子さんが、1台ずつ歴史と特徴を解説しながら、その当時の曲を演奏するという貴重なひとときとなりました。時代とともに変化する音色の違いを体感し、それぞれ意匠を凝らした作りの見事さにも魅了されて、ピアノへの興味は深まるばかりです。
定年後にピアノを習い始めたという79歳の男性は、「この年ですから技術を習得するというより、楽譜のことや歴史を知ることも楽しいんです」と、聴き比べを堪能されていました。
フォルテピアノの聴き比べの後は浜松市楽器博物館内の展示を自由に見学し、レクチャーコンサートの会場となるヤマハミュージックリテイリング浜松店「かじまちホール」へ。演奏用のドレスに着替えた小倉貴久子さんが登場し、クープラン、モーツァルト、ショパン、ラヴェルといった、古典から近現代までの4期それぞれの名曲を、解説を交えながら現代のフルコンサートグランドピアノ一台で演奏しました。
また、最近モーツァルトの自筆譜が発見されたことで、「トルコ行進曲」の譜面の一部が実は少し違っていたというエピソードとともに、その自筆譜に沿った演奏が披露され、このツアーならではの楽しみを味わうことができました。
ピアノの製造工程を知り、18〜19世紀のフォルテピアノから現在のピアノまで、演奏を聴き比べながらその歴史をたっぷりと感じることができた、まさに「ピアノづくしの旅」となりました。