Web音遊人(みゅーじん)

プロフィール写真の撮り方

恥ずかしがったら負け!プロが教えるスマホで撮れるアーティスト写真

アーティスト写真、通称“アー写”。自分の個性や雰囲気を伝えるプロフィールに使用したり、演奏会のチラシに活用したりと、プロだけでなくアマチュア演奏家にとっても大事なツールです。
スマホでも簡単にきれいな写真が撮れる時代。セルフモードで自撮りをしたり、家族や友人に撮影してもらったりする人も増えました。
便利なアプリも続々登場しているのでクオリティは十分!そう思っているあなたのアー写は、“アプリを使った感”満載の他の人と似たような仕上がりになっていませんか? 
「アプリを使うにしても、ベーシックなポイントは押さえたほうがいいですよ」
フォトグラファーの阿部雄介さんは、そうアドバイスします。フォトグラファーの視点から、スマホでより魅力的なアー写を撮るためのコツを教えていただきました。

基本編──室内照明は消して窓際で撮影すべし。

写真撮影の要ともいえるのがライティング。もちろん、ただ明るければいいのではなく、意図した写真を撮るためには光をうまくコントロールすることが大切です。ポートレートに適しているのは、基本的には柔らかい「面」の光。プロのフォトグラファーは大型ストロボなどを使って人工的に光をつくり出しますが、スマホで撮影するなら屋内でも自然光が一番です。
「いろいろな光が混ざると、影も色んな方向にできてしまいますし、自然光と、白熱電球・蛍光灯では、色のバランスが違います。ですので、光源は一つ(自然光だけ)にしたほうがよいので、室内照明は消してくださいね」と阿部さん。撮影場所は窓の近くがベスト。レースのカーテンがあればひきましょう。光を拡散して柔らかくしてくれます。
「基本的には早朝や夕暮れ時、直射日光がさんさんと降り注ぐ時間は避けたほうがいいです。撮影時間でベストなのは薄曇りの午前中」
立ち位置は、窓に対して垂直な壁。窓が左右のいずれかに来る場所です。窓を背にして立ってしまうと逆光になってしまうので要注意。生活感のあるものは片付け、背景はシンプルにします。
「壁にぴったり背をつけて立つのではなく、一歩前に出ると背景の邪魔な影を抑えることができます」

さて、プロならば、ここで使うのが被写体に光を反射させるレフ版です。そんなもの、持っていないという方もご心配なく。白いシーツやテーブルクロス、大判のバスタオルなどでも代用できるそう。家族や友人に掲げてもらったり、ハンガーラックを利用したりして、窓からの光を反射させます。たったこれだけで、驚くほど明るい肌色に。
座って撮影する場合は、テーブルの上に白い紙などを置くと、いわゆる“女優ライト”と似たような効果も期待できます。

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レフ版の替わりに白いシーツをあててみると、光りが顔全体にまわり、明るくなったのがわかる。

真正面から撮影すると、まるで証明写真のようになってしまいます。すでに実践済みの方も多いと思いますが、斜め上から撮る方法もきれい効果絶大です。

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真正面より、斜め上から撮影するほうが、シルエットも美しく、よりアー写らしい写真が撮れる。

実践編──ポージングは大胆に。恥ずかしいと思ったら負け!

体をひねったり目線を落としたりすると、手の動きをつけたりすると各段に表情豊かな写真になります。「体はすこし捻った方が、ラインがきれいに見えます」
そんなことはわかっている!という方も多いと思いますが、自分ではやり過ぎと感じるぐらい大胆になるのがコツだそうです。
数々のポートレートを撮ってきた阿部さんは「海外の方は恥ずかしがらずに自然にポージングできるのですが、日本人はやはり照れがあるようで中途半端な感じになってしまうことが多いです。恥ずかしがったら負け!」と話します。

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目線を落としたり体をひねると、より雰囲気がでる。顔の近くに手を添えると、小顔効果も。

プロのモデルは、いくつもの引き出しを持ち、さまざまなポージングで多彩な表現をしています。「アマチュアの方は、いろいろなアー写を見たり、名画を参考にしたりするのもいいと思います」
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たとえば、フェルメールの代表作『真珠の首飾りの少女』を参考にすると、こんな感じに。

また、服の色でも印象はがらりと変わります。シャープでかっこいい系を狙うなら黒系の服を、やわらかくて優しいイメージなら白系の服を選ぶといいでしょう。

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服の色でこんなに印象が変わります。

 応用編──遊び心やちょい技をプラス!

「顔の向きによっても、異なる印象をつくり出すことができます。かっこよく撮りたいなら、顔の向きは明るい窓側に。きりっとした感じになります」
また、写真撮影では基本的には避けたい写り込みですが、これを逆に利用するのも手です。ガラスのテーブルなどの写り込みをうまく使えば、こんな個性的な写真も。

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写り込みを利用するのもテクニック。ただし、部屋の中にあるものも写り込む可能性があるので注意。

最近は透明感や抜け感のある、ふんわりとした写真も人気のようです。“ふんわり”の正体は、明暗やコントラストの差の少なさ。全体的に陰影が少ない明るい写真です。
「これは、いわゆる“ハイキー”と呼ばれるもの。適正な露出よりも、少し明るく撮影することをいいます。基本編で紹介したように柔らかい優しい光で撮影することが大切ですが、露出補正ができるスマホならプラスに設定します」
露出補正ができなくても、基本のポイントをしっかり押さえ、背景と服を白にするだけでも全体的に明るい写真に仕上がります。

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露出補正をプラスにすると、背景に溶け込むような透明感のあるオシャレな写真が撮れる。

「とにかくたくさん撮ってみるのもいいと思います。きっとお気に入りの一枚が撮れるはずです」
ほんの少しのことを気にかけるだけで、劇的に変わるアー写。自分の魅力をさらに引き出してみてください!

■阿部雄介〔あべ ゆうすけ〕

フォトグラファー。ポートレイトからネイチャー、紀行、カルチャーまで幅広いジャンルで活動。ヤマハの会員誌『音遊人』、ウェブマガジン『Web音遊人』をはじめ、機内誌などさまざまな媒体で撮影を行っている。2009年にマレーシア・サバ州観光省主催の「サバ・ツーリズムアワード」にて、海外記事部門最優秀賞を受賞。著書(共著)に『まぼろしの大陸スンダランド オランウータンをそだてた森』(たくさんのふしぎシリーズ/福音館)、『アランセーターとハリス・ツイード』(万来舎)、『決定版 日本水族館紀行』(木楽舎)など。

◾️阿部雄介写真展『生命の楽園ボルネオ〜メガダイバーシティの森〜』写真家・阿部雄介さんがこれまで撮影した多くの写真の中から、地上の生物種の半数以上が生息するといわれている熱帯雨林、特にボルネオに焦点を定めて作品を展示。
開催期間:2019年1月8日(火)〜2月3日(日)
会場:夢の島熱帯植物館 企画展示室

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