今月の音遊人
今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」
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今月の音遊人:甲田まひるさん「すべての活動の土台は音楽。それなしでは表現にはなりません」
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2022.4.1
ジャズピアニストであり、ファッションアイコン、そして俳優と多岐にわたるフィールドで異彩を放つ甲田まひるさん。2021年11月にはEP『California』をリリースし、シンガーソングライターとしてのデビューを果たしました。そんな彼女の原点となる一曲や影響を受けた曲やアーティストとは?
5歳でピアノを始め、8歳のときにジャズと出合ったので、ジャンルでいうと必然的にジャズになると思います。よく聴いた曲はいろいろありますが、一番名曲だと思っているのがセロニアス・モンクの『ラウンド・ミッドナイト』です。作曲家としての能力が本当にすごい!と思わせる一曲で、マイルス・デイヴィスなどいろいろなアーティストがカバーしています。今は日常的というより「自分がもともとやっていたのは何だっけ?」と原点に返るために聴くことが多いです。一番好きなのは、ミシェル・ペトルチアーニによるアレンジ。原曲を忘れるくらいの個性があるんです。私が影響を受けたピアニストのひとりで、彼の『キャラバン』という曲もめちゃめちゃ聴きました。
いろいろな表現があるなかで、もっとも自分を表現できるもので、それに代わるものは、まだ見つかっていません。
音楽は話すよりも早いし、音楽をやっているときはそのままの自分でいられる時間。そういった心地よさみたいなものは、ピアノを始めたときからずっと感じていました。ファッションなどほかの活動は私のなかではすべてつながっているのですが、土台にあるのは音楽。それがなければ、表現にならないと思っています。
私はずっとピアノを弾いてきましたが、『California』では初めて歌に挑戦しました。ライブをやっているうちに、もっと直接的に言葉で伝えたいという気持ちが芽生え、どんどん膨らんでいったんです。ピアノとは別のことというより、より自分が表現したいことができるのが、このタイミングでは歌でした。
ジャズピアニストのスガダイローさんです。私はジャズを始めてからビバップを中心にやっていたのですが、同時にお母さんと一緒にいろいろなライブハウスをめぐっていました。そのなかでフリージャズのコミュニティに入れてもらうことができ、そのライブによく行った記憶があります。
なかでも、小学生のときはスガダイローさんのライブにめちゃめちゃ通っていましたね。最初にライブに行ったときには、見たこともない世界が広がっていました。腕で弾いたり、白目をむいたり。フリージャズを演奏しているとかピアノを弾いているとかとは、もう次元が違うんです。遊ぶって、こういうことだと思いました。アルバムでも何十曲ものスタンダード曲を一曲にアレンジした曲が入っていたりして……そんなアイデアは思いつかないですよね。
でも、ふつうにジャズの演奏をすると意味がわからないぐらい上手なんですよ。自分の好きなものがあってちゃんと勉強した上で、自由に音で遊べている姿がかっこいい。そう感じて憧れていました。
私も音で遊ぶことを目指しています。新しいことをやろうという意識よりは、聴いている人が退屈しないことがしたいんです。そう考えるのは、スガダイローさんはじめフリージャズの方々の人間性の影響を受けているからだと思います。
甲田まひる〔こうだ・まひる〕
2001年5月24日生まれ。シンガーソングライター、ジャズピアニスト、ファッションアイコン、俳優。小学6年生の時に始めたInstagramをきっかけにファッションアイコンとして業界の注目を集め、ファッション誌の連載やモデルとして活躍。幼少期から都内ライブハウスを中心にジャズピアニストとしての活動も行い、2018年にジャズアルバム『PLANKTON』を発表。2019年には映画『台風家族』を皮切りに俳優としての活動もスタート。2021年11月にEP『California』でシンガーソングライターとしてデビュー。
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文/ 福田素子
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